アルファの私がアルファの皇太子に溺愛執着されていますっ!

高遠すばる

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はじめて8(性描写あり)

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「フェリクス、フェリクス……っ」
 アンリエッタは夢中でフェリクスの首筋にしがみついた。全身がふわふわして、そうしないと、からだがばらばらになってどこかへ行ってしまいそうだった。
「アンリエッタ、少し、奥までいい?」
「いい、いいからっ」
 アンリエッタはぎゅっとフェリクスに抱きついた。
「私、あなたを、助けに来たんだもの……ッ」
「……、そうだね。君は、僕を助けに来てくれたんだ。僕が、困ったから」
 フェリクスの目に暗いものが宿る。けれどアンリエッタは、もういっぱいいっぱいで、その事実に気づけなかった。
 ぐち、とフェリクスの指が胎内に深く差し込まれる。と同時に、指を折り曲げられ、中の腹側をこすりあげるようにひっかかれた。
「――っ!」
 アンリエッタが声も上げられずに体を痙攣させる。股の間からなにか水のようなものが出て来たのがわかった。粗相をしてしまった……?
 アンリエッタが目に涙をためてフェリクスを見上げると、フェリクスは薄らと笑みを浮かべてアンリエッタを見つめ返した。アンリエッタは口を開く。
「ふぇ、ふぇりくす、ごめんなさい」
「何。僕に同情で体をさし出したこと?それなら――」
「あなたのベッドに、粗相をしてしまったわ……」
 アンリエッタが震える声で言うと、フェリクスは一瞬、面食らったように目を瞬いた。
「粗相?」
「だから……」
 フェリクスは、アンリエッタの股を濡らす、透明なものに触れた、そうして、笑って「違うよ、これはそういうものじゃない」と言った。
「え、じゃあ、これはなんなの……?」
「君が気持ちよくなってくれた証拠だよ。……ふふ、かわいい……本当に、なにも知らないんだ。真っ白で、きれいな僕のアンリエッタ……」
 フェリクスが、アンリエッタの額にキスを落とす。キスは好きだ。フェリクスのぬくもりを感じられるから。
「ん、んぅ……」
「ん……アンリエッタ……」
 触れるだけのそれはひどく甘く感じられる。
 けれど、フェリクスは、アンリエッタをそんなやわらかなだけの状況に置いておいてくれることはなかった。
 脚の間の秘めた場所――すっかりほぐれてしまったそこから、フェリクスが指を引きぬく。
 急な喪失感に、アンリエッタが「あ……」とあえかな声を漏らす。
 そうして、狭い、まだ誰も受け入れたことのない理口に、なにか熱いものが口づけた。
「アンリエッタ……君を、もらうよ……っ」
 アンリエッタが何を、と問う前に、それは訪れた。
 アンリエッタの花弁をかきわけて入ってきたのは、フェリクスの熱杭だった。
「は、ぁあああぁ……ッ」
「く……っ、アンリエッタ、力を抜いて……」
 フェリクスの傘高い雁首がアンリエッタの狭い隘路を進む。
 何かが破けた感覚がして、アンリエッタは痛みに――そして、同時に感じる、言い表しがたい充足感に高い声をあげた。
「ひあ、あ、あああ、ぁ」
「アンリエッタ……ッ。は、これで、僕の、ものだ、君の全部……、僕の……」
 どろどろした独占欲を口にするフェリクスの声も、今のアンリエッタにはうまく咀嚼できない。与えられる耐えがたいような感覚に、アンリエッタは泣き喘いだ。
「アンリエッタ……かわいそうに……僕なんかに捕まって、僕のために体までさし出して……」
「ん、ふ、ぁ、ちが、ちがぁ……っ」
「ふふ、何が違うの、かわいいアンリエッタ。僕に奪われた事実はかわらないのに……」
「私、は、かわいそうじゃないわ……、だって、あなたが好きだから、あなたを助けようと思ったんだもの……」
 言って、アンリエッタはフェリクスに自分からキスをした。もはやひっかかっているだけだったネグリジェが完全にほどけ、シーツに落ちる。
 生まれたままの姿をさらしたアンリエッタに、フェリクスは息を呑んだ。
「すき、好きなの、フェリクス、あなたが、すき……」
「……ッ」
 フェリクスが動き始める。
 奥の奥までを求めるように入ったと思ったら、腹の内側、アンリエッタがそこを撫でられると点でダメになってしまう場所をぞりぞりとこすりあげられる。
「あ、ぁ、ああ、はげし、ふぇり、く」
「はぁ、は、アンリ、アンリエッタ、好きだ、愛してる……ッ!誰にも、誰にも渡さない…!」
 激しい律動のさなか、フェリクスが口にした言葉に、アンリエッタは、ああ、と思った。
 ラットの原因はこれだったのだわ、と思って。
 フェリクスは、アンリエッタがフレッドと望まぬ婚姻を結ばれそうになったことを恐れたのだろう。それを無意識にため込み、今回ラットいう形で表れたのだ。
 アンリエッタはフェリクスの首にかじりついて、口づけをした。
 えげつない水音ともに体が揺れる。
 あげた嬌声は、フェリクスの口内に飲み込まれてゆく。
 このひとが好きだと、どう伝えればいいのだろう。アンリエッタは、もどかしくすれ違ったているような気がして、頭がおかしくなりそうな快感の中、それでも必死にフェリクスにすがりついた。
 律動が激しくなる。アンリエッタの体をくの字に曲げて、フェリクスはアンリエッタに深くキスをした。舌を絡め、唾液を混ぜ合わせるキスが、アンリエッタの思考までもを犯していく気さえする。
「ん、ぅ――……っ」
 アンリエッタはうまく息のできないなかで、それでもフェリクスから逃げようとはしなかった。もう、逃げなくていいと思った。
 怖くないから、愛しいから、大丈夫。
 アンリエッタはそう思って、フェリクスの口づけを受け入れた。
 最後の瞬間、腹の中で何かがはじける感覚がして――同時に、あたたかな温度をそこに感じた。意識が遠ざかっていく。アンリエッタが眠ってしまう直前、フェリクスがなにか呟いた気がしたけれど、それより先に、アンリエッタの意識は暗闇に落ちてしまって、聞こえることはなかった。

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