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3章〜マリンマリン王国水の都〜&真相の光

113、ダンジョン!?

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「リティア!!」
『…………え?』

 皆揃って空耳かと小首を傾げる。

「リティア!!」
『…………』

 声のする後ろを振り返ると本物が居る。

『…………』

 皆揃って口が半開きになっている。でもね、仕様がないでしょう?

 私は思い出してすぐ来れると分かっていたからそんな醜態(ププッ)は晒していないよ?


 でもソークが此処に来るなんて想定外。せめて私が一人の時に来ると思っていた。

 そしてソークの後ろに居るのはーーーー世界樹。

 
「あっ…………」

 突然だけど私は世界樹に土下座&懺悔しようと思います。

「ごめんなさいーー!」

『え!?』

 私の奇行をソークと世界樹も含めた皆が目を白黒させながら見ている。


 私はそれどころじゃないんだよっ!!

 世界樹の事思い出していなくて普っ通~に他人として接していたあの時を思い出す。

「謝罪はいりませんよ。僕はまた貴方に会えた事が只々嬉しくて仕方がないのです」
「なっ、なんて素敵で立派な子なの!」

 ママとっても嬉しい!誇らしい!!殆ど育てて無いけどねっ!!


「あ~~、ソーク。どうやって此処に来たんだ?」
「秘密です」
「どうしてもか」
「秘密です」
「王として言ってもか」
「秘密です」
「………………。はぁ、とりあえずこの場では追及しないでおく。後で改めて聞くからな」
「分かりました。ありがとうございます!」

 ノークさんは胡乱げな目をソークに向けるけどソークは我関せず。

 一応話は終わったと思うから今度は私が聞く。


 ソークは只々私に会いたいからという理由だけではこんな私達の手掛かりへと成り得る行動は行わない。

「ソーク、は?」
「さすがリティア。分かっているんだね」
「付き合いどれだけ長いと思っているの?」
「言えるけど、この場では駄目だよ?」
「あははっ!」

 やっぱりソークはナディで、ナディはソークだ。此処でロマンチストな事を言ったりしないんだ。
 
 私に釣られてかソークも微かに笑う。

 そして右手を挙げて、私とソーク、世界樹だけが居る白い空間を結界で作った。

 この結界は防音だけでは無く姿を見えなくする効果もあるモノ。

 だから態々右手を挙げる事でソークが何かしたのだと周りに知らしめた。


「リティア、真面目な話をしよう」
「分かった。……でも、此処で感動の再会とかを挟むわけではないのね」
「ーーーーリティアっっ!!会いたかったよ!!」
「真面目な話じゃ無かったの?」
「リティアが言い出したのに」

 つい阿呆を見る目で見た私は悪くない。

「突然で悪いけどリティア、僕達がこの世界の管理を辞めたのに、何故この世界は動き続けていると思う?」
「…………」

 思わず眉間に皺が寄る。

 確かに何でだろう。ママ達の力は合わせても私の力より無い。世界が生み出した神がママ達なんだと思う。

 だけどそんなママ達が私の代わりに負の力を受け入れているのなら、もう死んでいる筈で。


 そして私は一つの考えに思い至る。


「もしかして、世界樹が受け入れているの?」

 嘘だよね?そんな微かな希望に縋って二人を見る。でも二人はすぐに首を縦に振り、私の希望を砕く。

「そんなっ!…………あの後すぐに引き継いだのなら、もう長くは持たないよね……」
「そう。だから、異世界に転生して来たリティアなら何か良い方法を思いつけるかもしれないと思って」

 ソークは今にも泣きそうだ。いや、泣いた後だね。こうして近くで見てみると、涙の後があると分かる。


 何か良いアイディア。

 私、よく考えて!!

 あの異世界はファンタジーで溢れていたでしょう。何か、何か。手掛かりはーーーー。

 力を吐き出す?いや、そもそも世界樹に流れないようにする。そして世界樹に溜まった負の力も出せないと。


 魔力溜まり?そうだ!ダンジョン!!


「ダンジョン!!」
「「ダンジョン?」」

 聞きなれない単語に二人揃って小首を傾げる。うっ、可愛い!!ラブ!!そんな邪な考えを感じさせないように言う。

「そう、ダンジョン。負の力をそのダンジョンの稼働に使うの。ダンジョンって言うのは、魔物達が沢山居る建物とか洞窟とかを何階も人工的に作って、魔物は倒したらアイテムーー宝が現れるようにする。そんな場所の事。でね、大掛かりだから結構な力を使うと思う。最適じゃない?」

 二人共私の言った事をしっかりと考え、消化している。

「うん、その方法良いと思う。リティアは旅の途中だから僕がすぐ作るよ。そのリティアの記憶は創る時確かめさせてもらうね。世界樹も手伝ってくれる?」
「勿論です!」

 そう言った世界樹は、大粒の涙をぼろぼろと零している。

「「泣かないで」」


 私達は小さな体で大きな体になった息子を泣き止むまで撫で続ける。

 お互い、顔を見合わせ

 「私達の息子は可愛いね」

と、言いながら。
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