[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

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第120話 大砦攻略

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 ヨハネがルミニスと戦う数時間前。

 「陛下、もうすぐ先頭です。 今暫し頑張って下さい!」

 ヨハネを送り出したメリー達は速度を上げて長い行列の横を疾走していた。

 ヨハネの言葉通りであれば、マリを救う為にはエントン王国に向けてとにかく逃げないといけないからだ。

 しかし、未だにマリは大粒の汗を頬に流し目からは黒い靄が漏れ出ている。

 ジャックは苦しむマリを横に抱きながら懸命に馬を走らせる。

 「メリー! まだか!?」

 「もうすぐの筈……見えたっ!!」

 メリーとジャックの後ろにメイド暗部部隊達8人が追従する。

 行列の更に先に黒騎士団達が大砦に向けて進軍しているのがようやく見えた。

 「デラン団長! デラン団長は居ますか!」

 メリーは黒騎士達に叫ぶ。

  「誰だ! いや、これはメリー殿! 団長は最前列です、このままお進み下さい。 お前達、道を開けろー!!」

 当初、ジャック達の影に黒騎士達は警戒したが直ぐにメリーに気付き前列へと誘導させる。

 「ありがとうございます! ジャック、皆行きますよ!」

 「分かってる!」 

 「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

 大勢の黒騎士達の中を突き進み、デラン団長の下へと到着した。

 「む?! これはメリー殿! それに……マリ陛下!? ご無事で何よりと喜びたい所ですが、一体どうされたのですか?!」

 デランはメリー達の無事を喜んだが、直ぐにマリの異変に気付く。

 「説明している時間は有りません! 直ぐに大砦まで陛下をお連れしないと命が危ないのです!」

 「……承知した! 全速力で突貫します! メリー殿達は黒騎士達の後ろでお待ちを! 総員、全速力で向かうぞ!! 我等の新たな主の危機だ! 命を惜しみな名誉を奪え! 最強の騎士団は誰か薄情な帝国の犬共に今一度教えてやるぞ! 突貫!!」

 「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」

 「お願いします! 皆、後ろから追従します!」

 メリー達が後方に控えると、4000人の元ゴルメディア帝国最強の黒騎士達が大砦へ向けて全速力で突撃し始める。

 きっとマリの意識があればそんな無茶な突撃は反対しただろう。
 「陛下……どうかお許しを」

 メリーはマリに謝罪する。

 これから始まる大砦の侵攻戦で、黒騎士団達にはかなりの被害が出るだろう。

 ゴルメディア帝国最強の騎士団は黒騎士団だが、最強の砦は間違い無く最重要拠点である大砦なのだから。

 ◆◇◆ 

 デラン達は奮起し、見えた大砦に突っこむ。

 しかし、直ぐに異変に気付いた。

 「む!? 帝国の兵士は何処だ? 総員警戒!」

 到着した大砦には見張りの1人もおらず、城壁の上からは煙が立ち上っていた。

 デラン達は馬から降り、大砦の裏門にあたる城門へと向かう。

 「どういう事だ? 少なくとも常時、この大砦には2万近くの兵士達が守っている筈だ。 幾ら帝都側と云えど、こんなに手薄にするか?」

 不気味な静けさを放つ城門をデラン達はこじ開け、大砦の内部へと突入する。

 「よし、もし接敵すれば容赦はするな! 後ろには陛下に、大勢の亡命する民達が来るのだ早急に大砦を落とす!」

 「「「「「「「おうっ!!」」」」」」」
 
 デランが相棒である大斧を構え、中を確認しながら進むとそこかしこに兵士達の遺体がある事に気付く。

 つい先程まで激しい戦闘があったのか、まだ遺体は生暖かい。 鋭利な刃物でバッサリと斬り捨てられており、黒檀を使用した頑丈な壁にすら切り傷が刻まれていた。

 「まさか、エントン王国側から来ると言っていた救出部隊が既に大砦を落としたのか?」

 メリーに確認を取りたいが、マリが不調の為にまだ此処には居ない。

 「もしかしたら、味方が既に大砦を掌握しているのかもしれん。 同士討ちに気を付けろ!」

 デランは内心でエントン王国の兵士に大砦を落とす程の力があるとは思えなかった。

 もし全兵力で攻めたとしても、伝令が必ず帝都に行く余裕があった筈だ。

 しかし、デラン達が帝都を脱出するまでその様な話も聞いていない。 不気味な大砦の中を進むと奥から戦闘音が聞こえてきた。

 「武器を構えろ! もし、エントン王国側の兵士と帝国側の兵士が戦闘中であれば迂闊に手を出すなよ。 まだ直接向こうに寝返った事は知られていないんだ」

 デラン達が大砦中央の広場出ると、其処には不気味な人形が大量に壊され残骸の山となっていた。

 「ふはははは! これは良い練習台になるな! 滾ってきたぞぉぉぉぉ!!」

 自身よりも巨大な大剣を振り回し、両手に剣を付けた不気味な人形達を吹き飛ばす赤髪の女騎士が戦っていた。

 巨大な大剣で斬られても動く人形達は両手の剣を振りかざすが、赤髪の女騎士には届く事無く斬られ続ける。

 「なんだ……アレは。 不気味な人形達もそうだが、あの赤髪の女騎士……かなり強いぞ」

 赤髪の女騎士の後方では、重厚な鎧を纏った老騎士達が大剣を振り回し人形達を相手取っていた。

 遂には最後の人形達を破壊し、赤髪の女騎士は巨大な大剣を地面に突き刺す。

 「ふ~……時間ばかり掛かったが、何とか終わったな。 キサラギ殿とジャック殿は間に合っただろうか……ん?」

 広場に突入した黒騎士達と赤髪の女騎士の目があった。

 「おや……何だ人形達に全員殺られたのかと思っていたが、骨のある奴が帝国にも居るじゃないか」

 赤髪の女騎士が獰猛に笑った後、巨大な大剣を持ちデラン達に向かって凄まじい速度で走ってきた。
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