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第一章 出逢いと再会
兄ジョージ
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近年、地方で魔王ギリェルモの手下の魔物ちが暴れているらしい。街や家を壊され、人が亡くなったという話もよく聞く。近年、王立騎士団はその鎮圧に当たっていた。
噂によると、魔王ギリェルモはあと少しのところで逃してしまったようだ。だが一番隊隊長で、猟犬騎士と呼ばれるオリヴァーの功績はめざましく、素晴らしい活躍をしたのだという。
そんな王立騎士団を労うパーティーが王宮で開かれる。シャーロットは兄のジョージに頼んで、そこに参加するつもりなのだ。
(お兄様、無理を言ってごめんなさい。オリヴァー様が心配なの。そんな危険な任務をこなされて……さぞや大変だったでしょう)
シャーロットはぎゅっと目を瞑{つぶ}った。
――ロッティー、本気なのかい?
昨日会った時、ジョージは複雑そうな顔をしていた。
兄はオリヴァーと同じく、今年三十二になった。王立騎士団の下級騎士で、事務方である。眼鏡をかけていて、妹と同じ青い目をしている。両親が死んでからは苦労の連続で、そのせいか年齢より老けてみられる。
けれども中身は昔と変わらず、妹にはめっぽう甘い、優しい兄だった。ロッティーとは、両親が亡くなってからは、兄だけが呼ぶ、彼女の愛称である。
ジョージとオリヴァーは騎士学校時代からの親友だった。シャーロット達の家がまだ裕福だった頃、兄たちは頻繁に付き合いがあった。しかし没落してからは、交流はほとんどない。
自分たちと付き合うとオリヴァーまでヒソヒソと噂をされる、と気を遣い、兄の方から離れたのだ。同時に、彼女が初恋の彼に会う機会も無くなった。
――ええ、お願いします。どうしてもオリヴァー様のご無事を確かめたいの、この目で。今回の魔族討伐はとても激しい戦いだった、と聞いたから。
噂によると、魔王ギリェルモはあと少しのところで逃してしまったようだ。だが一番隊隊長で、猟犬騎士と呼ばれるオリヴァーの功績はめざましく、素晴らしい活躍をしたのだという。
そんな王立騎士団を労うパーティーが王宮で開かれる。シャーロットは兄のジョージに頼んで、そこに参加するつもりなのだ。
(お兄様、無理を言ってごめんなさい。オリヴァー様が心配なの。そんな危険な任務をこなされて……さぞや大変だったでしょう)
シャーロットはぎゅっと目を瞑{つぶ}った。
――ロッティー、本気なのかい?
昨日会った時、ジョージは複雑そうな顔をしていた。
兄はオリヴァーと同じく、今年三十二になった。王立騎士団の下級騎士で、事務方である。眼鏡をかけていて、妹と同じ青い目をしている。両親が死んでからは苦労の連続で、そのせいか年齢より老けてみられる。
けれども中身は昔と変わらず、妹にはめっぽう甘い、優しい兄だった。ロッティーとは、両親が亡くなってからは、兄だけが呼ぶ、彼女の愛称である。
ジョージとオリヴァーは騎士学校時代からの親友だった。シャーロット達の家がまだ裕福だった頃、兄たちは頻繁に付き合いがあった。しかし没落してからは、交流はほとんどない。
自分たちと付き合うとオリヴァーまでヒソヒソと噂をされる、と気を遣い、兄の方から離れたのだ。同時に、彼女が初恋の彼に会う機会も無くなった。
――ええ、お願いします。どうしてもオリヴァー様のご無事を確かめたいの、この目で。今回の魔族討伐はとても激しい戦いだった、と聞いたから。
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