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8.無能聖女は見た(2) ※少し胸糞悪いです
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気持ち速足で馬車へ戻る途中、トルテは着けていた髪飾りが無い事に気が付いた。
「あれ…髪飾りが無いわ、どこで落としたのかしら…あっ…もしかして」
「聖女様、どうかしましたか?」
「いえ、ちょっと落とし物をしてしまったの。すぐに拾ってくるからあなた達は先に馬車へ戻っていてちょうだい」
馬車に向かって歩き出して10分も経っていない、走って戻ればすぐにあの場所へ戻れるだろう。
「しかし、聖女様」
「大丈夫よ、さっきのような事があっても怖いから、ちゃんと防御魔法もかけたし」
あの髪飾りは、婚約者であるアルファド王子から贈られた物で、大ぶりの宝石があしらわれたトルテ自身はあまり好みではないデザインだった。
聖女のサークレットを付けるのに邪魔ではあったが、王子はトルテには関心を持たないくせに毎日必ず身に着けるよう命令してきたのだ。王子に会わない日も監視役をつけているようで、着けていないと後日ネチネチと嫌味を言われるのだ。
髪飾りを落とした場所、それは先ほど男に体当たりされた場所だろう。倒れた時に外れてしまったに違いない。
トルテが急いで先ほどの場所の近くまで戻ると、茂みの中に光る物を見つけた。近づいてみると、落とした髪飾りだった。体当たりされた場所から結構飛んでしまっていたみたいだ。
「良かった…」
失くしたら王子に何と言われるか分からない。トルテはホッと息をついて髪飾りを握りしめる。
そして、ふと目線を上げた瞬間、信じられない光景が目に飛び込んできた。
「…っ!」
茂みの奥、先ほどまで自分がいた場所に恐ろしい光景が広がっていた。
目の前には、真っ赤な血の海が広がり、その中にアカギツネが力なく横たわっていた。多分、もうすでに息は無いだろう。あのアカギツネは間違いない、先ほどトルテが呪いを解いた赤髪の男だ。
叫びそうになったトルテの耳に、人の話し声が聞こえてきた。
「おい!この一角獣も殺しちまって良いのか?結構な上物だぜ??」
「当たり前だ、生きてたらこの森から出せねぇからな。お前、この森の仕事初めてか?」
「死体じゃねーと持ち出せないのか、めんどくせえ所だなここは」
「動けない動物どもを狩る楽な仕事さ。綺麗に殺せよ?そいつは剥製にして他国の王家に売りつける予定だからな!!」
奥の方を見やると、狩人と思われる男たちが数人で会話をしている。
その男たちの足元には、まだ息のある動物たちが身動き一つ出来ずに横たわっている。
(あの動物たちも、さっき私が呪いを解いた人達じゃない!?何故、こんなことをしているの!?)
トルテの混乱をよそに、男たちは大声で会話を続ける。
「あの聖女ってのもひでぇよな!すぐに殺される奴らに、明日には人の姿に戻れるとか光の神に感謝をとか言っちまうんだもんな!!」
「あれだろ、聖女ってのは魔神ダークが森に住んでる人間に呪いをかけたって話、本気で信じてるんだろ?」
「そうそう、この国の大抵の奴らはガキの頃に教会でそう教わるからな。この森の獣どもが昼間に動けるように魔神が恩恵を与えたって知ったらどうなるかな」
ギャハハと下品に笑う男たち。
「おい!!王族との契約を忘れるなよ、そんな話を誰かに聞かれてみろ。今度は俺らが獣にされてここに棄てられるぞ!!」
リーダーらしき男が会話をしていた男たちをたしなめると、他の男たちも会話をやめ、それぞれの仕事に戻っていった。
トルテは命が奪われていく瞬間を見ることが出来なかった。ただただ恐ろしかった。
震える足を無理矢理動かし、音を立てないよう、馬車のある方へと引き返したのだった。その背中に、動物達の最期の声がいつまでも追いかけてくるような気がした。
「あれ…髪飾りが無いわ、どこで落としたのかしら…あっ…もしかして」
「聖女様、どうかしましたか?」
「いえ、ちょっと落とし物をしてしまったの。すぐに拾ってくるからあなた達は先に馬車へ戻っていてちょうだい」
馬車に向かって歩き出して10分も経っていない、走って戻ればすぐにあの場所へ戻れるだろう。
「しかし、聖女様」
「大丈夫よ、さっきのような事があっても怖いから、ちゃんと防御魔法もかけたし」
あの髪飾りは、婚約者であるアルファド王子から贈られた物で、大ぶりの宝石があしらわれたトルテ自身はあまり好みではないデザインだった。
聖女のサークレットを付けるのに邪魔ではあったが、王子はトルテには関心を持たないくせに毎日必ず身に着けるよう命令してきたのだ。王子に会わない日も監視役をつけているようで、着けていないと後日ネチネチと嫌味を言われるのだ。
髪飾りを落とした場所、それは先ほど男に体当たりされた場所だろう。倒れた時に外れてしまったに違いない。
トルテが急いで先ほどの場所の近くまで戻ると、茂みの中に光る物を見つけた。近づいてみると、落とした髪飾りだった。体当たりされた場所から結構飛んでしまっていたみたいだ。
「良かった…」
失くしたら王子に何と言われるか分からない。トルテはホッと息をついて髪飾りを握りしめる。
そして、ふと目線を上げた瞬間、信じられない光景が目に飛び込んできた。
「…っ!」
茂みの奥、先ほどまで自分がいた場所に恐ろしい光景が広がっていた。
目の前には、真っ赤な血の海が広がり、その中にアカギツネが力なく横たわっていた。多分、もうすでに息は無いだろう。あのアカギツネは間違いない、先ほどトルテが呪いを解いた赤髪の男だ。
叫びそうになったトルテの耳に、人の話し声が聞こえてきた。
「おい!この一角獣も殺しちまって良いのか?結構な上物だぜ??」
「当たり前だ、生きてたらこの森から出せねぇからな。お前、この森の仕事初めてか?」
「死体じゃねーと持ち出せないのか、めんどくせえ所だなここは」
「動けない動物どもを狩る楽な仕事さ。綺麗に殺せよ?そいつは剥製にして他国の王家に売りつける予定だからな!!」
奥の方を見やると、狩人と思われる男たちが数人で会話をしている。
その男たちの足元には、まだ息のある動物たちが身動き一つ出来ずに横たわっている。
(あの動物たちも、さっき私が呪いを解いた人達じゃない!?何故、こんなことをしているの!?)
トルテの混乱をよそに、男たちは大声で会話を続ける。
「あの聖女ってのもひでぇよな!すぐに殺される奴らに、明日には人の姿に戻れるとか光の神に感謝をとか言っちまうんだもんな!!」
「あれだろ、聖女ってのは魔神ダークが森に住んでる人間に呪いをかけたって話、本気で信じてるんだろ?」
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ギャハハと下品に笑う男たち。
「おい!!王族との契約を忘れるなよ、そんな話を誰かに聞かれてみろ。今度は俺らが獣にされてここに棄てられるぞ!!」
リーダーらしき男が会話をしていた男たちをたしなめると、他の男たちも会話をやめ、それぞれの仕事に戻っていった。
トルテは命が奪われていく瞬間を見ることが出来なかった。ただただ恐ろしかった。
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