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味見

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私を厨房の椅子に座らせてパッドさんとビオスさんが食材を用意する。

話だけで何となくどんな物かわかったのか肉を用意してきてそれをミンチにしだした。

二人のテキパキ動くさまをニコニコと見ていると…

「何笑ってるんだ?」

パッドさんが私が笑ってみている事に気がついた。

「え?いや楽しいなぁ~って思ってパッドさんもビオスさんも楽しそうだし」

二人は顔を見合わせると気まずそうに頭をかいた。

「そりゃミラがいるからだな、こいつと二人ならこんなには騒がん」

「そうだな」

パッドさん言うとビオスさんが頷いた。

「そうなの?」

「ああ、だから無事に帰ってきてくれて本当に嬉しいんだからな」

同意するようにパッドさんがコクコクと頷く。

「うん、本当にみんなありがとう!じゃあ早速お礼がわりに沢山料理を教えるね!」

「ああ頼むぞ」

とりあえずとメンチを揚げて四等分にして味見をしてみる。

「こりゃコロッケよりガツンとくるな!男に人気がありそうだ!」

「そうだね、でもソースがないから下味をもう少し濃くしてもいいかもね」

試行錯誤していくつか作っていると…

「へぇー本当に君が考えてるんだ」

急に入り口の方で声がして三人で振り返った。

そこには壁に寄りかかるファイ王子がいた…

「お、王子…」

パッドさんの顔が引き締まると持っていた物を置いて頭を下げた。

私とビオスさんも後から同じようにペコッと頭を下げると、

「ああいいよ、頭を上げてくれ。今日はちょっと様子見に来ただけだからね」

「様子?」

「君のね、部屋に行ったらもぬけの殻で厨房にいるって言われたから来てみたんだよ」

そう言いながら近づいて来ると…

「それ何?」

興味深げにメンチを見つめる。

「今度お店に出す新作を考えておりました」

「ぶっ…」

パッドさんが敬語でかしこまって説明する姿に吹き出す。

するとパッドさんにじろりと睨みつけられた。

「おい、ミラ!」

「ご、ごめん、なさい…だって…パッドさん敬語喋れたんだね」

あははと笑うと

「そりゃ王子様相手にイーサン様みたいに気軽に喋れんだろ!」

「そうだけどさー」

王子そっちのけで笑っていると…

「敬語より無視する方がどうなの?」

王子が苦笑して声をかけてきた。

「も、申し訳ございません!」

「いいんだけどねーそれよりもこれ貰ってもいいかな?」

王子が食べかけのメンチを指さした。

「も、もちろんです!今新しいのをあげますから!」

「ああ、いいよコレで」

そう言うなり味見用に切ってあったメンチをひょいと口に放り込んだ。

もぐもぐと口を動かすのを三人で見つめていると…

「美味っ!」

目を見開いた!

「コロッケも好きだけど俺はこっちの方が好きだ!」

残りの味見の分も次々に食べだした…

「ああ…」

かなり気に入った様子で夢中に食べる王子を三人で呆れて見つめた。
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