ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字サイズ
特大
519 / 656
14章

651.王妃

ミヅキ達は獣人達を一人一人介抱しながら山を崩していく。

回復魔法はやめた方がいいとアルフノーヴァさんに止められたので水魔法で出した水を飲ませた。

これだけでも気を失っていた人達が目を覚ましたので多少なりとも効果があるようだ。

「みんな、大丈夫か?」

バイオレッド様やアルフレッド様達も手伝って獣人達を軽く布など引いた上に寝かせていく…しかしベイカーさん達はそこにはいなかった。

「え…ベイカーさんいない…」

「お父様もいないぞ?」

気がついた獣人達に聞いてみた。

「大臣が逃げたのを…追って行くのが…見えました…」

そう言って城の裏手を指さすと、そのまま腕を掴んで聞いてきた。

「アルフレッド様…我々は…騙されていたのですか?」

獣人の兵士達は悲しそうな顔でアルフレッド様達を見つめた。

その答えを聞くのを辛そうにしている。

「ああ…そうだ」

バイオレッド様が頷く。

「僕達みんな操られていたんだよ」

「クソっ…アトラス様がその様な事をするわけないとわかっていたのに…」

「なぜ信じられなかったんだ…」

獣人達は怪我よりも辛そうに項垂れた。

「我々は兵士失格ですね…たった数名の者達にこのザマです…本当に不甲斐ない…」

「何を言う!そんな事ない!不甲斐ないのは私達だ…まんまと術にハマりお前達を傷つける事になった」

【傷つけたのシルバ達だけど…】

私が呟くと…

【確かに不甲斐ないな】

シルバが頷く、それをコラっ!と大人しくさせると…

「あ、あの…バイオレッド様…この子達は規定外なんです…ほら聖獣って知ってますか?」

「聖獣を知らない者などいないだろう、あれは獣人達が憧れる存在だ」

「アー…ソウナンダ…」

憧れの存在にボコボコにされたのはどうなんだろ…言わない方がいいかな…

私は迷っていると

「彼らがその聖獣ですよ」

アルフノーヴァさんがバラしてしまった。

【元な!】

シルバが付け足す。

「えっ!」

アルフレッド様とバイオレッド様が大人しくシュンとしてるシルバ達を見つめた…そして頭を垂れた。

「そうとは知らずにこの様な態度を…申し訳ございません…」

ブルブルと震える…

「あー…元!元なんです!今は違うんだよ」

「元…」

バイオレッド様が恐る恐る頭をあげるとシルバ達の顔を見つめた。

なので怖くない、可愛いですよとばかりにガシガシと撫でた。

それをシルバ達が嬉しそうに受け入れる。

「元聖獣が…従魔…」

意味が分からないと唖然とするが今はベイカーさん達が心配だ!

「まぁだからみんなが負けちゃったのもしょうがないよ、シルバ達にかかればウエスト国だって同じように被害にあうかもしれないし…だから…何が言いたいのかって言うと…気にしないでね」

無理やりまとめてみた…駄目かな?

伺うように見ると戸惑っているが今はそれどころではない。

「ミヅキさん、あちらから魔力を感じます…行きましょう!」

アルフノーヴァさんが声をかけたので私達は逃げるようにその場を離れた!

私はシルバに乗せて貰うと

【ベイカーさん達が居るところわかる?】

シルバに聞いてみた。

【あっちから気配がする、向かってみるぞ】

【お願い!】

向かって行くと所々で争った様な形跡がある。

壁や地面に斬撃の跡ができていた。

「こちらで争ったようですね」

「あの二人とアトラス様と戦って無事なんて凄く強い相手なんじゃ…」

私が心配になる。

「居たぞ!」

じいちゃんが指さすとベイカーさん達が戦っていた!

相手は…あの禿げた獣人だった!

「あの大臣?」

あんまり強そうに見えなかったのに…

驚いて大臣を見ると

「あーはははは!愉快、愉快!魔法とは素晴らしい!」

「くっそ!なんなんだあいつの魔法は!」

ベイカーさんが忌々しげ叫んだ!

「ベイカーさん!アランさん!大丈夫!?」

「おお!ミヅキ!大丈夫だったか?」

ベイカーさんが私に気がついてほっとした顔を見せる。

「うん!こっちは上手くいったよ!」

「よし!」

「ミヅキ!子供達は…」

アトラス様も気がついてこちらに向かって来た!

「アトラス様、アルフレッド様もバイオレッド様も無事ですよ!お二人共」

私はにっこりと笑って答えると

「よ、よかった…ありがとうミヅキ!」

アトラス様はほっとしたのか膝をついて顔を覆った。

「よかったですね…」

「ああ、感謝する!コレで気兼ねなくあいつを叩きのめす事が出来る!」

アトラス様はスッキリした顔で起き上がると剣を担いだ!

「お二人共ありがとう!もう手加減は無用だ!」

アトラス様がベイカーさんとアランさんに声をかけた。

「そうか」

アランさんがニヤリと笑うと禿げ大臣目掛けて剣を振り下ろした!

「おりゃー!」

「ははは!何度来ようと無駄だ!防壁で防いでやる!」

大臣が防壁を張ると…

バリンっ!

防壁が音を立てて砕け散った!

大臣は慌てて剣を避けるとが服がかすりハラリと布と髪の毛が宙を舞った。

「な、何故だ…?さっきまでこの身に届きもしなかったのに…」

「わからねぇのか?手加減してやってたんだよ!お前をついうっかり殺しでもしたらここの王子様と王女様がもしかしたら元に戻れない可能性もあったからな!」

「二人が無事な今はお前に手加減する理由はない!」

アランさんは禿げた頭目掛けて剣を振り下ろすと…

「ま、待て!ヴィーラ!助けろ!」

大臣が叫ぶとアルフレッド様に似た真っ白で綺麗な獣人がアランさんの剣を受け止めた。

「ヴィーラ!!」

アトラス様がその獣人を見て驚き声をかける。

「ヴィーラ様…」

ロブさんとロバートさんも彼女の事を知っているようだ。

「あの綺麗な獣人さんは知り合い?」

私はロバートさんに聞くと…

「あの方はこの国王妃様…アトラス様の奥様だ」

「王妃様!!でも剣持ってるよ」

「王妃様もアトラス様に負けず劣らずの剣豪なんだ…まさか王妃様まで洗脳しているとは…」

ヴィーラ様は綺麗な顔を歪ませて禿げ大臣を守る様にアランさんを睨みつけている。

「おい!これはどうすりゃいいんだ!敵か?味方か?」

アランさんが手を出せずにいると…

「シャー!!」

ヴィーラ様がアランさん目掛けて腹に一発蹴りをお見舞いする。

「グホッ!」

アランさんはそのまま後ろに吹き飛ばされた。

「へ?」

その威力に愕然とする…だってヴィーラ様は細くてアランさんよりどうみたって軽そうだ…だがその蹴りはあの華奢な体からは想像も出来なかった。

「しかも…馬鹿力なんだよ…」

ロブさんがヒヤッと汗を流してヴィーラ様を見つめた。
感想 6,830

あなたにおすすめの小説

【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します 表紙

【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します

「子供っぽい嫉妬はやめろ」私が命懸けで出産した日、夫のヴィンセント侯爵は初恋の人の所へ行ってしまった。理由を説明して欲しいと言うと、子供っぽい嫉妬をやめろと厳しい声で言われてしまう。しかも初恋の相手がいきなりやってきて「侯爵様は昔から私を命懸けで助けてくれるんです」と悪びれもせずに言い放った。妻よりも初恋相手を優先する夫は必要ないので私は夫を初恋相手へ返品した。すると生まれてから一度も人に頭を下げたことのないヴィンセントが、ボロボロになって私に頭を下げてきて⋯⋯。
恋愛 連載中 長編
文字数:94,149
過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜 表紙

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。
恋愛 完結 短編
文字数:20,369
転生先で冒険者専門のお弁当屋さん始めます〜助けてくれた冒険者兄弟にお礼をしたかっただけなのに、大繁盛してしまいました〜 表紙

転生先で冒険者専門のお弁当屋さん始めます〜助けてくれた冒険者兄弟にお礼をしたかっただけなのに、大繁盛してしまいました〜

保育士として働いていた莉子は、ある日の仕事中に暴走してくる車から子どもたちを守り、死んでしまう。 しかし、目が覚めるとそこは深い森の中。 ここはどこだろうと彷徨い歩いているうちに狼のような獣に襲われかけたものの、間一髪のところで冒険者の兄弟、ベクターとゼノに助けてもらった。 家族が宿屋をやっているから、と行くあてもない莉子を拾ってくれた二人。 やってきたのは、リーベル王国の国境付近にある街、ベルン伯爵領。 そこにある人気の宿屋に身を置くことになった莉子は、様々な事情を知りながら身を寄せることへのお礼のため、ベクターとゼノにお弁当を作ろうと決意して──?
ファンタジー 連載中 長編
文字数:124,638
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか? 表紙

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ファンタジー 完結 長編
文字数:148,101
『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜 表紙

『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜

元・社畜SE、今世は国宝級の赤ん坊!? 最強の父様とお兄様が過保護すぎて、一歩歩くだけで国が揺れちゃいます!
ファンタジー 完結 長編
文字数:187,096
捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした 表紙

捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした

神殿で無能と決めつけられ、三歳で捨てられた少女リリア。 辺境伯家に保護された彼女は、厳つい辺境伯やお兄様たち、領民にまで溺愛されながら幸せな日々を送ることに。 けれど実はリリアは、数百年に一人現れる伝説級の聖女だった。 これは捨てられた幼女聖女が、たくさんの愛に包まれながら成長していく物語。
ファンタジー 完結 短編
文字数:36,970
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません 表紙

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
恋愛 完結 短編
文字数:14,447
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました 表紙

初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました

夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。 彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。 けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。 セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。 夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
恋愛 完結 短編
文字数:12,593