天国への階段

高嗣水清太

文字の大きさ
11 / 13

私も君のことが好きだ

しおりを挟む
 真っ直ぐに見つめられ、オリヴィエは動揺してしまった。
 いくら予想できていたこととは言え、さらに言うならオリヴィエも同じ気持ちとはいえど、突然の告白に動揺しない筈がない。

 嬉しい。凄く嬉しい。けれど、同時に怖かった。こんな幸福があるだろうか。

「……私も君のことが好きだ。でも、一つだけお願いしたいことがあるんだ。聞いてくれるかい?」
「何だ? 私ができることなら何でもしよう」

 ルスタヴェリの真剣な表情に、オリヴィエは意を決して口を開いた。

「私に君の血をくれ。私を君の眷属にしてくれ」
「……?」

 オリヴィエの提案を聞いたルスタヴェリは、怪訝な顔をして首を傾げた。

「元よりそのつもりだが……」
「違うよ。君は私をヴァンパイアにしたら、封印されるつもりだっただろう?」
「ああ、そういう約束だった筈だ」
「だから、それを無しにしたい」

 オリヴィエはハッキリと言った。

「それは、つまり……」
「うん。私は君とずっと一緒にいたい。君さえよければ――だけど」
「私が断る筈がないだろう! 勿論だ。これからは共に生きよう。いや、共に永遠を……生きて欲しい」

 ルスタヴェリが嬉しそうに笑うものだから、オリヴィエまで幸せな気分になった。

「じゃあ、さっそく……腕でいいかな?」

 私の大半は腐蝕してしまっているから……。そう言って、オリヴィエは自分の腕を差し出した。
 少々変色してしまっているその皮膚を、ルスタヴェリは痛ましそうに見つめる。

「……ああ、大丈夫だ。問題ない」

 ルスタヴェリは晒されたオリヴィエの腕に躊躇なく噛みついた。
 痛みと共にオリヴィエに流れ込んでくるルスタヴェリの熱い血潮は全身を巡り、オリヴィエの身体を光で包み始める。
 オリヴィエは己の腐敗していた内蔵から爛れていた肌までが、ジワジワと再生されていくのを赤く変わっていく視界でただ見ていた。


 時間にして、一時間も無かったかもしれない。
 温かな光が収まると、そこにはルスタヴェリと同じヴァンパイアの姿となったオリヴィエがいた。

「これで、私もヴァンパイアか」

 オリヴィエが微笑むと、ルスタヴェリも笑みを浮かべる。

「そうだな。だが、少し残念でもある」
「……? なぜだ?」
「お前が私のものであるという証が欲しかったのだ。封印は、私がお前のものであるのと同時に、お前は私のものである証拠にもなっただろう? 封印により、お前はいつまでも私と繋がっていてくれただろうから」
「あぁ、そういうことか。大丈夫だよ。私はもう君から離れない。だって――」

 オリヴィエはそこで言葉を切って、ルスタヴェリの身体に腕を巻き付ける。

「私が好きなのは君だけだ。他の人なんて考えられないからね」
「……お前は存外、可愛いことを言うな」

 ルスタヴェリは興奮で爛々と輝く瞳を隠しもせずオリヴィエを見つめると、そっとその顎を持ち上げてキスをした。


               end



次は番外:死神レニエ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

琥珀の檻

万里
BL
砂漠の王国の離宮「琥珀の間」で、王・ジャファルは、異母弟であるアザルを強引に抱き、自らの所有物であることを誇示していた。踊り子の息子として蔑まれ、日陰の存在として生きてきたアザルにとって、兄は憎悪と恐怖の対象でしかなかった。 しかし、その密事を見つめる影があった。ジャファルの息子であり、次期王位継承者のサリムである。サリムは叔父であるアザルに対し、憧憬を超えた歪な独占欲を抱いていた。 父から子へ。親子二人の狂おしい執着の視線に晒されたアザルは、砂漠の夜よりも深い愛憎の檻に囚われていく。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...