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後日譚
10 そして魔法は解ける
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ご令嬢の今日が、もうすぐ終わる。まだ消えない体の昂りを抑え、寝支度を整えたご令嬢の頭を寝かしつけるように撫でる。
「子供の頃に戻ったみたい……ふふ……子供扱いされてるみたいなのに……嬉しいわ」
さっきまで体を重ねていたとは思えない、子供のような無邪気な笑顔。男としての欲求が、庇護欲に変わっていく。
でも、ご令嬢の笑顔が少し曇っていき、申し訳なさそうな様子で呟くように言った。
「……一度だけじゃ、物足りなかったでしょう?」
「なんだ……そんな事、気にしないで」
「気にするわ……」
「大丈夫だよ。だって僕達には、明日も、その先もあるんだから」
安心させたくて、ぎゅっとご令嬢を抱き寄せる。
「もうそろそろ寝る時間だろう?安心してお休み……」
「……いやよ……眠りたくなんかない……」
駄々をこねる子供がそこにいた。僕は思わず苦笑する。
「起きていられるなら、いいよ」
「本当に?悪い子だって怒らない?」
「怒るもんか。ちょっとくらいの夜更かし、僕だってしょっちゅうしてる」
「いい子にしていなくても……いなくならない?」
「やっと結婚できたのに、そんな事するもんか」
「うん……」
嫌われたって離すものか。僕はご令嬢を、強く抱きしめる。
「あなたとする夜更かしなら……きっと……とても楽しいわね……」
その時、21時を知らせる時計の音が響いた。ご令嬢の瞼がゆっくり閉じていく。寂しいけれど、朝まで側にいられると思えば、なんて事はない。
でも。
「…………ねえ……おかしいわ。わたくし……眠ってない」
瞼を閉じたまま話し出したご令嬢に、僕は驚く。ご令嬢はそっと目を開け、もぞもぞと動き出したかと思うと、自分の頬をつねり出した。
「夢じゃ……ない?」
相当強くつねったのか、顔をしかめて赤くなった頬をさするご令嬢。でもまだ、どこか信じきれていないという表情で僕を見ている。
「……ずっと……何をしても起きていられなかったのに……どうして……」
「ねえ。もしかして君は、自分にも魔法をかけてたのかもね」
「わたくしが……自分に?」
きょとんとするご令嬢に、僕は大真面目に頷く。
「きっとあの怖いメイド長に、夜更かしを怒られでもして、それで必ず夜に寝れるような魔法をかけたんだ」
僕がそう言うと、ご令嬢はほんの一瞬、悲しそうな表情を見せ、でも、すぐにくすくすと笑い出した。
「きっと……そうね。でも、その魔法をあなたが解いてしまったんだわ。夜更かししても怒らないって、言ってくれたから」
「じゃあ……魔法が解けた記念に、夜更かしでもしようか?」
僕の提案に、ご令嬢は、欲しくてたまらないものを目の前にした子供のような笑顔になる。
「ええ!してみたいわ!」
「じゃあ、何をしようか?そうだ……絵本の読み聞かせは?」
すると、途端にご令嬢が頬をふくらませ、怒り出す。
「もう!わたくし、そんな子供じゃない!」
「ははっ!冗談だよ。……じゃあ、何がしたい?何でも付き合うよ」
「そうね……。ねえ、あなたは?何かしたい事は、ないの?」
「え?僕に聞くの?そんなの……ひとつしかないよ」
僕の言葉に、ご令嬢は首を傾げて、それからハッとした表情になって、得意げな笑顔を見せた。
「ねえ……それって、こういう事?」
そう言うとご令嬢は、僕の胸に両手を当てて、それから、啄むように僕の唇にキスをした。
予想外の出来事に、僕は目を瞬かせる。そんな僕を、ご令嬢はしてやったという顔で笑う。
「ふふ!びっくりした?」
「……やったな!」
僕はお返しと言わんばかりに、ご令嬢に深く口付ける。
「君からしたんだからな……嫌って言っても止めないよ」
でも、ご令嬢は困るどころか、それはそれは嬉しそうに、頬を可愛く染めて、笑って言った。
「止めなくていいわ。たくさん……愛して?」
「子供の頃に戻ったみたい……ふふ……子供扱いされてるみたいなのに……嬉しいわ」
さっきまで体を重ねていたとは思えない、子供のような無邪気な笑顔。男としての欲求が、庇護欲に変わっていく。
でも、ご令嬢の笑顔が少し曇っていき、申し訳なさそうな様子で呟くように言った。
「……一度だけじゃ、物足りなかったでしょう?」
「なんだ……そんな事、気にしないで」
「気にするわ……」
「大丈夫だよ。だって僕達には、明日も、その先もあるんだから」
安心させたくて、ぎゅっとご令嬢を抱き寄せる。
「もうそろそろ寝る時間だろう?安心してお休み……」
「……いやよ……眠りたくなんかない……」
駄々をこねる子供がそこにいた。僕は思わず苦笑する。
「起きていられるなら、いいよ」
「本当に?悪い子だって怒らない?」
「怒るもんか。ちょっとくらいの夜更かし、僕だってしょっちゅうしてる」
「いい子にしていなくても……いなくならない?」
「やっと結婚できたのに、そんな事するもんか」
「うん……」
嫌われたって離すものか。僕はご令嬢を、強く抱きしめる。
「あなたとする夜更かしなら……きっと……とても楽しいわね……」
その時、21時を知らせる時計の音が響いた。ご令嬢の瞼がゆっくり閉じていく。寂しいけれど、朝まで側にいられると思えば、なんて事はない。
でも。
「…………ねえ……おかしいわ。わたくし……眠ってない」
瞼を閉じたまま話し出したご令嬢に、僕は驚く。ご令嬢はそっと目を開け、もぞもぞと動き出したかと思うと、自分の頬をつねり出した。
「夢じゃ……ない?」
相当強くつねったのか、顔をしかめて赤くなった頬をさするご令嬢。でもまだ、どこか信じきれていないという表情で僕を見ている。
「……ずっと……何をしても起きていられなかったのに……どうして……」
「ねえ。もしかして君は、自分にも魔法をかけてたのかもね」
「わたくしが……自分に?」
きょとんとするご令嬢に、僕は大真面目に頷く。
「きっとあの怖いメイド長に、夜更かしを怒られでもして、それで必ず夜に寝れるような魔法をかけたんだ」
僕がそう言うと、ご令嬢はほんの一瞬、悲しそうな表情を見せ、でも、すぐにくすくすと笑い出した。
「きっと……そうね。でも、その魔法をあなたが解いてしまったんだわ。夜更かししても怒らないって、言ってくれたから」
「じゃあ……魔法が解けた記念に、夜更かしでもしようか?」
僕の提案に、ご令嬢は、欲しくてたまらないものを目の前にした子供のような笑顔になる。
「ええ!してみたいわ!」
「じゃあ、何をしようか?そうだ……絵本の読み聞かせは?」
すると、途端にご令嬢が頬をふくらませ、怒り出す。
「もう!わたくし、そんな子供じゃない!」
「ははっ!冗談だよ。……じゃあ、何がしたい?何でも付き合うよ」
「そうね……。ねえ、あなたは?何かしたい事は、ないの?」
「え?僕に聞くの?そんなの……ひとつしかないよ」
僕の言葉に、ご令嬢は首を傾げて、それからハッとした表情になって、得意げな笑顔を見せた。
「ねえ……それって、こういう事?」
そう言うとご令嬢は、僕の胸に両手を当てて、それから、啄むように僕の唇にキスをした。
予想外の出来事に、僕は目を瞬かせる。そんな僕を、ご令嬢はしてやったという顔で笑う。
「ふふ!びっくりした?」
「……やったな!」
僕はお返しと言わんばかりに、ご令嬢に深く口付ける。
「君からしたんだからな……嫌って言っても止めないよ」
でも、ご令嬢は困るどころか、それはそれは嬉しそうに、頬を可愛く染めて、笑って言った。
「止めなくていいわ。たくさん……愛して?」
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