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第百九十六話 宿屋の娘
しおりを挟む(あいつ、誇ったのはこの娘のことか?)
(うん、可愛いし!)
へぇ、ユータにもそう思うこともあるんだ?(ドーラ)
「もしかして、ここ、飯ウマなの?」ドーラ
「ウマの飯なんか出していないわよ!何度も失礼ねっ!!」娘
「ごめんね、そーゆー意味んじゃないんだよ、飯が旨いの?っていう意味なの」ユータ
「ああ、なるほどね。紛らわしいわねぇ、、」
「悪かった。でも、意外だろ?なぜこんなに客がいるんだ?飯食いに来たのか?」
「いいえ、このお客さん達は村の者ではないわ。最近魔獣が多くなったので冒険者たちが多く来るようになったの」
「いやいや、ギルドないだろ?ここ」
「え?最近出来たのよ?」
・・・・・・・・・・
「まじですか?」
通りの斜向かいの家がそうよ?
え?と遠目で見てみる。
中はそれっぽく受付1つと買い取りカウンターと掲示板がある。民家改造で狭いので食堂はない。
「あ、食堂がない。この村って、食事するとこは?」
「ここだけよ!」
独占企業!!
でも美味いってんだからいいのか。
「ときに、部屋、あいてる?」
「2人でいいの?」
「ああ」
「あるわ。とっとくわね。食事は?」
「・・・・食べてきちゃったけど、軽く食うかな」ドーラ
「どこで?あ、あなた達も転位できるんだ?ドラゴニア?」
「賢いなー!」ユータ
「おう、そうだな、賢いわ」ドーラ
「・・・何も出ないわよ!」と、少し赤くなる娘。
定食でいいよね!といいながら厨房に足早に戻る娘。
で、食堂内を見渡すと、、
見たような顔ばかりである。
「あれぇ?」
「ドーラさん!こっちこっち!」
と、あちこちから呼ばれる。
「ムータンの人達だねぇ、しかも第一陣とか第二陣初期とかの優秀な人達」
「よく覚えているな?」
「うん、いい人は覚える。そうでないのは覚えない」
はっきりしてていいですね!
で、またドーラが調子にのっかって
「ここは俺のおごりだー!」
とかはじめて、明け方まで。
今まで溜めていたお小遣い、近いうちに底着くんじゃないかな?
部屋をとってあるので、フラフラでどうにか部屋に行って寝る。
昼過ぎに起床。
下に降りるともう誰もマグロっていない。
「へぇ、皆まじめなんだな?」といいながら席に着くと
「あなた達がおそいのよ。皆朝にはちゃんと朝食食べて狩りに出たわよ?」娘が朝の定食を持ってきてくれた。
この食堂は定食1つのみらしい。便利でいいけどね!
「いやー、、なんと言っていいか、、いつもだし?」ドーラ
呆れる娘
「でもたまにだよ?一昨日は、まともに寝た・・・ほうだよね?」
ユータ、台無しだよ・・・
「それより、ここは風呂あるかい?」
「無いわ」
とりつく島もない。
「んじゃー作ろうかー」ユータ
「だな、ある方がいいもんな。客も多そうだし。というか、冒険者は毎日入って疲れを取ったほうがいい」
「だよねー」
「・・・・・・・・・・・・何を言ってるのか、な?」娘
「風呂、ほしいじゃん?」ドーラ
「ええ、そりゃあったら嬉しいけどね?」
「なので、温泉掘りだして、銭湯作るの」ユータ
「そんなの簡単に・・・・あんたたち、ドラゴニアだったわよね?」
「いえすまむ!」ユータ
?「できちゃうの?」
「あいあいさー!」どーら
「あんたらが何言っているのかわからないけど、作ってくれるなら嬉しいわ。」
「どこに作ればいい?」
「結構大きく作りたいし」
そうねぇ、、と思案する娘
「・・・どこでもいいわ」
散々考えてそれですか
「ここ、市場はないよな?」
「でも、週に二度ほど市は立つわよ?」
「どこ?」
「通りを森の方に行って、村の端よ」
「んじゃ、その向かいあたりでいいかな?」
「ええ、森近くだから空き地になっていると思うけど」
だいたいどこでも森の周囲は空き地にしている。ぎりぎりまで畑や村にすると襲われる時は気づきにくいから危険なのだ。
そして何より、獣も魔獣も明るく開けた場所を嫌う。
「森の近くか、、んじゃ逆にしよう。通りの逆の方って?」
「ずっと行くと街道よ。でも空き地無いんじゃないかなぁ、畑になっていて」
ふむ、困ったね?
「んじゃ、この宿の裏って?」
「ウチの畑」
「使っていい?」
「・・・・・んーーーー、いいわよ!背に腹は変えられない!お風呂ほしいわ!」
「「決定!」」
食事して、茶を飲んで食休みしたあと、ドーラとユータは畑を整地し、ドーラはサイコキネシス魔法で森から木を引っこ抜いてきて製材する。ユータは土魔法ででかい銭湯の土台と一階の壁や風呂場や窯などを作る。窯は温泉が熱くなくなった時に使う。冬とかね。
もう2人は慣れていてとても手際が良い。
宿の仕事の手が空いたのか、いつの間にか来て見ていた娘が
「まだ温泉も掘っていないのに、いいの?」
「いいのいいの、あとで掘るから」
「絶対出るような言い草ね」
「出るから心配しない!」
・・・・
その日の夕方に出来上がったのは、
背の高い三階建て。一階は天井が高く、ほぼ銭湯。二階以上は宿の部屋になっている。
湯気が上に行って腐らせないように、建物全体に魔法を掛けてある。珍しくドーラが魔法陣を書いた。
周囲にマソが在る限り効果は続く。
温泉の温度は熱かったので、井戸も二本ほど堀り、薄める水を手押しポンプで汲み出せるようにした。ポンプだけはドラゴニアから転送してもらった。
娘と、その両親、娘の弟と妹がそれを眺め、唖然としていた。
「できたぞー」
「うん、満足行くくらいにできたよ!」
「あ、ありがと・・」
どっとと中に入って見ておいで!と促され、宿屋の一家は中に入る。
小一時間ほどもたったろうか、
ユータとドーラが宿の食堂で勝手に茶を飲んで待っていると戻ってきた。
「いいの?、あんな凄い建物もらっちゃって?」娘
その後ろに一家がびくびくして立っている。
「そのために作ったんじゃん!ちゃんと活用してなー」
「そりゃ、思い切り使わせてもらうけど、、」
「何?人手が足りないとか?」
「・・・・それもあるわね、、でも村の人が手伝ってくれると思う、うん、大丈夫!」
「ならOKだな!」
「そうね・・?、うん?、まぁ・・・・いやいやいやいや、あんなのただで貰っていーの?ってことよっつ!!!」
「いいんだよ?」ユータ
「そう。いいの。」ドーラ
「見てたろ?俺ら、一銭も使っていないんだ。アレを作るのに。そして時間もさほど使っていない。」
「そう、趣味みたいなものなの。だから気にしないで。娘さんだって
「リーシャって言うの」
「リーシャだって、子供の頃誰かに草花の冠つくって上げたことあったでしょう?お金居らった?」
「貰うわけ無いわよ」
「それと一緒だ。そこらにあるモノを使って、一日かからずに作った。そんだけだ。似たようなもんだろう?」
「まぁ・・・・・」
「あと、巨大なドラゴンだと山ほどの岩を持ってこられるよね?でもきみ、リーシャだと君のアタマほどの岩しか持ってこられないでしょう?その違いなだけ」
「・・なるほど?まぁ、わかったわ。感謝します。どうもありがとう!」
「「どういたしまして!!」」
(宿屋と八百屋って、煮てるよね?)ユータ
・・・・・・・煮る・・、野菜の煮込みと風呂で人を煮込む?をひっかけたのか?うんわからん、(ドーラ)
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