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4.顔合わせ
しおりを挟む「お待たせ致しました。フレミア様、どうぞ」
伯爵家の従者が丁寧に礼をする。
侍女リアーナと共に馬車に乗り込みアイロワニー伯爵家へと向かう。
車窓から外の景色を見ながら、思わずため息をついてしまう。
すると、リアーナが心配そうに私を見て、
「フレミア様…。使用人の者達は…皆、フレミア様の味方です。どうか、お気持ちを強く持ってください…」
そう言った。
「リアーナ…ありがとう。心配をかけてごめんなさいね。」
「ジュリー様も旦那様も奥様もこんなの勝手すぎます…!フレミア様をなんだと思っているのでしょうか…!」
「リアーナ、その気持ちは嬉しいわ。でも、そのような事を外で言ってはダメよ。」
小さく微笑みリアーナを見る。
「申し訳ございません…。5年前からフレミア様がどれだけあの3人に邪険に扱われていても、侯爵家の為、領民の為にと一生懸命に尽くしてこられた姿をお側で見ていたのでどうしても許せなくて…。こんな身代わりみたいな事を…!何とかラウル様とお話して円満に婚約解消はできないのでしょうか…。」
「リアーナ。侯爵家に産まれた以上、領民の為に最善を尽くす事は当たり前の事ですよ。そして、私はもしラウル様の元へ嫁ぐ事になれば、命を挺しても皇子を守る素晴らしい方との結婚を光栄に思うわ。私が憂いているのは、伯爵家やラウル様に何と詫びたら良いのか、そして私がいなくなった後の侯爵家の皆や領民がどうなってしまうのか心配なのよ…」
「フレミア様…」
そして馬車が止まり、扉が開けられた。
屋敷へ案内され客間に入る。
そこにいたのは…。
「フレミア・バラレンド侯爵令嬢。本日はわざわざお越しいただきありがとうございます。ラウル・アイロワニーです。さあ、どうぞお座りください」
窓からの光に照らされ、少し笑みを浮かべられたラウル様が、何とも心地の良い声で挨拶される。
確かに顔の半分は傷を負い、痛々しいお姿ではあるが、恐怖や嫌悪感は全く感じない。むしろ、その優しい雰囲気に胸がざわついてしまった。
見惚れそうになってしまう自分を律して、姿勢を正し挨拶をする。
「フレミア・バラレンドでございます」
カテーシーをし、目線をあげると、変わらず優しい目で私を見つめるラウル様と目が合う。
ラウル様の意図がわからない……。
侯爵家に半ば無理やり婚約を結ばれ、自分が顔に傷を負った途端婚約を解消し代わりに姉と結婚しろと言われ……
ラウル様や伯爵家が気分を害していないはずがない。
私は爵位が侯爵家の方が上であるとは言え、軽蔑の目を向けられる事を覚悟してここに来た。
しかし、そのような感情はラウル様の雰囲気や表情からは感じられない…。
挨拶をした後、2人の間にはしばしの沈黙が流れる。
その沈黙に耐えられず、ぎゅっと自分の手を握り謝罪の言葉を言おうとした時。
「申し訳ございませんでした…!」
「申し訳ありませんでしたっ…」
私とラウル様はお互いに同時に謝り合い、同時に顔を上げて目を見合わせる。
(えっ…??)
2人でキョトンとした顔で向き合うのだった。
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