[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

文字の大きさ
19 / 231

第19話 亜人解放作戦終了

しおりを挟む
 「ぷはぁぁーー! アテスさん、このお酒最高! 前にも飲んだけど、一番美味しいよ!」

 2杯目の酒を飲み干したマリは顔を赤くし、完全に出来上がっていた。

 「ふはは! 人間の女王に褒めて貰えるなんて光栄だよ~マリ女王」

 マリの飲みっぷりにアテスやドワーフ達は上機嫌だが、他の亜人達やメリー達は開いた口が塞がらない程に驚いていた。

 ヨハネはマリが美味しそうに鬼殺しをクピクピと飲んでいるのを楽しそうに見つめている。

 「はっ! マ……マリ陛下! 大丈夫なのですか!?」

 ジャックが驚愕から再起動し、メリーはマリの持つ酒を借り匂いを嗅ぐ。

 「すんすん……こ、これは……あの晩にキサラギが持ってきたお酒!?」

 鬼殺しの匂いにメリーは覚えがあった。

 「ふふ……ね? ひくっ……キサラギさんは敵じゃないでしょ? 先を見越して……だよね? ひくっ、キサラギさん」

 マリが側に立つ恋人に笑い掛ける。

 「ふふ、流石は我が主だ。 魔法の眼鏡を掛けずに私だと認識するとは」

 マリの笑顔に照れたヨハネは誤魔化すように懐をまさぐる。

 ヨハネが懐から出した眼鏡を掛けると、髪が金髪に変化し雰囲気もいつものキサラギへと戻った。

 「「なっ!? キサラギ!」税務管殿!」

 驚く2人を見て、マリは不思議に思う。

 「いやいや、髪色と眼鏡掛けてないだけじゃん。 ひくっ、普通に見たら分かるでしょ」

 「いえ、陛下。 私は先程まで、ヨハネと名乗るエルフをキサラギとは認識出来ませんでしたよ? 」

 「ええ……私もです。 税務管殿……説明して頂けますよね?」

 ジャックがキサラギに凄むのをマリが慌てて止めに入る。

 「ひくっ! 待って待って! ジャック、メリーさん……多分、キサラギさんは私が亜人から何かしら罰を受けるだろうと予測して先回りしたんだと思うから……ひくっ……この場は……ね?」

 「……御意」

 「分かりました。 とりあえずは……今は不問と致します」

 「ありがとう、2人とも。ひくっ、じゃあ、ルルさん……これで、私の罰は終了で良いかな……? ひくっ」

 メリーとジャックを嗜め、キサラギやルルの方を見やるとルルがニヤニヤしながらキサラギを肘で小突いていた。

 「なんじゃなんじゃ、ヨハネ。 ちっとも帰って来んと思ったら……まさかお前がなぁ。 いやいや、お姉ちゃんは嬉しいんじゃよ?」

 「ちょっ! 姉上、勘弁して下さいよ!本当に止めて下さい!」

 「あははは、キサラギさんルルさんに弱いんだー! ひくっ!」

 マリが困るキサラギを見て爆笑していると、ルルがニヤニヤしながら今度はマリの元へと小走りでやって来た。

 「むひひ、のう女王よ。 弟とは何処まですすんだんじゃ? ほれ、言うてみぃ言うてみぃ」

 メリーやジャックには聞こえない様に、小声で詰め寄ってくる。

 「ぴっ!? メリーさん、ジャック大丈夫だから其処に居て! え、その……なんのお話しでしょうか……?」

 マリは誤魔化そうとするが、ルルには通用しなかった。

 「ん~? 隠すな隠すな。 誰にも言わんぞ? あの眼鏡はな、儂が作った魔法の眼鏡じゃ。 掛けている時に出会った者は、外している時には本人と認識できんようになっとる。 じゃが……例外があるのじゃ 」

 「あまり良い予感はしないのですが……?」

 「むふ……両想いの恋仲には効果が出んのじゃよ。 むふふ……あれか? 儂の義妹になるって事じゃから……マリって呼んでええかの? ほれ、可愛い義妹マリよ。義姉に言うてみぃ、何処までいったんじゃ?」

 「ちょっ、え?! つまり……その、ひくっ……きゅ~~」 バターンッ!

 マリは顔を更に赤くし、そのまま気絶してしまった。

 「マリっ?! 姉上、いい加減にして下さい!!」

 地面に倒れる寸前にキサラギが受け止める。 メリーとジャックは受け止めに行こうとした途中で何故か硬直する。

 「むひひひ、いやぁ~今日は何と良い日か。 そこの従者2人、マリが起きたら伝えて欲しい。 お前の王国がした罪は赦された……今後は良き関係を築ける事を願う。 以上じゃ、さぁ皆のもの里に帰るぞー! 」

 「「……必ず、お伝え致します」」

 メリーとジャックは気絶させたルルに思うところがあるが、それはマリの望みではないとして飲み込む。

 「ふはははは! おい、嬢ちゃんが起きたら伝えてくれ! 今度、鬼人の里に来たら一緒に飲もうとな! 」

 ロキはマリの飲みっぷりが余程気に入ったのか、ルル同様に上機嫌で帰って行った。

 「ヨハネ兄……マリの事頼む。 これ、酔い冷ましの木の実だ。 もし、マリがしんどそうだったら口に含ませてやってくれ」

 ラガンがキサラギに木の実を渡し、獣人達を連れて帰って行く。

 「キサラギさん、お世話になりました。 メリーさん、ジャックさん、本当にありがとう。 マリ陛下にもよろしくお伝え下さい」

 「マリ様……ありがとう。 またね」

 鬼人ルキが丁寧にお辞儀をし、獣人ミケルが気絶しているマリを優しく撫で別れを告げる。

 「「2人共、これからはどうか平和に。 元気でね」でな」

 メリーとジャックは2人には優しく微笑む。 メリーも既にルキが行った所業を許すぐらいには亜人の2人が気に入っていたのだ。

 「ルキ、ミケルちゃん。 旅の途中に話してた事……考えておいてくれ。 気を付けて」

 ミケルとルキが仲良く手を繋いで亜人の国に帰って行くのを見送ったキサラギは深くため息を付く。

 「はぁ~……2人とも、姉がすまない。 早く我が主を辺境伯の長砦に運びましょう」

 キサラギがマリを優しく抱き上げ、2人を帰路に促す。

 其処にドワーフのアテスが陽気にやって来た。

 「あ、ヨハネ兄さん。 マリ女王が起きたら伝えて~。 帰って来ていない奴隷の多くはドワーフみたいだ。 ……だから、残りの同胞が帰ってくるまでドワーフ達は王国を赦せない。 まぁ、マリ女王の事は皆好きになったみたいなんだけどな~こればっかりは仕方ないかな」

 「分かった、助け出せる様に尽力する。 手助けありがとうアテス……助かった」
 
 「なはは~、いいよ~。 ヨハネ兄さんに頼まれたら断れないさ。 じゃあ、またまた~」

 アテスはキサラギに手を振りながら帰って行った。

 キサラギが腕の中で眠るマリを優しい瞳で見つめた後、辺境伯が待つ長砦へと向かうのであった。

 その姿を後ろで見つめるメリーとジャックの表情は暗い。

 「ねぇ、ジャック。 さっき陛下を受け止める時の聞いた?」

 「あぁ、勿論だ。 確かに税務管殿は敵では無いだろう。 だが……陛下に接する態度。 先程の呼び方……1度しっかりと問いただす必要が有るな」

 「えぇ……そうね。 陛下をベットに休ませたら捕らえましょう」

 キサラギは知らない。

 愛しい恋人をベットに下ろした直後に尋問を受ける事を。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~

八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。 しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。 それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。 幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。 それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。 そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。 婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。 彼女の計画、それは自らが代理母となること。 だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。 こうして始まったフローラの代理母としての生活。 しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。 さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。 ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。 ※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります ※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

処理中です...