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第14話 辺境伯爵との秘密
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「陛下、無事に到着され安堵致しました。狭い館ではございますが、どうぞごゆっくりと休んで下さいませ」
マリを労うのは、辺境伯爵ガルーダ フォル ルニアだ。目を引く真っ赤な赤髪に、常時戦場の覚悟で常に鎧を身に纏う王国最強の女性だ。
「感謝します、ルニア伯爵。 久し振りですね……もう侯爵の話は?」
館の居間で、ルニアと2人っきりで座って対面しているマリは非常に居心地が悪かった。
共のジャックとメリーは、マリの荷物を客室へと運んでいるからだ。
せめて、恋人のキサラギが居ればまだ安心なのだが……残念ながら側には居ない。
「聞き及んでおります。 ……仕方の無い事かと。 陛下が心を痛める必要は無……ありません」
マリは、ルニアが無理して敬語を使っているのに気付き可笑しくて気が抜ける。
「ふふ、ありがとうルニアさん。 今は2人っきりだし、堅苦しいの止めない?」
(ルニアさんは大丈夫……きっと大丈夫)
マリは自身に言い聞かせながら、気さくに話しかけてみる。
「え? いや……それは。 いえ、助かるよマリ陛下。 私は……本当に敬語が苦手だ」
「あはは、うんそうだね。 違和感が凄いもん」
「ぬぐ! 其処まで言わなくても……。 はぁ、息子にも注意されるのだが……中々に難しい」
「そうだね~。 私も本当は女王としての振る舞いがしんどくてさ~、時々……あぁぁぁぁぁぁ!!!! ってなる」
「くっくっくっ、あははははは! そうか、女王陛下も大変なのだな。 あ~、可笑しい。 まさか、貴女とこんなに気さくに話せるとは……。 もっと……」
一頻り笑ったルニアが口を紡ぐのをマリは優しく問う。
「もっと……何? 怒らないから、この機会に言ってみたら?」
ルニアは、眉をひそめながらゆっくりと話し始めた。
「ぬぅ……貴女はとても冷酷で残忍な女王だと思ってた。 先代の女王とは違って善き女王だとは思う……ですが、血を見る厭わぬ改革を進める姿に些か震えた」
「あはは……エントン王国最強の貴女にそう言われると悪い気はしないわね!」
マリはルニアの過分な評価に乾いた笑いが出る。
「全く……陛下は。 そうだ、教えてほしい。 何故、そんなに改革を急ぐ? 今回の亜人解放もかなり無理をしたのだろ?」
「ん~……そうだね、理由は言えないかな。 でも、私が目指す未来はきっと良い未来。そう信じてるから、私は血を見るのを厭わないし止まらない。 それが、王国の為だから」
マリの真剣な言葉に、ルニアは息を飲み込む。
「マリ陛下……願いを一つ聞いて頂けぬか?」
「え? 何々? 無理じゃないなら、何でも聞いたげるよ? ルニアさんは、大事な国境の要を守る大切な人なんだから」
「過分な評価、ありがとう……。 息子のルカの事です。 親の私が云うのは親バカと思われるかもしれませんが、非常に賢く、男ですが公爵にすらなれる器だと思っています。もし、将来……ルカが何か手柄を立てたら……その、男爵という新しい貴族にして頂けないでしょうか……?」
ルニアは、その見た目とそぐわない程に内心緊張していた。
男を貴族にする。
今までの歴史からだと有り得ない事だ。
しかし、1週間と少し前に前侯爵の息子を新しき貴族である男爵にしたと聞いたルニアは小躍りした。
もしかしたら、息子も貴族として一旗揚げれるかもしれないと。
しかし、マリは……厳しい顔をしていた。
「あ~……うん。 ルニアさん、先に結論だけ伝えます。 貴女の息子ルカが優秀なのはメリーやジャックから聞いてます。 ですが、男爵にする事は出来ません」
期待を裏切られたルニアの顔が歪む。
「何故……だ? 私の息子が、非道な前侯爵の息子より劣ると!? ふざけるな!」
興奮するルニアを、マリは落ち着かせる様に話す。
「勘違いしないでね? ルカは男爵の器では有りません。 さっき貴女が言ってたではないですか、ルカは公爵の器です。 目的を果たした後にお願いする予定でしたが、ルカをエントン王国の大臣に起用したいと考えてます」
「やっぱ……え? 公爵? 大臣?? へ、陛下……? ルカは男です、それにまだ19歳です。 荷が重すぎるかと……」
マリのスカウトにルニアはパニックだ。
まさか、男爵以下の器だと言われた訳ではなく。
むしろ、公爵になれる器だと言われたのだ。
正に青天の霹靂であろう。
「まだ結論を出す必要はありません。 ちなみに、私が評価しているのは優秀なのとルーたんと仲良しになってたからです。 エントン王国を2人で支えて欲しいとも思っています」
「え? 待ってくれ陛下……とても嬉しい。 だが、少し息子と話す時間が欲しい……ん? 陛下? 先程の言い方だと……ルーデウス殿下が将来……王に?」
マリは人差し指を口元に当てて、秘密だと暗に伝える。
「この話は、貴女が信用出来ると思えたので話しました。 勿論、口外すれば処します。 よろしいですか?」
笑顔で笑うマリに、ルニアは黙って頷く事しか出来なかった。
マリを労うのは、辺境伯爵ガルーダ フォル ルニアだ。目を引く真っ赤な赤髪に、常時戦場の覚悟で常に鎧を身に纏う王国最強の女性だ。
「感謝します、ルニア伯爵。 久し振りですね……もう侯爵の話は?」
館の居間で、ルニアと2人っきりで座って対面しているマリは非常に居心地が悪かった。
共のジャックとメリーは、マリの荷物を客室へと運んでいるからだ。
せめて、恋人のキサラギが居ればまだ安心なのだが……残念ながら側には居ない。
「聞き及んでおります。 ……仕方の無い事かと。 陛下が心を痛める必要は無……ありません」
マリは、ルニアが無理して敬語を使っているのに気付き可笑しくて気が抜ける。
「ふふ、ありがとうルニアさん。 今は2人っきりだし、堅苦しいの止めない?」
(ルニアさんは大丈夫……きっと大丈夫)
マリは自身に言い聞かせながら、気さくに話しかけてみる。
「え? いや……それは。 いえ、助かるよマリ陛下。 私は……本当に敬語が苦手だ」
「あはは、うんそうだね。 違和感が凄いもん」
「ぬぐ! 其処まで言わなくても……。 はぁ、息子にも注意されるのだが……中々に難しい」
「そうだね~。 私も本当は女王としての振る舞いがしんどくてさ~、時々……あぁぁぁぁぁぁ!!!! ってなる」
「くっくっくっ、あははははは! そうか、女王陛下も大変なのだな。 あ~、可笑しい。 まさか、貴女とこんなに気さくに話せるとは……。 もっと……」
一頻り笑ったルニアが口を紡ぐのをマリは優しく問う。
「もっと……何? 怒らないから、この機会に言ってみたら?」
ルニアは、眉をひそめながらゆっくりと話し始めた。
「ぬぅ……貴女はとても冷酷で残忍な女王だと思ってた。 先代の女王とは違って善き女王だとは思う……ですが、血を見る厭わぬ改革を進める姿に些か震えた」
「あはは……エントン王国最強の貴女にそう言われると悪い気はしないわね!」
マリはルニアの過分な評価に乾いた笑いが出る。
「全く……陛下は。 そうだ、教えてほしい。 何故、そんなに改革を急ぐ? 今回の亜人解放もかなり無理をしたのだろ?」
「ん~……そうだね、理由は言えないかな。 でも、私が目指す未来はきっと良い未来。そう信じてるから、私は血を見るのを厭わないし止まらない。 それが、王国の為だから」
マリの真剣な言葉に、ルニアは息を飲み込む。
「マリ陛下……願いを一つ聞いて頂けぬか?」
「え? 何々? 無理じゃないなら、何でも聞いたげるよ? ルニアさんは、大事な国境の要を守る大切な人なんだから」
「過分な評価、ありがとう……。 息子のルカの事です。 親の私が云うのは親バカと思われるかもしれませんが、非常に賢く、男ですが公爵にすらなれる器だと思っています。もし、将来……ルカが何か手柄を立てたら……その、男爵という新しい貴族にして頂けないでしょうか……?」
ルニアは、その見た目とそぐわない程に内心緊張していた。
男を貴族にする。
今までの歴史からだと有り得ない事だ。
しかし、1週間と少し前に前侯爵の息子を新しき貴族である男爵にしたと聞いたルニアは小躍りした。
もしかしたら、息子も貴族として一旗揚げれるかもしれないと。
しかし、マリは……厳しい顔をしていた。
「あ~……うん。 ルニアさん、先に結論だけ伝えます。 貴女の息子ルカが優秀なのはメリーやジャックから聞いてます。 ですが、男爵にする事は出来ません」
期待を裏切られたルニアの顔が歪む。
「何故……だ? 私の息子が、非道な前侯爵の息子より劣ると!? ふざけるな!」
興奮するルニアを、マリは落ち着かせる様に話す。
「勘違いしないでね? ルカは男爵の器では有りません。 さっき貴女が言ってたではないですか、ルカは公爵の器です。 目的を果たした後にお願いする予定でしたが、ルカをエントン王国の大臣に起用したいと考えてます」
「やっぱ……え? 公爵? 大臣?? へ、陛下……? ルカは男です、それにまだ19歳です。 荷が重すぎるかと……」
マリのスカウトにルニアはパニックだ。
まさか、男爵以下の器だと言われた訳ではなく。
むしろ、公爵になれる器だと言われたのだ。
正に青天の霹靂であろう。
「まだ結論を出す必要はありません。 ちなみに、私が評価しているのは優秀なのとルーたんと仲良しになってたからです。 エントン王国を2人で支えて欲しいとも思っています」
「え? 待ってくれ陛下……とても嬉しい。 だが、少し息子と話す時間が欲しい……ん? 陛下? 先程の言い方だと……ルーデウス殿下が将来……王に?」
マリは人差し指を口元に当てて、秘密だと暗に伝える。
「この話は、貴女が信用出来ると思えたので話しました。 勿論、口外すれば処します。 よろしいですか?」
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