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3章〜マリンマリン王国水の都〜&真相の光

106、可愛過ぎて困る

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「リティア、そろそろ行かなきゃ間に合わんかもしれん」
「うっ。…………はーい」

 ノークさんの目からハイライトが消えている。

「む。リティア」
「どうしたの?」
「何故俺に乗って行こうとは思わないんだ?」

 コムクの一言で辺りが一瞬静まり返る。そしてーーーー


「コムクナイス!」
「いいのか!?」
「怖えよ!」
「ひっ……」
「ひょっ!」
「はぁぁぁ」
「だああ!!」
『コムクずるいぞ』
『うらやましいですぅ』
「流石コムクです……!」
「あたしはそれ微妙だと思う」


 見事に皆言葉が被らなかった。わぁ、バリエーション豊か。

 因みに上から私、ローク、ノークさん、お付きその1、お付きその2、クーイ、騎士、フェアディ、ルビクル、チカ、サラン。


 あ、呼び方は変えて。家族なのに変に様付けとか嫌でしょ?

 だから皆呼び捨て。ルビクルは『いいんですか!?』と目を輝かせていたけどチカが何気に頑固な一面を持っていた。

 他の皆の事を呼び捨てにするのは早かった。でも何故か私の呼び方は「様」に拘っていた。


◇◆◇

「チカ!私の事も普通に呼んで?」
「呼んでいますよ?リティア様」
「普通じゃないよね、それ!」
「いえいえ。私にとっては普通なので普通です」

◇◆◇


 こんなやり取りを一日中していた時は、流石にフェアディ達が中立になって妥協案になった。

 その妥協案は、


 私の事を家族達だけの空間では呼び捨てにする。それ以外の場では様付けで呼ぶ。


 今は納得している。家族だけの空間で、はにかみながら「リティア」って言ってくれるんだよ?可愛すぎて倒れそう。というか実際に倒れた。

 心配したらしく珍しく全員に叱られたのでそれ以降は倒れていませんよ!

 しかも家族の前でだけ「私」から「僕」に変わる。私にショタの趣味は無かったけど新しい扉が開きそうなんだよね…………。


「イヤイヤイヤ、コムク様、俺達を乗せるなんて大丈夫ですか?助かりますけど」
「そうだった!コムク、諦めよう。流石に全員乗せるのは難しいと思う」
「………………」

 あ、コムクその目は反則。捨てられた子犬のような目なんだよね。って、私騙されるなよ!?相手は大型犬以上の大きさの子だからね!!

「それは大丈夫です!」

 チカが褒めてと言わんばかりの明るい声で言う。

「こんな事もあろうかと、皆様が乗れる籠をご用意致しました」

 チカが何も無い空間からとても重量のありそうな籠を地面に置く。しかも籠の底は大きくて可愛いシートが敷いてある。

 あ、レースが可愛い。でもそれより

「こんな事……」
「はい、こんな事です」

 チカの成長速度が速過ぎて見た目幼女な私は若干着いて行けていない。

 だけどチカはそんな呆然としている私をひたすら見つめている。

「?チカどうし…………ん、チカおいで」

 両手を思いっきり広げて準備完了。いつでもよし!!

「はいっ!」

 そして準備完了した途端にチカは籠をゴミを捨てるかのように放棄して私の元へ駆け寄って来る。

 「ぐえぶ」

 こんな声ももうお約束だね。

「いい子いい子」

 小さい子を思いっきり褒めるように頭をワシワシと撫で回す。

「でもねチカ、籠大切に扱って欲しいなぁ」
「はい……」

 うちの子達は何をしていても可愛過ぎて困る。




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