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褒める
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「おまたせ致しました」
ニア達が戻ってくると…
うむ、悪くない。
先程とは違い爽やかな空色のワンピースを着ていた。
「ど、どうかな…」
ニアは恥ずかしそうにチラッとこちらを見つめる。
「動きやすそうだ、気に入ったのか?」
そう答えると少しガッカリした顔で小さく頷いた。
「気に入らないのであれば違う服でもいいのだぞ」
だがニアは大丈夫だと首を振り、この服でいいと言う。
一体何なのだ…先程と違い似合っているのに、ニアの顔が晴れない。
何かが気に入らない様子だがそれが何か分からなかった。
すると女の店員がそっと後ろから近づいて耳打ちする。
「お嬢様は褒めて欲しいのです、可愛い、似合うとお父様に言っていただきたいのですよ」
「はっ?」
そんな事を?
女はそうだと言わんばかりにゆっくりと確信するように頷く。
「ニア…その…とても似合っているぞ」
「本当?」
ニアは驚きながらも伺うようにこちらを見上げた。
「ああ、可愛い」
ちょうどいい位置にあった頭に手を乗せてその綺麗になった頭を撫でた。
するとニアは頬を染めて先程の不安そうな顔が消え嬉しそうに何度も着ている服を撫でていた。
「ふふ、可愛らしいお嬢様ですね」
女のおかげでニアとの契約に一歩近づいた気がする。
まぁお嬢様ではないのだが…それでも
「助かった…」
この世を滅ぼす時が来たとしてもこいつは生かしてやってもいいな…
私は女に全て支払いを任せると店を出た。
すると先程まで感じていた視線はすっかりと無くなっていた。
ニアも視線を下げること無く上を見て町をキョロキョロと珍しそうに眺めていた。
するとある場所で視線が止まる。
ある店の店内を見つめて立ち止まった。
ニアの視線の先を見てみると、そこには楽しそうに談笑する男と女が仲良さそうに食事をしていた。
「なんだ?また腹が減ったのか?」
するとニアはなんでもないとまた歩きだした。
そして同じような店の前で何度も止まる。
「ニア、腹が減っているのなら家に帰るか?」
声をかけるがまた首を振った。
今度はなんだ!?
「ニア!はっきり言いなさい何が食べたいんだ?」
「別に何か食べたいんじゃない…」
ニアはしゅんと肩を落としてしまう…すると契約の痣が痛み出した。
まるでニアの心が離れた事に反応でもしているかのように…
「わ、悪かった…ニアなんでも言ってみなさい。私に叶えられない事はない」
「本当に?」
「ああ」
私は胸の痛みを押さえてゆっくりと頷く。
「じゃあ…二人でお店でご飯を食べたい…アーンて食べさせたい」
「あーん…」
それはなんだと聞くとお互いに食事を食べさせ合うことだという。
「なんだ、そんな簡単な事でいいのか?」
拍子抜けしてしまう。
「みんなの前で…できる?」
「問題ない」
契約の為なら…私は笑って頷いた。
ニア達が戻ってくると…
うむ、悪くない。
先程とは違い爽やかな空色のワンピースを着ていた。
「ど、どうかな…」
ニアは恥ずかしそうにチラッとこちらを見つめる。
「動きやすそうだ、気に入ったのか?」
そう答えると少しガッカリした顔で小さく頷いた。
「気に入らないのであれば違う服でもいいのだぞ」
だがニアは大丈夫だと首を振り、この服でいいと言う。
一体何なのだ…先程と違い似合っているのに、ニアの顔が晴れない。
何かが気に入らない様子だがそれが何か分からなかった。
すると女の店員がそっと後ろから近づいて耳打ちする。
「お嬢様は褒めて欲しいのです、可愛い、似合うとお父様に言っていただきたいのですよ」
「はっ?」
そんな事を?
女はそうだと言わんばかりにゆっくりと確信するように頷く。
「ニア…その…とても似合っているぞ」
「本当?」
ニアは驚きながらも伺うようにこちらを見上げた。
「ああ、可愛い」
ちょうどいい位置にあった頭に手を乗せてその綺麗になった頭を撫でた。
するとニアは頬を染めて先程の不安そうな顔が消え嬉しそうに何度も着ている服を撫でていた。
「ふふ、可愛らしいお嬢様ですね」
女のおかげでニアとの契約に一歩近づいた気がする。
まぁお嬢様ではないのだが…それでも
「助かった…」
この世を滅ぼす時が来たとしてもこいつは生かしてやってもいいな…
私は女に全て支払いを任せると店を出た。
すると先程まで感じていた視線はすっかりと無くなっていた。
ニアも視線を下げること無く上を見て町をキョロキョロと珍しそうに眺めていた。
するとある場所で視線が止まる。
ある店の店内を見つめて立ち止まった。
ニアの視線の先を見てみると、そこには楽しそうに談笑する男と女が仲良さそうに食事をしていた。
「なんだ?また腹が減ったのか?」
するとニアはなんでもないとまた歩きだした。
そして同じような店の前で何度も止まる。
「ニア、腹が減っているのなら家に帰るか?」
声をかけるがまた首を振った。
今度はなんだ!?
「ニア!はっきり言いなさい何が食べたいんだ?」
「別に何か食べたいんじゃない…」
ニアはしゅんと肩を落としてしまう…すると契約の痣が痛み出した。
まるでニアの心が離れた事に反応でもしているかのように…
「わ、悪かった…ニアなんでも言ってみなさい。私に叶えられない事はない」
「本当に?」
「ああ」
私は胸の痛みを押さえてゆっくりと頷く。
「じゃあ…二人でお店でご飯を食べたい…アーンて食べさせたい」
「あーん…」
それはなんだと聞くとお互いに食事を食べさせ合うことだという。
「なんだ、そんな簡単な事でいいのか?」
拍子抜けしてしまう。
「みんなの前で…できる?」
「問題ない」
契約の為なら…私は笑って頷いた。
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