卵が先か鶏が先か

但馬憂姫

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四章

学校へ行こう!

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「諒ー早くー!」
「あ、ちょっと待って! と5分!!」
「えー先行っちゃうよー?」
「だからちょっとまっ、痛っ!!」
「え、何、どうしたの? 大丈夫?」

新生活スタートの初日。

寝坊したわけじゃないんだけど、学校が近くなった分時間に余裕があるはずなんだけど。
朝の身支度の動線というのかな? 勝手が違くていつも以上に時間がかかった。
まあ、拓海の作る朝ごはんが美味しくてつい食べすぎたのも敗因の一つなわけだが。

「もー諒慌てすぎ。周りよく見てね?」
「拓海が急かしたんだろ」
「人のせいにしない」
「いや、事実じゃん」

歩きながらぶつけたおでこを触っていたら、呆れたように言われてしまった。
そして反論する俺。
いや、自分が悪いのはわかってるんだけどな。
拓海んちの洗面所の出入り口がちょっと低くなってて、高身長の俺はよくぶつけちゃうんだけど。
今日も慌ててから屈むの忘れておでこを思いっきりぶつけてしまった。
…やっぱり急かした拓海のせいじゃんね。

「おはよー」
「おはよー!」

クラスメイトに挨拶しながら学校の門をくぐると、じゃあまた部活で! と拓海と別れ、俺は単身職員室へと向かった。

「先生。これ親から預かった書類です 」
「おう。引っ越しはもう済んだのか?」
「はい、おかげさまで」
「そうか。ならよかった。何か困ったことがあればいつでも相談しろよ?」
「はい、ありがとうございます」

失礼します、と職員室を出たところで上級生の団体に声をかけられた。
何やら剣呑な雰囲気を纏いながら、言われた言葉は、『昼休み、屋上に来い』だった。


昼休み。

行かないって選択肢もあるけど、行かなかったらまたややこしいんだろうなあ、とか弁当食ってからじゃだめかなあ、とか思いながらとりあえず弁当持って屋上へと向かった。まだ誰も来てなかったら食って待とう。



と思っていたら。

いた。

屋上についた途端、囲まれる。
ああ、俺の弁当タイムと心の中で泣きながら、俺何かしたかな?と首を傾げる。俺先輩方にうらまれるようなことしたかな?

「お前さー。加賀んちに下宿してんだって?」
「え? ああ、はい、まあ…」

何が言いたいんだろ? この人たち。

「前から思ってたんだけどさ。お前生意気なんだよね」
「…は?」
「一年のくせに補欠とはいえレギュラー入りでさ」
「あいつもお前ばっかり贔屓してるしな」
「あいつがさ、加賀グループ総帥の息子だからって取り入ろうとしてんだろ」
「…何が言いたいんですか?」

いい加減ちょっとイラッとしてきたところに、背後から俺以上に苛ついた声がかかった。

「自分らがレギュラー取れなかった逆恨みだろ? 諒はお前らがサボって女漁りしてた時も、練習終わってさっさと帰った後も、一人残ってボール磨きしたり自主練してたんだ。レギュラー外されないために勉強だってしっかりやってさ。一生懸命努力して勝ち取ったレギュラーだ。とやかく言われる筋合いはないはずだ。ダッセーことやってんじゃねーよ」
「加賀…!? どうしてここに!!? てめえ! 加賀にチクったな!!?」
「ばーか。諒は一々そんな事言わねーよ。俺が飯食ってたらお前らがぞろぞろ来たんだろ。俺は毎日ここで昼飯食ってんの。これ以上変な言いがかりつけるようなら、生徒会副会長として学校と顧問に報告させてもらうんで、そのつもりで。行こう、諒」

あまりの展開の早さについていけず、呆然としていた俺は、名前を呼ばれてハッと我に返り、拓海に促されるまま、屋上を後にした。
しばらく無言で歩いていた俺達は、いつの間にか中庭にいた。
昼休みも終わろうとしているからか、周りに人はいなかった。
ああ…飯食いそこねたなあ…せっかく拓海が弁当作ってくれたのになあ…って思ってると、ずっと無言だった拓海が唐突に頭を下げた。

「ごめんっ!!!」
「え? 何で?」

本当に何がなんだかわからず拓海を見ると、申し訳なさそうに口を開いた。

「半分くらい俺のせいだからさ」
「だから何で?」
「俺、去年同じ目にあったんだ」
「え?」
「一年でレギュラー取ってさ。諒と違って補欠じゃなくていきなり7番もらっちゃったもんだから余計にね」

補欠で悪かったな、と内心毒づきながら黙って耳を傾ける。

「生意気だとかなんとか言われて、言い返したら押し倒されてさ」
「は?」
「力づくで辱めて逆らえないようにしようとしたのか弱みを握りたかったのか、よってたかって押さえつけて服脱がそうとするからさ。俺の親父、加賀グループの総帥なんだけど? 俺に手出したら、お前らの親父ごときの首、かんたんに吹き飛ばせるぜ? って冷静に言ってやったら蜘蛛の子を散らすようにサーッといなくなったんだけどな。まさかお前まで目をつけられるとは思わなかった。諒のクラスの奴に諒が2年に絡まれてた、って聞いて様子見てたんだ。俺は親父の七光りが使えたけど、諒には無理だし、それに...」
「それに?」
「俺の大事な諒をあんな奴らに触られたくなかったからね」
「…は? そんな理由?」
「俺にとっては、大事な理由。それに、諒に怖い思いさせたくなかったから」
「ありがとう」
「いや、別に礼言われることじゃないし」

ぐぅぅ

なんでこんなタイミングで鳴るんだ、俺の腹の虫。

「諒、俺が作ったお弁当は?」
「ココ。呼び出されたから食べ損なった」
「あいつら、絶対に許せん」
「まあまあ」
「諒、保健室行こっか」
「え、なんで保健室?」
「あかりちゃん、話のわかる人だからさ。お腹痛いんで保健室行きます、って言って、保健室で弁当食おう!」
「えーいいのかなあ」
「いいのいいの!さ、ほらほら、いこいこ!!」
「あーわかったから押すなって…!」

俺は途中で会ったクラスメイトに保健室へ行く旨を伝え、拓海と共に保健室へと向かった。
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