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8.訴え
しおりを挟む「私がカレンと恋仲?カレンは冗談が過ぎるなぁ。カレンが言うことなんて気にしないで。」
人の旦那様と不倫していると豪語しておいて、冗談で済まされる事では無いと思います。
しかし、多くの使用人の前で、カレン様が旦那様との夜が素晴らしいと言っていたなんて、言えるはずも無いです…。
「ねぇエリーゼ?あと4日で私たちの誕生日だね?エリーゼも体調が良さそうだし、2人でデートに行こう。」
……これは…ご機嫌取りでしょうか…。
これで、全てが解決になると思っていたのなら、、旦那様は大バカ者です。
夕食も終わり、なんとなくはぐらかされてしまった私は、とっても心がモヤモヤしています。
湯浴みをして、
侍女達が下がった後、
床に着こうとした時、
コンコンッ
ノックの音がしました。
「エリーゼ。良いかい?」
私は驚きました。
初夜の日から約1年、こんな時間に旦那様が私の部屋を訪ねてくるなんて1度もありませんでした。
カレン様との事が私にバレて、よっぽど焦っていらっしゃるのでしょうか…。
「…どうぞ。」
「ごめんね、こんな時間に。やっぱりさっきの話が気になって。きちんと話そう?」
私、旦那様に少し怒っているのですが…。
怒っているのですが、お休み前の髪を整えずに楽な格好をされている旦那様も素敵すぎて、見惚れてしまいます。
私は、ささっとお茶を入れ旦那様に差し出しました。
「ふぅ。ありがとう。こうやってエリーゼのお茶を飲むのは久しぶりだな。」
「そうですね。私がこのお屋敷に来て、初夜ぶりです。それから1度も旦那様はこちらにいらっしゃっておりません。」
「…エリーゼが倒れてしまって、無理をさせたくなかったんだよ…。」
「…カレン様とは、共にしていらっしゃるのに??」
ダメだ。また止まらなくなってしまう…。感情を抑えきれない女だと思われてしまう…。
「ちょっと待って、どういう事?」
「カレン様が!おっしゃっていましたわ。ウィル様は夜も素晴らしいと!!」
私と共にしなかったのは、カレン様がいらっしゃるから?
「いや。カレンとそういう関係になっとことは誓って無い。」
「でも…。旦那様は私を抱いてくださらないじゃないですか!他にお慕いする方がいるのでは無いですか?そう、思ってしまいます!」
「それは、エリーゼの体調が心配で…。」
「その上、私と初夜しか床を共にしていないことをカレン様にお伝えしたのでしょう!?」
「なんだって…??」
今まで宥めるように話していた旦那様の表情が一変、真剣な表情です。
「カレンが、私たちが初夜しか共にしていないことを知っていたのか?」
「は、はい…。」
旦那様が言ったのでは、、なさそうですね…。
「そうか、確信に変わったよ。」
「確信ですか…?」
「私は絶対にそんな事言わないし、カレンと2人で会ったことも長らく無い。マジューを含めて会ったことはあってもね。でもそんな事はマジューにも誰にも言わない。
だから、そんな夫婦の事をカレンが知っているということは、屋敷の誰かがカレンと繋がっていて情報を流しているしか考えられない。」
「屋敷の誰かが、カレン様と結託し、私達の仲を壊そうとしているという事ですか?でも一体何のために、、。」
旦那様と私が釣り合っていない事は百も承知ですが…。
「カレンは元々独占欲の強い女性だから何となくわかるけれど、誰がカレンに加担しているのか…。
ごめんね。エリーゼ、必ず見つけ出してエリーゼを守るから…。」
「私も、注意深く過ごそうと思います。」
己の身を守れるのは、己です。
「もう、こんな時間だね。エリーゼ、話してくれてありがとう。ゆっくり休んでね。デート、楽しみにしているよ。」
旦那様が立ち上がり、部屋を出て行こうとしました。
私は咄嗟に言いました。
「今日も、私は1人で眠れば良いのでしょうか?」
カレン様に、あそこまで言われて屈辱を感じなかった訳がありません。
「やはり、私では力不足でしょうか?」
「エリーゼ?身体が心配で…
「私の心は心配ではっ!!無いのでしょうか…。」
思わず涙が出てしまう。はしたないのかもしれません。
でも、ここまで女性に言わせてしまう旦那様も旦那様です…。
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