222 / 253
第二百十七話 マッハとセレーネと
しおりを挟むその日はセレーネが折角だから泊まっていきなさい!って強引に2人を泊まらせた。
「初めてのお客さんだわ!」とはしゃいで用意してくれていた。
客を泊まらせたかった?
マッハとセレーネのドラゴニア新居。小さめの邸という感じ。前庭も広くとっている。
こっちの者達がしっかり作っただけあって、大きくて使いやすそうな家。
部屋数も多く、子供が多くても大丈夫だし、客が多くても大丈夫だろう。
セレーネの立場、人魚王国から初の人間の国へ出た者、しかもひとと結婚して。ということから、人魚王国からの客が多くなるのと、人魚王国と人間との橋渡し的な立場になっているということをガンダ達が考慮しての、この邸の規模なのだろう。
今の所使用人はいないように見える。2人でどうにか大きなここをどうにか出来るかどうか、だな。
「食事はどうしているんだ?」ドーラ
「俺とセレーネで作っています。」マッハ
「一緒に?いいね!」ユータ。仲良くしているのを見るのが好きなのだ。
この邸は2日ほど前に貰ったらしい。暮らせるように大体出来たので、明日辺り島に帰るとのことだった。
「街を案内したのか?」ドーラ
「ええ、買い物ついでに大体回りました。おいしいとこには大体入ったし。」
「も少し居てもいいかな?とも思ったけど、まだまだ島にはお客さん多いんで心配だしねー」
責任感が出てきた様子のセレーネ。いいことだ!
「下の子達が育って支配人になれたら、私も余裕できるだろうから、そのときはこっちにずっと滞在して美味しい毎日送るわ!」
「おう、がんばろうぜ!」
下が自分より能力が出たら困るとか思う意地汚いクズはドラゴニアにはいない。多分人魚達もそんな感じだ。
能力に応じたことをする。それだけ。僻むことも妬むこともしない。というか、そういう概念が無いのかも知れない。
ひととして理想的な国かも知れない。
そして誰も楽しいことが好き。そういう生活を送りたいと思ってる。それは怠けるということではない。
怠惰による手抜きなど、最も嫌われることの一つだ。そういうのは幼いころに叱られまくり、それは行けないことだとそのうち理解でき、自分のスべきことはできるだけ満足できるほど良くやるのが好きに成る。掃除ひとつとっても、皿洗いひとつとっても。
なので、下の子が育つ=責任感持った者が育っていく、なので、しっかり教えていけば彼等は教わること以上のことを考えていく。
うまくいけば、自分以上の者がそだつのだ。
ドーラ達は、そういう者を育てた者もちゃんと見ている。もし見られてなくとも、その育てた者は自負を持つので、それだけでも十分であった。
そういう所が、ドラゴニア以外の大人たちからドラゴニアの子供達、少年少女達が一目置かれるのではなかろうか。
それが判る他国の者達もそれなりにできる者達、ということでもある。
そのへんで、ムータン引っ越しの際に2人もダンマスも少し危惧していた。精神的に弱い者、幼い者が幾分いるからだし、全体的に弱い。
だが、変わり始めたのは、旅に出る者達が出始めてから。彼等は少しずつこっちの世界の大人になり始めている。
ーー
翌朝。
セレーネとマッハが作った朝食を食べいる時、
「んじゃ、今日は俺達がザッといろいろ案内するか!」ドーラ
「いいね!マッハもまだ見ていない所がいんじゃない?」ユータ
「そーだなー!」
ということで、朝食を早々に終えた。
まず水路ダンジョンで中間の街に行くので、この街の水路ダンジョン入り口に行く。
ダンジョン入り口の階段を降りていく。
「あ、なんかくぐった」セレーネ。
「流石だな、モモンガのサーチゲートじゃないかな?悪いやつだと通れない。下手したら亜空間に飛ばされ、遠くに捨てられちゃうw」ドーラ
「大丈夫なのか?」マッハ
「うん、悪党や性格のものすごく悪いやつとか、悪事を考えている奴だけだから。」ユータ
「というか、この国とゴンザールに入ってくるときにもこのチェックあるので、ここまで来られる悪者ってまずいないけどな。」ドーラ
ドラゴニア関係以外では転位を使える者はまず居ない。なので転位での侵入はまずいない。飛行だと幾分いるかもしれないが、警備のサーチに引っかかってしまう。
船に乗ると、
「これ、水に浮いているんでしょ?海でも使えるの?」セレーネ
「ああ、もうドラゴニアから俺らの島のあるところの陸地の方にまで行き来しているはずだ」マッハ
マッハも応募してたのかな?倍率高かったからね!
「うん、試験的にだけど毎週数本でている。向こうに帰る時に乗ってみてもいんじゃないか?マッハ、始発港知ってるよな?」
「うん、南水路の入り口だろ?皆で見に行ったことある。水路が繋がったから小舟で一周してきた。」
魔法で小舟を押して進むのだ。かなりの速度が出る。本川に出れば出口の上流、川のあちこちに養殖班の桟橋と小屋も出来ているので休んだり泊まったりもできるし、便利になっている。川の漁で使うためのものだ。
ドラゴニアの街の側から南の水路に出て本川に出て遡り、北の水路に入ってドラゴニアの街に戻ってくる。2日か3日くらいかかりそうな行程だが、男の子たちだ、楽しんでやったことだろう。
モモンガのフェリーに乗って3時間くらいで中間の街。
街を歩いてみて、冒険者ギルドに寄ってみる。この街が冒険者のための街だからだ。
そこでマッハがセレーネに登録してみるか?と訊くと、してみたい!と。
冒険者登録した。マッハとのペアとして登録もした。
この街にも当然美味しいケーキ屋や食堂はある。なので食べ歩き。
人魚は美味しいものが好きだからね!
その後少し森の奥に飛行し、変異種の魔獣を何頭か狩る。皆のストレージに5頭くらい入ったかな?
通常種より美味しいので、ここらに来た時は狩っておくのだ!!
なぜだかほかではめったに見ないので。
そして飛行でそのまま森を横切り荒れ地に出て飛行を続ける。途中でユータによって間を省略転位。荒れ地のゴンザール側に出てから少し飛ぶと、東に森が見え始める。
「あれがゴンザール王国。大半が魔獣の森の国。俺らの国の最初の同盟国だ。王やあの森の領主はとても良いやつだ。ドラゴニアができるまでは、この世界で唯一の良い国だった。冒険者達の憧れの国だった。」
とドーラが誇るように説明する。
「あんたがそこまで誇るのも珍しいわね?」セレーネ
「ああ、それだけ凄いんだ。ドラゴニアはあの国王や領主には今でもいろいろ世話に成っている」
国家運営などに関しては未だに教わっている。
ギルドの広範囲運営も、ゴンザールなしでは難しかったろう。
他国との同盟も、皆ゴンザールが先に同盟していたので容易に信用してくれた部分も大きかった。
そしてユータとドーラは、ゴンザールに足りない部分、つまり武力を補い、ゴンザールに侵略しようとしていた国々をつぶした。国境も閉鎖し、ろくでもない者達がゴンザールに入れないようにした。
あとは国内やゴンザール・ドラゴニア間をより安全に移動できるようにしたり、発展に手を貸したりした。
お互いにうまく助け合っている。
それらを聞いたセレーネは感心した。
「ウチとは全然違うわね」
「いや、人魚王国って問題ないじゃん?」
「うん、あのデカイイカだって、わざわざ呼び寄せてアレしたけど、普段はあまり来ないんでしょ?」ユータ
「うーん、そうよねぇ、うちは平和よねー」
「平和が一番だって。わざわざ危機を呼ぶ必要ないだろ?」マッハ
「そりゃそーだけど、アノ時はつぶしておいてほしかったのよ」
「今は手下同様だしな」
あはははははは!!(ドーラ、ユータ)
「あ、またゲソ欲しいな?」ユータ
「・・・・・・・・・・・・」×3
今日はもう夕方なので、荒れ地側の砦の街の前にある、ミノの宿屋に泊まることにした。
0
あなたにおすすめの小説
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
合成師
あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる