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【1部】第五章.いざ行かん馬車の旅
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パチリと目を覚ますと、カーテンの隙間から差す光で良い天気だと分かる。
「ふあぁ~良く寝たわー」
『おはようございますマスター、現在の時刻は朝8時です』
「おはようナビさん。そっかー、今日はちょっと寝坊しちゃったね」
私は寝ぼけ眼で身支度をした。
着替え終わると、簡単に部屋を片付ける。
部屋を出て1階へ降りると、いつものようにカウンターで新聞を読むリカルドさんがいた。
「おはようございますリカルドさん」
「おう、おはようさん。まだ早い時間だが、チェックアウトしちまうかい?」
「そうですね、チェックアウトしちゃいます」
「そうかい、わかった」
リカルドさんに部屋の鍵を渡す。
「ほいよ、手続き完了だ。ザラックまでは結構かかるが気を付けて行けよ」
「ありがとうございます。気を付けます。…そう言えばアイシャさんとアコットちゃんは?」
「アイシャはまだ寝てる。自分の城であるキッチンがあんだけ荒らされたからな…アコットは西の教会に勉強しに行ったよ」
昨日の今日だもんね、そりゃあアイシャさんだってまいっちゃうよね…
「学校って教会がやってるんですか?」
そう言えば、昨日アコットちゃんもそんな事を言ってたな…。
「何年か前から、タイエンベルク家のお嬢様が街の子供たちの為にって、無料で読み書きと簡単な計算を教えてくれてるのさ」
「へぇー!そんな事もやってるんですね」
「最初は教会の孤児院に居る子供たちだけにだったんだが、徐々に街の子供たちも受け入れてくれるようになったんだ」
「え、それって結構な人数になっちゃいますよね…?」
「ああ、だから今じゃ他の教会でも同じ取り組みをしてるし、近くの空き家を改装して授業してくれてたりするのさ」
何と言うか、それって本格的な学校じゃない?
「お嬢様本人が教会にくることは月に1度程度だけど、シスターたちが週に2日くらいやってくれてんのさ」
「良い取り組みですね」
「学校に行かせる余裕が無いからありがたいぜ。嬢ちゃんも覗いて行ってみると良い」
「街から出ていく前に、ちょっと見に行ってみます。二日間ありがとうございました。アイシャさんとアコットちゃんにもよろしくお伝えください」
「おう。また泊まりに来いよな」
「はい!」
私ははるにれ亭を後にした。
市場で朝食を食べて買い物が終わったら教会に行ってみよう。
ミルス様たちも教会でお祈りしてほしいって言ってたし。
(ナビさん、タイエンベルク家ってどんな家?)
『この国の侯爵家の一つです』
(てことは一番偉い貴族か…まともな家っぽいね?)
『はい。ボルシェイク家と違って、高貴なる者の義務を体現するような一族です』
(めっちゃすごい家じゃん。って事はボルシェイク家とは仲悪そうね)
『犬猿の仲だと思いますよ』
(そりゃそうか、正反対な感じだもんね…)
そんなやり取りをしながら、朝ご飯のホットドッグをのんびりと食べた。
その後は、シュガーポットやパスタなんかの買いたかった物も買い、2日ぶりにエルザさんの洋服店へおもむいた。
「いらっしゃい…ってブロッサムじゃない!」
「エルザさんおはようございます。今日は街を出る挨拶と、買い物にに来ました」
「あら、街から出て行っちゃうのね」
「はい、ザラックに行きます」
「随分遠くへ行くのね…」
「ええ、でも良い街だと聞いたので楽しみです」
「ふふふ、そうなのね。またこっちに来ることが有れば寄ってちょうだいね」
「はい!もちろん寄らせていただきます」
ちゃんと冒険者になってから、もう一度この街に来れるといいな。
「そう言えば聞いたわよ!はるにれ亭に警備隊が押し入ったそうじゃない!!」
「ああ、耳が早いですね。違法にポーションを作っていると誰かから通報が行ったらしいです」
「宿の方は大丈夫だったの…?」
「お皿とかは割られちゃいましたけど、ギルマスのベックさんが助けてくれてリカルドさん達も無事です」
エルザさん達とリカルドさん達は顔見知りだもんね、そりゃぁ心配するよね。
「それなら良かったわ…この辺りじゃアイシャしかポーションを作れないからね…一体誰が洩らしたのか…」
「どこかのお貴族様の圧力が凄いみたいですし、しばらくはポーションは作らないって言ってました」
ここらへんで一人しかポーション作れないんじゃ、犯人は捜しようが無いよね。
まあ、見つけたところで仕方なさそうだけど…
ボルシェイク家のポーションの質が悪すぎるから、何かひと悶着ありそうだなぁとは思う。
「それが賢明だわ。さて、お客さんは今日は何かをお買い求めかしら?」
おっと、突然の仕事モード。
「えっと、今着ているのと同じような服をもう一枚欲しいんですが…」
「わかったわ、それならこの辺りがいいかしらね…」
私はエルザさんが勧めてくれたシャツとズボンを購入した。
「エルザさんありがとうございました」
「こちらこそ、お買い上げありがとうございます。よ」
「それじゃあ、お世話になりました。旦那さんのグラハムさんにもよろしくお伝えください」
「ええ、道中気を付けるのよ」
「はい!!」
こうして私はエルザさんの店から出た。
「ふあぁ~良く寝たわー」
『おはようございますマスター、現在の時刻は朝8時です』
「おはようナビさん。そっかー、今日はちょっと寝坊しちゃったね」
私は寝ぼけ眼で身支度をした。
着替え終わると、簡単に部屋を片付ける。
部屋を出て1階へ降りると、いつものようにカウンターで新聞を読むリカルドさんがいた。
「おはようございますリカルドさん」
「おう、おはようさん。まだ早い時間だが、チェックアウトしちまうかい?」
「そうですね、チェックアウトしちゃいます」
「そうかい、わかった」
リカルドさんに部屋の鍵を渡す。
「ほいよ、手続き完了だ。ザラックまでは結構かかるが気を付けて行けよ」
「ありがとうございます。気を付けます。…そう言えばアイシャさんとアコットちゃんは?」
「アイシャはまだ寝てる。自分の城であるキッチンがあんだけ荒らされたからな…アコットは西の教会に勉強しに行ったよ」
昨日の今日だもんね、そりゃあアイシャさんだってまいっちゃうよね…
「学校って教会がやってるんですか?」
そう言えば、昨日アコットちゃんもそんな事を言ってたな…。
「何年か前から、タイエンベルク家のお嬢様が街の子供たちの為にって、無料で読み書きと簡単な計算を教えてくれてるのさ」
「へぇー!そんな事もやってるんですね」
「最初は教会の孤児院に居る子供たちだけにだったんだが、徐々に街の子供たちも受け入れてくれるようになったんだ」
「え、それって結構な人数になっちゃいますよね…?」
「ああ、だから今じゃ他の教会でも同じ取り組みをしてるし、近くの空き家を改装して授業してくれてたりするのさ」
何と言うか、それって本格的な学校じゃない?
「お嬢様本人が教会にくることは月に1度程度だけど、シスターたちが週に2日くらいやってくれてんのさ」
「良い取り組みですね」
「学校に行かせる余裕が無いからありがたいぜ。嬢ちゃんも覗いて行ってみると良い」
「街から出ていく前に、ちょっと見に行ってみます。二日間ありがとうございました。アイシャさんとアコットちゃんにもよろしくお伝えください」
「おう。また泊まりに来いよな」
「はい!」
私ははるにれ亭を後にした。
市場で朝食を食べて買い物が終わったら教会に行ってみよう。
ミルス様たちも教会でお祈りしてほしいって言ってたし。
(ナビさん、タイエンベルク家ってどんな家?)
『この国の侯爵家の一つです』
(てことは一番偉い貴族か…まともな家っぽいね?)
『はい。ボルシェイク家と違って、高貴なる者の義務を体現するような一族です』
(めっちゃすごい家じゃん。って事はボルシェイク家とは仲悪そうね)
『犬猿の仲だと思いますよ』
(そりゃそうか、正反対な感じだもんね…)
そんなやり取りをしながら、朝ご飯のホットドッグをのんびりと食べた。
その後は、シュガーポットやパスタなんかの買いたかった物も買い、2日ぶりにエルザさんの洋服店へおもむいた。
「いらっしゃい…ってブロッサムじゃない!」
「エルザさんおはようございます。今日は街を出る挨拶と、買い物にに来ました」
「あら、街から出て行っちゃうのね」
「はい、ザラックに行きます」
「随分遠くへ行くのね…」
「ええ、でも良い街だと聞いたので楽しみです」
「ふふふ、そうなのね。またこっちに来ることが有れば寄ってちょうだいね」
「はい!もちろん寄らせていただきます」
ちゃんと冒険者になってから、もう一度この街に来れるといいな。
「そう言えば聞いたわよ!はるにれ亭に警備隊が押し入ったそうじゃない!!」
「ああ、耳が早いですね。違法にポーションを作っていると誰かから通報が行ったらしいです」
「宿の方は大丈夫だったの…?」
「お皿とかは割られちゃいましたけど、ギルマスのベックさんが助けてくれてリカルドさん達も無事です」
エルザさん達とリカルドさん達は顔見知りだもんね、そりゃぁ心配するよね。
「それなら良かったわ…この辺りじゃアイシャしかポーションを作れないからね…一体誰が洩らしたのか…」
「どこかのお貴族様の圧力が凄いみたいですし、しばらくはポーションは作らないって言ってました」
ここらへんで一人しかポーション作れないんじゃ、犯人は捜しようが無いよね。
まあ、見つけたところで仕方なさそうだけど…
ボルシェイク家のポーションの質が悪すぎるから、何かひと悶着ありそうだなぁとは思う。
「それが賢明だわ。さて、お客さんは今日は何かをお買い求めかしら?」
おっと、突然の仕事モード。
「えっと、今着ているのと同じような服をもう一枚欲しいんですが…」
「わかったわ、それならこの辺りがいいかしらね…」
私はエルザさんが勧めてくれたシャツとズボンを購入した。
「エルザさんありがとうございました」
「こちらこそ、お買い上げありがとうございます。よ」
「それじゃあ、お世話になりました。旦那さんのグラハムさんにもよろしくお伝えください」
「ええ、道中気を付けるのよ」
「はい!!」
こうして私はエルザさんの店から出た。
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