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25.それぞれの道
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ーーそして1年後…
聞く話によると、マリアは奴隷市で遠い異国に売られ、異国の地で娼婦として生きていくようです。
言葉も分からぬ地で、ただ1人毎日身体を売るだけの日々…。自分で招いた結果とは言え、同じ女として同情すら覚えます。
そして…。
フィオナの刑も執行されました。
私は見ていませんが、最後まで
"私は公爵夫人だ!公爵夫人をこのように扱いタダで済むと思うな!"
と、叫びながら逝ったようです…。
なぜこのように身分に縋り付くのか気になり、アンハルト公爵家の古株であるセバスチャンに聞くと、フィオナの家は元々平民であったが、父親の代で準男爵の爵位をお金で買ったと貴族の中では嘲笑われ、幼少期から肩身の狭い思いをしていたようです。
自分を笑った貴族を見返してやりたかったのでしょうが…。
なんとも哀れな人生です…。
カレン様も、マジュー様と離縁され前伯爵様の元へ立ったそうです。
1度謝罪のお手紙を頂きましたが、前伯爵様は昔から娘が欲しかったようで、使用人として行ったものの、実の娘や孫のように可愛がっていただけているようです。
"持っていた物を必死に守っていた頃より、何も無くなった今、1から自分を見つめ直す事ができて有意義な日々を過ごす事ができている。"と手紙には記されていました。
カレン様のご実家ですが、マジュー様とカレン様は離縁されましたが、カレン様の家が手掛けていた商売は、マジュー様に経営権は移ったものの、カレン様の家の商団も傘下に入れ、さらに経営を拡大しているそうです。
この1年、
我がアンハルト家も本当に大忙しでした。
あの事件後すぐに、マリアの母が辞職願いを出しに来ました。
マリアの母とジュリア様は幼い頃から近くで育ち、死ぬ間際にも"ウィルの事をよろしく頼む"と懇願されていたようで、ジュリア様との約束を守れなかったと涙を流していました…。
旦那様も、乳母との別れは辛かったようですが、重罪人の母親という事で屋敷に置いておく事は出来ず辞職願いを受け入れました。
そのかわり、お義父様が復興する地へ行き侍女として再就職し、ジュリア様との思い出の地をお義父様と守ってもらう事になりました。
今日は、そのマリアの母とお義父様が約1年ぶりにこのアンハルト公爵領へいらっしゃいます。
「お、来たようだよ。」
お2人を乗せた馬車が到着しました。
「ウィル!エリーゼ!久しぶりだな。ウィル…。なんだか良い面構えになったのではないか??エリーゼ、体調はどうだ??」
「父上こそ、なんだか日に焼けてここにいた時よりも元気そうに見えます。」
「お義父様、ありがとうございます。体調はとても良いです。お義父様も元気そうで何よりですわ。」
「そうかそうか、それは良かった!
それで……おぉ!!この子がミランジュリーかっ!!なんて可愛い女の子だろうか!!おーよしよし、おじいちゃんですよー!!」
あの事件後、嬉しい事にすぐに子どもを授かり無事元気な女の子を出産致しました。3ヶ月になりました。ジュリア様からお名前を頂戴し、ミランジュリーと名付けました。
寝ているミランジュリーを抱っこするお義父様。その幸せそうな笑顔を見て、思わず私は旦那様の腕に手を伸ばし寄り添いました。
「ふぇっ?」
ミランジュリーが起きてしまいました。
そう思った瞬間…。
「ジュ、ジュリア……。」
お義父様の頬に一筋の涙が伝いました。
「まぁ、まあっ!!なんてジュリア様にそっくりなのでしょう…!!」
マリアの母まで顔を覆って涙を流しています。
目を開けた時のミランジュリーは、ジュリア様にそっくりだそうです。
「うぁーーあーー?」
ミランジュリーが泣いているお義父様を心配するような素振りを見せました。
「うぅうぅっっ。ジュリアッ…!!いや、ミランジュリー。すまない、すまない。ありがとう…!!ここを離れ遠い地へ行っても、ジュリアの元へ行きたい気持ちでいっぱいだった…!!しかし…ここにジュリアは生きているんだな…。」
「お義父様…。きっとジュリア様は、お義父様や旦那様が心配でミランジュリーと一緒に皆の元に帰って来てくれたのかもしれませんね…。」
「ははっ、そうかもしれないな。いつまでも心配をかけるなぁジュリア…。」
そう言うと、ミランジュリーも
"キャハハッ!"と笑うのでした…。
「旦那様…。大切に守って行きましょう。この子を、この公爵家を、この地を…。」
「あぁ。そうだな…。これからも、どんなことも乗り越えて行こう。ずっと2人で。」
「はい…!!」
この決意を忘れないでいようと思います。ずっとずっと………。
旦那様の不倫相手は幼馴染.....fin.
お読み頂きありがとうございました。
コメントやお気に入り登録がとても励みになり、皆様のお陰で完結させる事ができました。ありがとうございました。
頼りない登場人物達が、少しずつ成長していく姿を見守って頂けてとても嬉しかったです。
次作も書き始めました。
良ければお読みください。
本当に、ありがとうございました!!
聞く話によると、マリアは奴隷市で遠い異国に売られ、異国の地で娼婦として生きていくようです。
言葉も分からぬ地で、ただ1人毎日身体を売るだけの日々…。自分で招いた結果とは言え、同じ女として同情すら覚えます。
そして…。
フィオナの刑も執行されました。
私は見ていませんが、最後まで
"私は公爵夫人だ!公爵夫人をこのように扱いタダで済むと思うな!"
と、叫びながら逝ったようです…。
なぜこのように身分に縋り付くのか気になり、アンハルト公爵家の古株であるセバスチャンに聞くと、フィオナの家は元々平民であったが、父親の代で準男爵の爵位をお金で買ったと貴族の中では嘲笑われ、幼少期から肩身の狭い思いをしていたようです。
自分を笑った貴族を見返してやりたかったのでしょうが…。
なんとも哀れな人生です…。
カレン様も、マジュー様と離縁され前伯爵様の元へ立ったそうです。
1度謝罪のお手紙を頂きましたが、前伯爵様は昔から娘が欲しかったようで、使用人として行ったものの、実の娘や孫のように可愛がっていただけているようです。
"持っていた物を必死に守っていた頃より、何も無くなった今、1から自分を見つめ直す事ができて有意義な日々を過ごす事ができている。"と手紙には記されていました。
カレン様のご実家ですが、マジュー様とカレン様は離縁されましたが、カレン様の家が手掛けていた商売は、マジュー様に経営権は移ったものの、カレン様の家の商団も傘下に入れ、さらに経営を拡大しているそうです。
この1年、
我がアンハルト家も本当に大忙しでした。
あの事件後すぐに、マリアの母が辞職願いを出しに来ました。
マリアの母とジュリア様は幼い頃から近くで育ち、死ぬ間際にも"ウィルの事をよろしく頼む"と懇願されていたようで、ジュリア様との約束を守れなかったと涙を流していました…。
旦那様も、乳母との別れは辛かったようですが、重罪人の母親という事で屋敷に置いておく事は出来ず辞職願いを受け入れました。
そのかわり、お義父様が復興する地へ行き侍女として再就職し、ジュリア様との思い出の地をお義父様と守ってもらう事になりました。
今日は、そのマリアの母とお義父様が約1年ぶりにこのアンハルト公爵領へいらっしゃいます。
「お、来たようだよ。」
お2人を乗せた馬車が到着しました。
「ウィル!エリーゼ!久しぶりだな。ウィル…。なんだか良い面構えになったのではないか??エリーゼ、体調はどうだ??」
「父上こそ、なんだか日に焼けてここにいた時よりも元気そうに見えます。」
「お義父様、ありがとうございます。体調はとても良いです。お義父様も元気そうで何よりですわ。」
「そうかそうか、それは良かった!
それで……おぉ!!この子がミランジュリーかっ!!なんて可愛い女の子だろうか!!おーよしよし、おじいちゃんですよー!!」
あの事件後、嬉しい事にすぐに子どもを授かり無事元気な女の子を出産致しました。3ヶ月になりました。ジュリア様からお名前を頂戴し、ミランジュリーと名付けました。
寝ているミランジュリーを抱っこするお義父様。その幸せそうな笑顔を見て、思わず私は旦那様の腕に手を伸ばし寄り添いました。
「ふぇっ?」
ミランジュリーが起きてしまいました。
そう思った瞬間…。
「ジュ、ジュリア……。」
お義父様の頬に一筋の涙が伝いました。
「まぁ、まあっ!!なんてジュリア様にそっくりなのでしょう…!!」
マリアの母まで顔を覆って涙を流しています。
目を開けた時のミランジュリーは、ジュリア様にそっくりだそうです。
「うぁーーあーー?」
ミランジュリーが泣いているお義父様を心配するような素振りを見せました。
「うぅうぅっっ。ジュリアッ…!!いや、ミランジュリー。すまない、すまない。ありがとう…!!ここを離れ遠い地へ行っても、ジュリアの元へ行きたい気持ちでいっぱいだった…!!しかし…ここにジュリアは生きているんだな…。」
「お義父様…。きっとジュリア様は、お義父様や旦那様が心配でミランジュリーと一緒に皆の元に帰って来てくれたのかもしれませんね…。」
「ははっ、そうかもしれないな。いつまでも心配をかけるなぁジュリア…。」
そう言うと、ミランジュリーも
"キャハハッ!"と笑うのでした…。
「旦那様…。大切に守って行きましょう。この子を、この公爵家を、この地を…。」
「あぁ。そうだな…。これからも、どんなことも乗り越えて行こう。ずっと2人で。」
「はい…!!」
この決意を忘れないでいようと思います。ずっとずっと………。
旦那様の不倫相手は幼馴染.....fin.
お読み頂きありがとうございました。
コメントやお気に入り登録がとても励みになり、皆様のお陰で完結させる事ができました。ありがとうございました。
頼りない登場人物達が、少しずつ成長していく姿を見守って頂けてとても嬉しかったです。
次作も書き始めました。
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みんなの感想(174件)
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お話がとんとんと進み大変面白かったです!
誤解についてもしっかり対処していったのがとても好印象でした。
何故きちんと報告しない?何故しっかり確かめない!?といった点がほぼ無いのでストレスフリー。よきよき。話の切欠としてエリーゼとウィルの歩み寄りが足りなかった理由が毒、という点が最初ちょっと甘いかなあと感じたのですが、ウィルの両親・生い立ちの話で納得でした。ただ、母を失った理由がもしかしたら毒だったかも(今回エリーゼが倒れた症状と一緒だった)とかがあったら、もっとバイオレンスだったのでは?とか妄想しております。まあ、これはここまで素敵な仕上がりとなっているからこそできる想像ですが!
カレンさんはお貴族様として育ち、美女であったため我儘になってしまったのでしょうね…。初恋が初めての挫折になったから執着してしまったんでしょうか…幸せは目の前にあったのに。でも、本人がしっかり理解してやり直すチャンスがあったのには読んでいて救われました。良かった良かった。
マジュー氏が蹴り入れたシーンにわりとびっくりして二度読みしたんですが(笑)彼なりに政略結婚への鬱憤があったのかな?とか。カレンへ恋愛感情が無くとも歩み寄って大事にしてた努力と情を裏切られた怒りがあったのかな?とか。色々、こちらも妄想が膨らんでおります。
お話としては、ウィルとマジューの友情があってこその連係プレー&解決だったかな。信頼して話せる本当の友達だったんでしょうねー!あ、カレンさんも猪突猛進という信頼があったようですが…ね!幼馴染可愛い。
そしてそして、エリーゼ最高でした!そうよねー綺麗に剪定された薔薇に見えても棘はありますよねー!貴族らしく我慢するところは我慢し、でもしっかり嫌味は返す。物語を進めるためにも、ちゃんと言葉にして相手にぶつけられた功績は大きいと思います。
完結済から拝読させて頂きましたが、良作に出会え幸せでした。
素敵な読書時間を下さり、ありがとうございました。
ご丁寧にありがとうございます!
如月様の作品は如月様の作品なので、お好きなように書いてくださいね(o^^o)
こちらこそ、また覗かせてください(*'▽'*)
お互い頑張りましょう!
感想ありがとうございます!
全然大丈夫ですよ!!パクリだなんて思いません( ; ; )!!
如月様が描きたいように描いてください!!
やはり物語は(特に異世界ものや転生もの)王道のストーリーがあると思うので、(少年ジャン○とかでも☺︎)多少なりとも似てしまう事は絶対ありますし、私ももしかしたら知らず知らずのうちに似てしまった作品もあるかもしれないです…(´Д` )私は割と描きたい作品と読む作品の系統が違うのであまり無いとは思いますが_:(´ཀ`」 ∠):
投稿する前にそのように調べられるのは凄いです!私も見習うべきだと思いました!