10 / 13
私はお前が好きだ
しおりを挟む
「……」
夜空に浮かぶ月を見つめながら、オリヴィエは物思いにふけっていた。
『お前の命が尽きるとき、また現れる』
そう言って去っていったあの男――ルスタヴェリは、一体どういうつもりなのだろう。
(あれから、本当に一度も姿を見せないじゃないか)
病のせいで、さすがにもう出歩くのは難しいオリヴィエには、こちらから出向くことは出来ない。
待っているしか出来ないことが、こんなに歯痒いとは思わなかった。
しかし幸い、というのも微妙だが、ルスタヴェリの姿が見えなくても、常に視線を感じどこかで見ているような気がしてならなかったことが、オリヴィエを落ち着かせていた。
ルスタヴェリは律儀にもあの言葉を守っているのだろう――。そう思ったからだ。
だから、オリヴィエは今日もルスタヴェリの姿を見ることはなく、一日が終わるのだろうと思っていた。けれど、予想外のことはままあるものだ。
突然、まるで瞬間移動したかのように目の前にルスタヴェリが現れ、オリヴィエは息を止めて驚いた。それだけ、唐突にルスタヴェリは現れたのだ。
ルスタヴェリはいつものように冷静な態度だったが、纏う雰囲気がどこかいつもと違い、オリヴィエはそっと眉を寄せる。
無表情が常だったルスタヴェリにしてはどこか不安げで、何かに耐えるようにも見えた。
「……ルスタヴェリ」
「なんだ?」
声をかけると、以外にもすぐに返事があった。
「本当に来てくれたんだね」
「あぁ。約束通り会いに来たぞ」
「ありがとう……」
お礼を言うと、ルスタヴェリが目を細めた。そして、ゆっくりと近づいてくる。
「また顔色が悪くなったな」
頬に手を当てられて、思わずビクリとオリヴィエの身体が跳ねる。ルスタヴェリの手は冷たかった。
「そんなに怯えなくていい。取って食ったりしない」
苦笑するルスタヴェリに、オリヴィエは首を振った。
「違うよ。君に触られるとドキドキしてしまうだけだ」
正直に言うと、ルスタヴェリは驚いた顔をした後、困惑したように視線を落とした。
「……それは、困るな」
「どうして?」
「私もお前に触れると緊張する。触れた部分が熱くなるのを感じると、妙に落ち着かない気分になるのだ」
「え……君、それは……」
ルスタヴェリの答えを聞いて、オリヴィエは戸惑ってしまった。それではまるで……。
「私はお前に触れたい。お前も、私に触れられたいと思っているか?」
「……!」
ルスタヴェリの言葉に、オリヴィエの鼓動が激しくなる。まさか、ルスタヴェリも同じことを考えていたなんて思わなかったのだ。
オリヴィエの胸の中に、喜びが広がっていく。
「私はお前が好きだ。だからお前が欲しかったのだ」
次で完結
夜空に浮かぶ月を見つめながら、オリヴィエは物思いにふけっていた。
『お前の命が尽きるとき、また現れる』
そう言って去っていったあの男――ルスタヴェリは、一体どういうつもりなのだろう。
(あれから、本当に一度も姿を見せないじゃないか)
病のせいで、さすがにもう出歩くのは難しいオリヴィエには、こちらから出向くことは出来ない。
待っているしか出来ないことが、こんなに歯痒いとは思わなかった。
しかし幸い、というのも微妙だが、ルスタヴェリの姿が見えなくても、常に視線を感じどこかで見ているような気がしてならなかったことが、オリヴィエを落ち着かせていた。
ルスタヴェリは律儀にもあの言葉を守っているのだろう――。そう思ったからだ。
だから、オリヴィエは今日もルスタヴェリの姿を見ることはなく、一日が終わるのだろうと思っていた。けれど、予想外のことはままあるものだ。
突然、まるで瞬間移動したかのように目の前にルスタヴェリが現れ、オリヴィエは息を止めて驚いた。それだけ、唐突にルスタヴェリは現れたのだ。
ルスタヴェリはいつものように冷静な態度だったが、纏う雰囲気がどこかいつもと違い、オリヴィエはそっと眉を寄せる。
無表情が常だったルスタヴェリにしてはどこか不安げで、何かに耐えるようにも見えた。
「……ルスタヴェリ」
「なんだ?」
声をかけると、以外にもすぐに返事があった。
「本当に来てくれたんだね」
「あぁ。約束通り会いに来たぞ」
「ありがとう……」
お礼を言うと、ルスタヴェリが目を細めた。そして、ゆっくりと近づいてくる。
「また顔色が悪くなったな」
頬に手を当てられて、思わずビクリとオリヴィエの身体が跳ねる。ルスタヴェリの手は冷たかった。
「そんなに怯えなくていい。取って食ったりしない」
苦笑するルスタヴェリに、オリヴィエは首を振った。
「違うよ。君に触られるとドキドキしてしまうだけだ」
正直に言うと、ルスタヴェリは驚いた顔をした後、困惑したように視線を落とした。
「……それは、困るな」
「どうして?」
「私もお前に触れると緊張する。触れた部分が熱くなるのを感じると、妙に落ち着かない気分になるのだ」
「え……君、それは……」
ルスタヴェリの答えを聞いて、オリヴィエは戸惑ってしまった。それではまるで……。
「私はお前に触れたい。お前も、私に触れられたいと思っているか?」
「……!」
ルスタヴェリの言葉に、オリヴィエの鼓動が激しくなる。まさか、ルスタヴェリも同じことを考えていたなんて思わなかったのだ。
オリヴィエの胸の中に、喜びが広がっていく。
「私はお前が好きだ。だからお前が欲しかったのだ」
次で完結
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
声なき王子は素性不明の猟師に恋をする
石月煤子
BL
第一王子である腹違いの兄から命を狙われた、妾の子である庶子のロスティア。
毒薬によって声を失った彼は城から逃げ延び、雪原に倒れていたところを、猟師と狼によって助けられた。
「王冠はあんたに相応しい。王子」
貴方のそばで生きられたら。
それ以上の幸福なんて、きっと、ない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる