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第十八話 高校生1年生のユータ
しおりを挟む回想から一時期現在のユータに戻ってみよう。
中3の後半から自分が気づかないままいじめから逃れ、受験もどうにかうまくいき、高校に入ったユータ。
中学より電車で数駅田舎の方にある普通科高校。
方向が逆だから電車は混まない。乗っているのはほとんど沿線の学生達。
ユータの入った高校は昔工業高校だったので、いろいろな工作機械などの設備があり、またそういう部も多いという。
入学したての今はまだ何もできないけど、ユータは機械とか何かを作ることに憧れをもっていた。
男の子にはよくあることで、それを今まで失わずにいただけだった。
友人のタカもここを受けていて、ユータと話して2人で幾つか受かった高校の中からここに決めた。
今日は入学式後の最初の登校日。
学校付近いに来ると学生が多い。男子は詰め襟、女子はセーラー服。
詰め襟の比率がすごく高い。
もともと工業高校だったせいじゃないかな?とタカ。
あと、この高校に決めたもう一つの決め手は”プールがない”だ。
体育で泳ぎは、、勘弁して下さい。
マラソンのほうが、嫌いだけどまだマシなくらい。
勿論ドーラは今も肩に乗っている、姿を消しているけど。
あれからユータもかなり努力して、ドーラと念話で話せるようになっていた。
ほとんど魔力を使わないので問題は無いはず。
クラスは男子クラス。
女子が少ないので男子クラスと混合クラスに別れている。
ユータは少し女子を怖がっていたので丁度よいとおもっていた。
タカは隣の混合クラス。ごしゅーしょーさまである。
この高校に入ってから、なんかいじめは受けていない。というかクラスに馴染めている?
結構ユータが頼りにされているようだ。特に体育の時に。
柔道とか畳を用意しなければならない。皆2人で1枚運ぶけど、ユータは一人で余裕だった。
ある時、「おまえ、これやってみ?」と、クラスのやつが2枚重ねた畳を立てていた。
いけるだろうな、と、背中で背負って、、、
「あと2枚行けると思う、、」ユータ
まじかよ?とそのクラスの奴が2枚追加した。
「ん、どっこいしょっと」
スタスタスタ、、
こんな感じで、「ユータ運送」と呼ばれ始めた。
実家が工場やっているクラスの奴や、運送屋やっている者からバイトやらないかと声もかかる。
あっちの世界に持っていくものを買いたいのでお金もある方がいい。
なので、忙しいときだけ言ってもらえれば短期でやる、と返事しておいたら、
先に慣れておくために、と、運送屋のほうに2週間付き合わされた。
でも結構いいバイト代くれたので嬉しくなった。
それを知って、工場の奴も2週間だけ、と誘ってきた。
工場は難しかった。学校の図面と現場の図面とじゃ、やはりマジ度が違う。
タップも何度も折った。ドリルの刃さえ折った。でも親父さんは辛抱強く教えてくれた。どうすれば折らないのか?どういう感覚なのか?丁寧にやれば、必ず結果に帰ってくるから、と。
そして機械加工についての興味は倍増した。
おかげで学校で技術の実地の方ではかなり良い評価を得られた。
心構えが、コツが、得られると、他のことにも応用ができていた。
「おまえ、力あるし、無口なんで、俺ら、つーかクラスの皆は警戒しててなー。」運送屋の息子な奴
へ?なにそれ?聞いたこと無いし?わけわかんない?
「でも、話してみると、まぁまぁ話すし、、狂暴ってんじゃなさそうだし、、」
は?一体誰のことですか?
「おまえ、いいやつじゃん?」
「あ、ありがとう、、」僕
高校に入って一ヶ月くらい経ち、落ち着いた頃からユータは早く帰った日には向こうに行っていた。
そして向こうで数日過ごし、きりのいいところでこっちに帰ってくる。
向こうではユータは主に狩りにでてばかり。食材調達担当になっている。家族が多いので食材を取りに行くのが仕事だ。
独り立ちした子達は何人かまとまって部屋を借り、仕事場の近くに出ていく。
けど、その分、孤児院から新たな子たちが入ってくる。孤児院の子を一人でも多く引き取りたいんで、結構増えている。こっちが引き取るだけ、孤児院側も新たに入れられるので、詰め込みになるけど、一人でも多く入れる。
その分、大きくなればガンダ側が引き取って一人前に育ててくれるからだ。子どもたちが少しでも良い人生を送れるようになるからだ。
なので人数が増えることは悪いことではない。と、ユータも思っている。
で、普通のけものだけではなく、魔獣も美味しいのが結構ある。魔獣の場合、おいしいのは結構強かったりする。
でも食材を魔法で爆発させたり黒焦げにさせるわけにはいかない。なので、ユータは剣などの技術をどんどん上げて行った。狩り中、狩り後、皆からアドバイスを貰い、次の獲物相手に試す。戦闘中も後衛からアドバイスをもらう。
剣術がうまくなればなるほど、皆においしい獲物を食べさせてあげられる。おいしいのを狩っていくと、皆おお喜びなのだ。
それが楽しい。
高校に入って、ユータの友人のタカは最初の頃は結構クラスでぼっちっぽかった様子だったが、そのうちユータが運送のバイトに誘い、ユータがバイトを終えてもそのまま続けていた。
「体力が付くんだよね!」とタカ。
体力だけではなく自信も付いたのか、夏休み前頃にはタカはいつの間にかクラスに馴染んでいたようだ。
夏休みもそのままバイトを続けた様子。
二人は運動会、文化祭もどうにか無事にごまかしきったw
年末の運送屋の仕分けのバイト、最終日を終え、社長(友人の父)に社員やバイト全員連れられて居酒屋で打ち上げ。
その後、社長と息子(クラスの友人)が、ユータとタカを誘ってスナックに。
友人の「社会勉強も必要だから!」とかなんとか、しつこい誘いに負けて。
暗い照明のお店で、ユータとタカはフルーツジュース。友人は父親の許可の元なんか飲んでる。なんだか知らないw。
で、カラオケとかやっていた。ら、
「ヘッタクソな歌で酒がまずくならぁ!」
と酔っぱらいが向こうの方の席から
酒瓶を持って、そいつは僕達の席に近づく、、と、、
ぴたっと足を止め、、
微動だにしなくなった。
店の皆はそれまでヒヤヒヤしていたが、そのチンピラみたいな酔っぱらいの異様な行為に怪訝に思った。
「おめ、、おめぇ、、」と、そのチンピラはユータに視線を固定したまま動かさず、いや、動かせず、、指一本すら。
「はい?」とユータが立ち上がる、、
・・・・・ぐるん!
だーん!!
そいつは白目をむいて、そのまま気絶した。
「一体、なんだったんだ?」社長
「アル中?」友人
「お酒は怖いね」タカ
「うん、あーなっちゃったらおしまいなんだろうな」僕
「ああ、何事もほどほどにできないと、あーなっちゃうんだろうなぁ」社長
そのぶっ倒れた男は、足を掴まれて店の外に放り出され、ママさん?がどっかに電話かけて「引き取りに来てくれ」とか言っていた。
「粗大ゴミ?」
と僕のぼそっとした発言に、ぷ!と、友人とタカ。
いつの間にかドーラが肩に止まっていた。
(あいつ、転送しちゃえば?どっかに。おまえを狙ってたぜ?)
(え?僕を?なぜ?)
(知るかいwでもおまえを狙ってたのは確かだ。どっか遠くとか、海の中とかに転送しちゃえよ。ユータは転移できるから転送もできるぞ)
(どーやるの?)
(遠視できるだろ?)
そう。僕は遠くや壁の向こうとか、普通見えないところを見る能力をいつの間にか得ていた。
(うん、遠視で?)
(移送したい場所を確認する。そこに、送りたいものを送るイメージで”転送”ってやればいいだけ。やってみ?モノは試しだ。)
(んじゃー、警察?、、、、あ、あった、、そこの受け付けのカウンターの上、、転送!)
(、、、おう!うまく送れた!!警察の人びっくりしてるわ!!あっはっは!!これは楽しいね!)
(・・・・・・・まぁ、、うまくできたんなら、いいか)
ほどなく、ドアの外が騒がしくなり
ドアが開けられた。
「おうママ!どこにいるねん!おらんだろが!!」と顔がへんな人。
「あれ?おかしいわね?気がついてどっかに行ったのかしら?そこまで責任持てないわ」
「くそ、人騒がせなやっちゃ!」
とドアも閉めずに行く。
酒瓶を転送!
ごろん!すってーーん!!
ごき!!
・・・・・・・・・・・・
「「「あ、、あにきっ!!!」」」
と外で声がする。
「ごらあ!なんじゃこの酒瓶はあ!!」
「あら、さっきあんたんとこのが持ってた酒の瓶よ、そのあんたんとこのに文句いいなさいよ!!」
「くそ!あー言えばこう言やがって!!」
「何よ?やるの?やれば?」
思わず立っていた。僕は何がしたいというわけではなかった。ただ立ち上がってしまっただけだ。
でも、
その外の連中は後ずさり、、、ひっくり返って白目を向いたその兄貴と呼ばれた男をそのままにして、逃げていった。
店の扉が閉められたあとで、そいつも警察に転送しておいた。
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