[完結]転生したのは死が間近の女王様!? ~超可愛い弟が王になれるよう平凡な女王が抗う奮闘記~

秋刀魚妹子

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第149話 花咲いた乙女と帰路

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 「じゃあ、またな! 次もピンチになったら呼べよ? うちが攻められたら呼ぶからさ!」

 「レオン王国の女王が言う通り、これからも助け合いましょ~!」

 「んだ。 昨日の祝勝会で少し打ち解けれたしな。 いつでも呼んでくんな!」

 「ふはは! あれだけお互い牽制していた小国同士がこんなに仲良くなるとはなぁ。 妻にも見せたかった……ごほん! ルカ代理国王によろしくな、嬢ちゃん」

 ルカに要請され、急遽援軍に参戦してくれた小国の女王達はそれぞれの騎士団を引き連れ自国へと帰って行った。

 「皆さんありがとー! お酒の件忘れないでねーー!」

 マリは見えなくなるまで笑顔で手を振る。

 亜人の皆は朝早くに軽い挨拶をして亜人の領域に帰って行った。 アテスやドワーフ達だけは王都に残るそうたが、何の為かはマリは聞いていなかった。

 「陛下、この後は直ぐに王都へ凱旋の予定です」

 「うん、やっと帰れるねメリーさん。 あ、ごめんね。 メリーさんはアーサー君から離れるの嫌だったかな?」

 「なっ!? い、いえ! 彼とはそんな……その、あの」

 俯くメリーの顔はみるみる赤くなり、頭の中は己を愛していると言ってくれた唯一の青年でいっぱいになったのだろう。

 昨晩、あれからの出来事はメリーとアーサーだけの秘密である。

 「ふっ、あのメリーがまるで少女の様だ。 恋は人を変えるんだね。 なぁ、ジャック」

 「……別に良い事だから、俺は何とも思わない。 それよりも、早くマリ様に王都の自室でゆっくり休んで戴きたい」

 「あはは、ありがとうジャック。 メリーさん、意地悪してごめんね。 でも、次に会えるの当分先になると思う。 ちゃんと、話しておいで」

 「……は、はい。 ありがとうございます……ちょっと、行ってきます!」

 マリの許可を得たメリーは、耳まで赤くしながら部下に指示しているアーサー子爵の下に行き城へと二人で歩いていった。

 「んー! 何だか、一気に色々動いて疲れたね~! ヨハネ、身体は大丈夫?」

 「ありがとうマリ、もう平気さ!」

 「ふんっ、もう無理するなよ。 マリ様を不安にさせるな」

 3人がメリーを待っていると、ルニア侯爵と黒騎士団団長デランが訪れた。

 「おはようございます、陛下」

 「おはようございます!」

 「あ、ルニアさん。 デランさんも、おはよ~。 聞いたよ、国境に出来たっていう大砦の守備に付いてくれるんだって?」

 「はい。 もし、次にゴルメディア帝国が攻めてくるなら主力は人間では無いかもしれませんから。 アレは私や、ラリー師匠達じゃ無いと手に負えないでしょう」

 「え、じゃあデランさん達……残って大丈夫なの?」

 「いえ、大丈夫にします。 ラリー師匠が、黒騎士団の兵士達は筋が良いと褒めていましたから。 今日から地獄の扱きが待ってますよ」

 隣のデランを見ると、朝から既に扱かれた後なのか死んだ目をしていた。

 「あはは……お手柔らかにね? あ、でも黒騎士団の家族はどうするの? 今は一旦王都に行ってるよね?」

 「はい、有り難いことに王都で家や仕事の面倒も見ていただける様なので甘えさせて頂こうと考えてます。 だからこそ、あんな人形達が王都に行かない様に此処で守らないと!」

 「うむ、デラン殿良くぞ言った! 私やラリー師匠が、必ずや黒騎士団達をさらなる高みへと押し上げようぞ!」

 マリは、デランの顔が失言によるショックでみるみる青ざめるのを見てしまう。

 「ほら、行くぞデラン殿! では、失礼します陛下。 もし……ルカに聞かれたすまないとお伝え下さい」

 「……? 分かりました」

 ルニアは黒檀の鎧を着たデランを軽々と引きずり、兵士達の下へと向かった。

 ◆◇◆

 「陛下、その……すみません、お待たせして!」

 メイド暗部部隊の隊員達が手伝ってくれたお陰で帰り支度も終わり、メリーを待っているとようやく城から出て来た。

 「申し訳ありません、陛下」

 息を荒げた2人がやって来たが、マリは必死に走ってきたから息が荒いんだと自分に言い聞かせる。

 「う、うん。 大丈夫だよ。 それより……ちゃんと話せた?」

 「は、はい」

 「陛下! その、聞いて下さいますか!!」

 メリーは何処か寂しそうに返事をし、アーサーは緊張した面持ちでマリに話し掛ける。

 「う、うん。 良いよ」

 「陛下は……全ての問題が片付いたら、ヨハネ殿とジャック殿の3人で暮らすと聞きました。 事実でしょうか?」

 「そうだよ。 元から弟のルーたんを国王にしたくて色々してきたからね。 全部終わったら、ドワーフ族の族長としてお酒飲みながら3人でのんびり暮らしたいなーって思ってるよ?」

 「な、なら! その時は……メリーさんと結婚する事を許して頂けないでしょうか!!」

 アーサーの気迫にマリは思わずたじろぎ、まさかのアーサーの問に聞かされて居なかったのかメリーも目を見開いて驚いている。

 「勿論良いよ? でも、それは……メリーさん了承してる? 何かすんごく驚いてるけど」

 「アーサー!? そ、それは……ダメって。 さっきので忘れるって話したじゃないですか」

 「いえ! 私はメリーさんの種族も年齢も気にしません! 若さゆえの過ちでもありません! 絶対に幸せにします! この命を尽きるまで、貴女を愛すと誓います!」

 「あはは、メリーさん。 良いんじゃない? 全部終わったらさ、皆幸せになろうよ」

 「うぅ……まさか、こんなに熱烈に言われるとは。 分かりました……でも、全部終わった時に心変わりして無かったらですよ? 良いですね?」

 「勿論です! ずっと、待ってます。 メリーさんや陛下が居る王都へ、敵の1人も絶対に通しません!」

 アーサーはメリーを抱きしめ、メリーも幸せそうにアーサーを抱き返した。

 「うんうん、良かったねぇ」

 「あはは! 馬車の向こうで、メイド暗部部隊の娘達が口を開けっ放しで驚いてるよ」

 「ふふ、良かった。 これで、俺も晴れてマリ様の事だけを考えて生きれる」

 暫く経った後、ようやくマリ達は馬車に乗り王都へと向かった。

 アーサーは、メリーの乗る馬車が見えなくなるまで手を振り続けた。

 そして、馬車の中にて。

 「さ~て、メリーさん。 幸せ絶頂な所、本当にごめんねぇ? 聞いても良いかな? ルーたんにお嫁さんが2人も出来たって……私、聞いて無いんだけどぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 「あ……! す、すみません陛下ぁぁぁぁぁぁ!!」

 般若の様なマリを見て、メリーは早くもアーサーの下に帰りたくなっていた。
 
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