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第20話 天国と地獄
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「さて、キサラギ。 説明してくれるかしら?」
凄むメリーを見てキサラギは冷や汗をかいている。
辺境伯の館にあるベットにマリを寝かせたキサラギは、即座にメリーとジャックに捕らえられ地下牢で尋問を受けている所だった。
館に戻る頃には夕方に差し掛かり、直ぐに夜となるだろう。
「あはは……縛られてる手が痛いんだけど……? いや、その、何でもないよ」
予想はしていたが、余りにも早い捕獲にキサラギは弁明も抵抗も出来ずにいる。
「税務管殿が陛下の敵じゃないとして、先程の陛下に対する態度はどういう弁解をするのかぜひ聞かせてくれ」
青筋立てたジャックに凄まれているキサラギは既に観念していたが、マリとの約束を守る為に何処まで話すべきか決めかねていた。
もし、マリとの取り引きを全て話せば最愛の人を裏切る事になるからだ。
(さて……姉上のせいでボロが出たな。 どうするべきか……)
悩んでいると、痺れを切らしたメリーが手刀の構えをとる。
「キサラギ……いや、亜人最強の英雄ヨハネ。 よくも、今まで私に隠してきたな…… 。 もし、これ以上隠し事をするならその首を跳ねてやろう」
普段温厚なメリーが殺気立った瞳でキサラギを射貫き、ジャックは指を鳴らして拳を構える。
次の一言でキサラギの命運は決まるだろう。
「実は……マリ陛下と交際してる」
キサラギの言葉にメリーとジャックは固まる。
交際している事実は話すが、秘密の取り引きは洩らさない。 そう、キサラギは腹を決め告白したのだ。
「……いつからですか」
目を見開いたメリーが手刀を構えたまま震えた声で問う。
「前に我が主が倒れ、目が覚めた時だよ」
「……あの時か。 ジャックが戻る前のタイミングね……はぁ……」
メリーは脱力し、その場で項垂れてしまった。 メリーの切ない表情をキサラギが理解できる筈もなく、不可思議に思っているとジャックの拳がポキポキと鳴り始める。
「税務管殿は、それが何を意味するか考えての事か?」
ジャックはまだ構えたままだ。
返答次第ではキサラギを亡き者として葬り去るつもりなのだろう。
「ジャック殿、安心して欲しい。 交際しているだけだ。 結婚する事は無いよ……絶対に」
キサラギの言い訳を聞き、ジャックは更に激怒した。
「なら、何故だ! なぜ陛下と交際をしている! 遊びなら……お前を殺す!!」
殺気が地下牢に溢れ、ジャックから理性が飛んだ。
大切な女王を、皆のマリ陛下を、幼い頃から共に過ごした大切な少女を、遊び弄ぶならやはりここで殺すと。
ジャックが音速の拳を放つと即座にメリーが制止する。 本気のジャックを止めれる人間は同僚のメリーだけだ。
「ジャック! 待ちなさい……お願いだから、待って……!」
「なぜ止めるメリー! コイツは! コイツは……」
ジャックの腕が軋む音が地下牢に響く。
メリーがジャックの腕を離せばキサラギは死ぬし、最悪メリーも死ぬ。
かといって、腕を離さなければジャックの腕は折れるだろう。
お互いに殺気を向け合う2人の緊迫した状況にキサラギは狼狽えながらも、懸命に弁明を試みる。
「2人共待ってくれ! 頼む、我が主はこんな事を望んでいない筈だ!」
「「うるさい! 」」
2人の耳にキサラギの言葉は届かず、徐々に結末が近付く。
最悪の結末が。
キサラギは縄で縛られながらも、必死に2人を止めようと踠く。
(ダメだ! なんとかしないと……くそ! こんな時にマリが居てくれたら!!)
頭を必死に回転させるが、賢者と呼ばれたキサラギでもこの状況を挽回する手立てが浮かばない。
「ぐっ! 離せメリー!! 邪魔立てするなら容赦はしない! 共に死ねぇぇ!!」
「させません! 陛下の気持ちを第一に考えれないなら、ジャックこそ不要! 私の手で引導を渡してあげます!」
「止めろ! ジャック殿! メリーーー!」
ドッッッゴォォォォォン!!!
キサラギが叫ぶと同時に、地下牢の出入り口の扉が吹き飛んできた。
「「「……へ?」」」
その出入り口から入ってきたのはマリとルニア伯爵だ。
恐らく、最強と云われるルニア伯爵が鍵の掛けられた鉄の扉を蹴り飛ばしたのだろう。
「ぴぐっ……うぷ……ありがとう、ルニアさん。うぅぅ……気持ち悪い」
ルニア伯爵の後ろから、ふらふらのマリが出てきた。
「いえ、容易い事ですよ陛下」
よろけるマリに手を貸したルニア伯爵は、厳しい表情で3人を睨む。
「さて、お三方殿……私の館で殺しあいですかな?」
ルニア伯爵から殺気が溢れ、3人は身震いする。 既にジャックから殺気は薄れ、メリーも力を弛めている。
「「いえ……これは」」
口淀むメリーとジャックは、揃ってキサラギの方を見やった。
「私のせいなんだ。 申し訳無い、我が主……ルニア伯爵殿」
縛られたキサラギが、申し訳無さそうに謝罪する。
「はぁ……陛下、後はお任せしても?」
「ぅぅ……ん。 ま、まか、まかせ……うぷ。 さて、えっと……メリーさん、ジャック……3日間謹慎ね。 キサラギさんは……後で私の部屋に来て」
「「はっ……!」」
酔いと疲れでふらふらのマリに罰を下されたメリーとジャックはその場で跪く。
「え……えっと……本気で?」
縛られて身動き取れないキサラギの戸惑いを知ってか知らずか、マリはふらふらと近付きそのまま徐に抱き付いた。
「ちょっ!? マリ、ダメだよ!」
小声でボソボソと抗議するが、意識が朦朧としているマリに聞こえる筈も無く。
「ねぇ……キサラギさん。 ルーたんが居なくて寂しい……うぷ。 だから……側に居なきゃ……やだ」
「えっ!? まっ……ぴ!」
首に手を回され、永い時を生きてきた筈のキサラギが長耳を真っ赤に染め固まってしまった。
2人の様子をルニア伯爵は微笑ましく見つめ、跪いたままのメリーとジャックは横目で血の涙が流れる程にキサラギを睨み付けていた。
「あ、あはは……何でこんな事に?」
天国と地獄に挟まれたキサラギの長い夜は続く。
凄むメリーを見てキサラギは冷や汗をかいている。
辺境伯の館にあるベットにマリを寝かせたキサラギは、即座にメリーとジャックに捕らえられ地下牢で尋問を受けている所だった。
館に戻る頃には夕方に差し掛かり、直ぐに夜となるだろう。
「あはは……縛られてる手が痛いんだけど……? いや、その、何でもないよ」
予想はしていたが、余りにも早い捕獲にキサラギは弁明も抵抗も出来ずにいる。
「税務管殿が陛下の敵じゃないとして、先程の陛下に対する態度はどういう弁解をするのかぜひ聞かせてくれ」
青筋立てたジャックに凄まれているキサラギは既に観念していたが、マリとの約束を守る為に何処まで話すべきか決めかねていた。
もし、マリとの取り引きを全て話せば最愛の人を裏切る事になるからだ。
(さて……姉上のせいでボロが出たな。 どうするべきか……)
悩んでいると、痺れを切らしたメリーが手刀の構えをとる。
「キサラギ……いや、亜人最強の英雄ヨハネ。 よくも、今まで私に隠してきたな…… 。 もし、これ以上隠し事をするならその首を跳ねてやろう」
普段温厚なメリーが殺気立った瞳でキサラギを射貫き、ジャックは指を鳴らして拳を構える。
次の一言でキサラギの命運は決まるだろう。
「実は……マリ陛下と交際してる」
キサラギの言葉にメリーとジャックは固まる。
交際している事実は話すが、秘密の取り引きは洩らさない。 そう、キサラギは腹を決め告白したのだ。
「……いつからですか」
目を見開いたメリーが手刀を構えたまま震えた声で問う。
「前に我が主が倒れ、目が覚めた時だよ」
「……あの時か。 ジャックが戻る前のタイミングね……はぁ……」
メリーは脱力し、その場で項垂れてしまった。 メリーの切ない表情をキサラギが理解できる筈もなく、不可思議に思っているとジャックの拳がポキポキと鳴り始める。
「税務管殿は、それが何を意味するか考えての事か?」
ジャックはまだ構えたままだ。
返答次第ではキサラギを亡き者として葬り去るつもりなのだろう。
「ジャック殿、安心して欲しい。 交際しているだけだ。 結婚する事は無いよ……絶対に」
キサラギの言い訳を聞き、ジャックは更に激怒した。
「なら、何故だ! なぜ陛下と交際をしている! 遊びなら……お前を殺す!!」
殺気が地下牢に溢れ、ジャックから理性が飛んだ。
大切な女王を、皆のマリ陛下を、幼い頃から共に過ごした大切な少女を、遊び弄ぶならやはりここで殺すと。
ジャックが音速の拳を放つと即座にメリーが制止する。 本気のジャックを止めれる人間は同僚のメリーだけだ。
「ジャック! 待ちなさい……お願いだから、待って……!」
「なぜ止めるメリー! コイツは! コイツは……」
ジャックの腕が軋む音が地下牢に響く。
メリーがジャックの腕を離せばキサラギは死ぬし、最悪メリーも死ぬ。
かといって、腕を離さなければジャックの腕は折れるだろう。
お互いに殺気を向け合う2人の緊迫した状況にキサラギは狼狽えながらも、懸命に弁明を試みる。
「2人共待ってくれ! 頼む、我が主はこんな事を望んでいない筈だ!」
「「うるさい! 」」
2人の耳にキサラギの言葉は届かず、徐々に結末が近付く。
最悪の結末が。
キサラギは縄で縛られながらも、必死に2人を止めようと踠く。
(ダメだ! なんとかしないと……くそ! こんな時にマリが居てくれたら!!)
頭を必死に回転させるが、賢者と呼ばれたキサラギでもこの状況を挽回する手立てが浮かばない。
「ぐっ! 離せメリー!! 邪魔立てするなら容赦はしない! 共に死ねぇぇ!!」
「させません! 陛下の気持ちを第一に考えれないなら、ジャックこそ不要! 私の手で引導を渡してあげます!」
「止めろ! ジャック殿! メリーーー!」
ドッッッゴォォォォォン!!!
キサラギが叫ぶと同時に、地下牢の出入り口の扉が吹き飛んできた。
「「「……へ?」」」
その出入り口から入ってきたのはマリとルニア伯爵だ。
恐らく、最強と云われるルニア伯爵が鍵の掛けられた鉄の扉を蹴り飛ばしたのだろう。
「ぴぐっ……うぷ……ありがとう、ルニアさん。うぅぅ……気持ち悪い」
ルニア伯爵の後ろから、ふらふらのマリが出てきた。
「いえ、容易い事ですよ陛下」
よろけるマリに手を貸したルニア伯爵は、厳しい表情で3人を睨む。
「さて、お三方殿……私の館で殺しあいですかな?」
ルニア伯爵から殺気が溢れ、3人は身震いする。 既にジャックから殺気は薄れ、メリーも力を弛めている。
「「いえ……これは」」
口淀むメリーとジャックは、揃ってキサラギの方を見やった。
「私のせいなんだ。 申し訳無い、我が主……ルニア伯爵殿」
縛られたキサラギが、申し訳無さそうに謝罪する。
「はぁ……陛下、後はお任せしても?」
「ぅぅ……ん。 ま、まか、まかせ……うぷ。 さて、えっと……メリーさん、ジャック……3日間謹慎ね。 キサラギさんは……後で私の部屋に来て」
「「はっ……!」」
酔いと疲れでふらふらのマリに罰を下されたメリーとジャックはその場で跪く。
「え……えっと……本気で?」
縛られて身動き取れないキサラギの戸惑いを知ってか知らずか、マリはふらふらと近付きそのまま徐に抱き付いた。
「ちょっ!? マリ、ダメだよ!」
小声でボソボソと抗議するが、意識が朦朧としているマリに聞こえる筈も無く。
「ねぇ……キサラギさん。 ルーたんが居なくて寂しい……うぷ。 だから……側に居なきゃ……やだ」
「えっ!? まっ……ぴ!」
首に手を回され、永い時を生きてきた筈のキサラギが長耳を真っ赤に染め固まってしまった。
2人の様子をルニア伯爵は微笑ましく見つめ、跪いたままのメリーとジャックは横目で血の涙が流れる程にキサラギを睨み付けていた。
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