17 / 20
423番、吉田喜男⑤
しおりを挟む
別れたあと、ᒍは尾行が付くことを想定して診療所へと足を向けた。
診療所内へ入ると、セキリティを最強にする。これで職員以外はアリの子1匹入れない。
この診療所は出入り口が1か所しかない。職員用の駐車場も地上にあるので、入り口前で張っていてくれれば自分がずっとここにいたと証明されるだろう。
あまりに長時間だと怪しまれるだろうが、数時間なら十分誤魔化せる。
ᒍは診察室の奥にあるクローゼットに手をかけた。
把手を握るとピピッと小さな電子音が鳴り、開けると出てきたのは洋服……ではなく、どこかへ続く道だった。
実は職員が常在している施設にはこういった仕掛けが必ずある。普通の人間が開ければ普通のクローゼットだが、掌紋登録したもののみ、真実の扉が開くことになる。犯罪者を相手にしている性質上、職員の身の安全の為であるが、刑務官の本拠地を知られない為でもある。
長い通路を歩いた先たどり着いた場所は、所長室。
コンコン、とノックすると中からどうぞ、という声が聞こえてきた。
「やほ。調子はどおー?」
「あら。来てたのね、憐ちゃん」
先客に笑顔で返すと、手近な椅子に腰を下ろした。
「首尾は?」
「上々、ってところかしらね」
「順調にお熱あげてる感じ?」
「そうねえ。今も診療所の前でウロウロしてるんじゃないかしら」
「うん、そうだねー。入れないからイライラしてるみたい。侵入箇所を探してるっぽいねー」
防犯カメラの映像を見ながら楽しげに言う相模に笑顔を向ける。
「で。どうだ? こっち側に来る可能性は?」
「ああ、それはゼロね。独り善がりの自分中心型。サイコパスというより良心が希薄なだけのただのおこちゃまね」
「まあ、でもだから厄介ってのもあるよね」
「そうね。何しでかすか読めない怖さはあるわね。単純ではあるけど、無邪気が一番厄介」
「どうすんの? これから」
「それを相談に来たのよ。どうしましょうかね、所長?」
黙って話を聞いていた所長は話を振られ、思案顔になった。
「そうだな……アレは世に放ってはいかんだろう。病棟送りにするのが妥当ではないかと思うんだが、どうかな?」
「いいんじゃない? それが一番無難そう」
「そうねえ。ああいうタイプは簡単に壊れてくれそうだし。調教のしがいがあるものね。憐ちゃん、手伝ってもらえるかしら?」
「ふふっ。いいよー。所長?手加減はいらないよね?」
「まあ……ほどほどに、な」
苦笑しながらも否定はしない所長の言葉に、満面の笑みを浮かべる。
「じゃあ、軽く打ち合わせしておきましょうか。あまりここに長居しすぎると診療所にいないことがバレちゃうしね」
「らじゃー♪」
「大丈夫だとは思うが。十分に気をつけろよ? 自称とはいえ、相手は未知数だ」
「やあねえ」
「「誰に向かって言ってるの?」」
キレイにハモった言葉に、所長の口元が緩む。
「最後の仕上げだ。よろしく頼む。向こうには連絡を入れておく」
ᒍと憐は頷くと、簡単な打ち合わせに入った。
診療所内へ入ると、セキリティを最強にする。これで職員以外はアリの子1匹入れない。
この診療所は出入り口が1か所しかない。職員用の駐車場も地上にあるので、入り口前で張っていてくれれば自分がずっとここにいたと証明されるだろう。
あまりに長時間だと怪しまれるだろうが、数時間なら十分誤魔化せる。
ᒍは診察室の奥にあるクローゼットに手をかけた。
把手を握るとピピッと小さな電子音が鳴り、開けると出てきたのは洋服……ではなく、どこかへ続く道だった。
実は職員が常在している施設にはこういった仕掛けが必ずある。普通の人間が開ければ普通のクローゼットだが、掌紋登録したもののみ、真実の扉が開くことになる。犯罪者を相手にしている性質上、職員の身の安全の為であるが、刑務官の本拠地を知られない為でもある。
長い通路を歩いた先たどり着いた場所は、所長室。
コンコン、とノックすると中からどうぞ、という声が聞こえてきた。
「やほ。調子はどおー?」
「あら。来てたのね、憐ちゃん」
先客に笑顔で返すと、手近な椅子に腰を下ろした。
「首尾は?」
「上々、ってところかしらね」
「順調にお熱あげてる感じ?」
「そうねえ。今も診療所の前でウロウロしてるんじゃないかしら」
「うん、そうだねー。入れないからイライラしてるみたい。侵入箇所を探してるっぽいねー」
防犯カメラの映像を見ながら楽しげに言う相模に笑顔を向ける。
「で。どうだ? こっち側に来る可能性は?」
「ああ、それはゼロね。独り善がりの自分中心型。サイコパスというより良心が希薄なだけのただのおこちゃまね」
「まあ、でもだから厄介ってのもあるよね」
「そうね。何しでかすか読めない怖さはあるわね。単純ではあるけど、無邪気が一番厄介」
「どうすんの? これから」
「それを相談に来たのよ。どうしましょうかね、所長?」
黙って話を聞いていた所長は話を振られ、思案顔になった。
「そうだな……アレは世に放ってはいかんだろう。病棟送りにするのが妥当ではないかと思うんだが、どうかな?」
「いいんじゃない? それが一番無難そう」
「そうねえ。ああいうタイプは簡単に壊れてくれそうだし。調教のしがいがあるものね。憐ちゃん、手伝ってもらえるかしら?」
「ふふっ。いいよー。所長?手加減はいらないよね?」
「まあ……ほどほどに、な」
苦笑しながらも否定はしない所長の言葉に、満面の笑みを浮かべる。
「じゃあ、軽く打ち合わせしておきましょうか。あまりここに長居しすぎると診療所にいないことがバレちゃうしね」
「らじゃー♪」
「大丈夫だとは思うが。十分に気をつけろよ? 自称とはいえ、相手は未知数だ」
「やあねえ」
「「誰に向かって言ってるの?」」
キレイにハモった言葉に、所長の口元が緩む。
「最後の仕上げだ。よろしく頼む。向こうには連絡を入れておく」
ᒍと憐は頷くと、簡単な打ち合わせに入った。
0
あなたにおすすめの小説
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
皇帝陛下の精子検査
雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。
しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。
このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。
焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる