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200.指輪

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ジュリアが好き勝手に指輪を選んでいるので、ロイは一人店内の物を見て回る…

するとふとひとつの指輪が目に付いた…

そっと手を伸ばして掴むとじっくりと見る。

それは決して高そうでは無いが綺麗な赤いバラの細工の入った指輪だった…

「ローズ…」

ボソッとつぶやくと

「はい、赤いバラをあしらった指輪です…」

いつの間にか店主が横についてにっこり笑って指輪の説明をする。

「それはまだ駆け出しの若い職人が手がけたものなんです…しかし彼はこの先きっと素晴らしい職人に成長すると思いますよ」

店主が自信満々に答えると

「君が見つけてきたって事かな?」

ロイが笑う。

「はい、彼の作った指輪を見た時に彼自身がダイヤの原石に見えました!今はまだ無名ですので…それはきっと貴重な物になりますよ」

にっこりと笑うと

「そんな事を教えていいのかい?」

「はい、王子に嘘など…それに目の確かな方には本物を持って頂きたいですから…」

「そうか…これが似合いそうな人がいてね…」

ロイが微笑むと

おや?店主が首を傾げる…するとジュリアが横から顔を出した?

「なんですか?それ?」

ロイの手に持つ指輪を覗き込むと

「なんですかそれ…安っぽい、石が小さいし指輪の中に埋め込まれてる…それにそれって…なんの花かしら…下品だわ」

興味無いとばかりに顔を顰めると

「ロイ王子、やっぱり私はあっちのがいいと思うんです…」

身を捩りながらロイの服を掴むと

「そうだね、これは君には似合わないよ」

ロイは指輪を見てにっこりと笑った。

結局ジュリアは宝石は自分で買わないといけないことを知るとそそくさと店を出ていった…

「騒がせてすまなかったな」

ロイは店主に一言言うと…

「王子…よろしければこれを…」

ジュリアには見えないようにそっと包みを手渡す。

「これは?」

「先程のバラの指輪です、どうぞその贈りたい方に差し上げてください」

「ありがとう…ではお代を…」

ロイが従者に金を渡すように言うと…

「これは私共からの気持ちですから…」

店主がいらないと首を振る。

「いや、好きな相手に贈るものをタダで手に入れる訳にはいかないからね」

ロイの言葉に店主は驚くと…

「それもそうでございますね…大変失礼致しました」

店主は微笑んで頭を下げた。

「いや、気持ちは嬉しかったよ」

ロイは店主に聞いたお代を払うと

「本当に安いな…」

金額に驚く。

「将来はその10倍…いや100倍は値が上がるかも知れません」

「そうか、期待してるよ」

ロイは笑うとありがたく指輪を胸にしまい込んだ。
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