Lv.

雪鳴月彦

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エピローグ

エピローグ 2

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 それでも、最終的にそれを望むかどうかなんて本人の意思で良いと思うのだが。

「何なら、オレの方から電話で話をしておいてやろうか? おそらく今夜は、連発する着信に悩まされる可能性が高まるが」

「しなくて良い。そういう余計なことは一切しないで」

 お兄ちゃんの有難みのかけらもない申し出をバッサリと断り、耳を塞いで現実逃避をしたくなりかけた瞬間。

「すみませーん」

 唐突に、店の入口から男性の遠慮がちな声が聞こえてきた。

「あ、誰か来た。念のため聞くけど、何かの催促じゃないよね?」

「くどいな。オレに借金は一円もない。さっさとドアを開けてやれ。仕事の依頼だろう」

 ふんぞり返っていた姿勢を正し、お兄ちゃんが顎で入口を示す。

「はいはい、わかりましたよっと」

 あたしも素直に立ち上がり、それに応える。

 この便利屋にとっては、たった一人でも貴重過ぎるくらいのお客様だ。

「はい、何でしょうか?」

 ドアを開けると、案の定男性が一人で立っていた。

「あのぉ……ちょっと、依頼をしたくて来たんですけど、今大丈夫ですかね?」

「もちろんです。営業中ですよ、こちらへどうぞ」

 笑顔で応対し、あたしは男性を部屋の中へと招き入れた。

 そして、お兄ちゃんへ顔を向け声をかける。

「お兄ちゃん、お仕事だよ」

「わかっている。そっちへ座ってくれ」

 男性へ視線を送り、ソファーを指差すお兄ちゃん。

「あ、はい。すみません」

 素直に従う男性を見届けて、あたしはコーヒーとお菓子の準備に取り掛かった。

 その間にお兄ちゃんも男性の正面へと移動し、接客モードに切り替わる。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

 男性とお兄ちゃんの前に、あたしはコーヒーとお菓子を並べた。

 それを見届けて。

「さて、それでは依頼内容の説明を聞こうか」

 お兄ちゃんが話を切り出し。

 しがない便利屋の、九月最初でたぶん最後の貴重な仕事がスタートした。




         完
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みんなの感想(2件)

大海烏@いんてぃかぱっく

受賞おめでとうございます

雪鳴月彦
2024.05.03 雪鳴月彦

ありがとうございます!

一次選考すら無理だろうと思っていたので、まさかの結果に戸惑いました(笑)

解除
よなぷー
2024.03.04 よなぷー

読み終えました!☺️
面白かったです!😆
ただ、結局『Lv.』とは何だったのかが分かりませんでした……😅
兄妹の次なる事件を楽しみにしております!😆

雪鳴月彦
2024.03.04 雪鳴月彦

はじめまして!

「Lv.」……殺人をゲーム感覚で遂行する犯人という、デスゲーム的な雰囲気を演出することで、被害者たちが犯人の異常性と閉鎖環境に強い恐怖心を抱く効果を表現できるかなぁ~と思ってつけました。
分かりにくい表現になってしまい、すみません😣


最後まで読んでいただきありがとうございました!

解除
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