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第4部 生きる世界に微笑んで 立ち止まったら空を見上げて編

9 大河はめんどくさいなって思ったでも行く事になった

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「お待ちしてました、おや傭兵王とそちらは…ライングループに新たに招待されていた…」
「綴といいます、よろしくお願いします」
「綴さんですね、私はユナイドと申します」
《クイナト》の商業ギルドで詠斗達と合流した大河たちが出迎えられる、ユナイドに2階の応接間に案内されると計7人は流石に狭く感じた。
「で、知りたくないが話しとは?」
「お茶でも飲みながら、話しましょう」
「あー、大河ぁーこれはめんどくさいぞ」
「分かる」
「そんな事おっしゃらず、まあ、面倒臭い話しではあります」
「ユナイドさんにはお世話になってますから、協力しますよ!」
「本当ですか?ありがとうございます」
ジラが面倒臭い気配を察知、詠斗の思いやりに阻まれ取り敢えずここは見物に回る事にした、大河は味方を1人失い、チグリスは茶と焼き菓子を貪り、率、綴は共に詠斗と同意見だろう、これを回避する案が大河には浮かばなかった。
「本題は、夜市で貴方達を見掛けた兵士や王城の遣いの者達が貴方のその服装などを王に報告したそうです、興味を持った物好き王…コホン…陛下がお会いしたいと…」
「…なるほど角度を変えて接触しようとしているのか…」
「賄賂はこの勿論国にも渡しましたよ?陛下も鉱物ダンジョン、肉ダンジョン最終階層攻略者が貴方達だと知った上でその件には一切触れないとの事です。向こうにも優秀な情報屋がいるのでね、相手は国ですし困ったものです」
一切困った顔をせず涼し気な顔で茶を飲んでいる、詠斗達は悩んでいるようだが大河の答えは決まっている。
「断る、面倒だ」
「そうですね、俺も王様とってちょっと…」
「僕も…マナーとか分かりませんし」
「僕は来たばかりでこの国も初めてですし、急に言われても…」
「そうですか…この国の王は元々王位に就くような立場ではなく継承権も無かったので、マナーとかは気にしませんよ?本人も変わった方ですし」
「確かにな、戦場や討伐でよく合う王子だったなかなりの美形だぞー目立っていたからな顔。この国金あんまりないし、それなのに前国王が好色で側室大勢囲って、子供も大勢作って余計に国は火の車になったもんなー」
「その子供達は?」
「みんな死んだよ、この国の王族は短命だから…呪われているんだよ。そのせいもあって子供を沢山残す習慣がる…。200年前からこの国は1人の王政が10年持った時代はない」
「悪循環ですね」
ジラの言葉にユナイドも大きく頷く、チグリス以外の面々は唖然としている。
「呪い…?」
「…あるんですねー」
「…千眼が詳しい…」
黙って焼き菓子を貪るチグリスが食べばがら口を挟む、ユナイドに茶のお代わりを注いで貰う。
「よし、話しも済んだ事だし倉庫に行って小麦粉買って帰るぞ」
『はい』
「話しはまだついてないですー誤魔化さないでくださいね」
「パス」
「パスしまーす」
「僕も止めておきます」
「僕は初めて来たので…では失礼しまーす」
「そうですか…残念です。城には珍しい食材や調理器具、調味料等あるんですがねー。『ズィーガー商会』でも入手困難な物など…今回来て頂けるなら特別に見せて…また分けて頂けるように許可を貰っているんですが…。あ、それと城の中の図書館も今回入れるように許可も頂いています。上手く陛下と懇意になればいつでも入れるように取り図って貰えますよー、これは滅多に許可が降りないのですが…禁書なども特別に閲覧可能との事なんですが…。後は魔法具なども見せて頂けると…夜市でご覧になったと思いますが…《ロメンスギル国》は魔法具の製造に力を入れています。完成したばかりの魔法具を見せてくれると言われているんですが…。後は、この国はお金はあまりないですが優秀な人材を多く輩出しているのでも有名です。陛下と懇意になればそういった人物達との繋がりが出来ると思うんですが……」
ピクッ、時永 詠斗…最近料理がマンネリ気味、新しい調味料と調理法模索中、この世界で美味しく食べれるものを知りたい。
ピクッ、峯尾 大河…本好き、禁書という言葉に惹かれる。
ピクッ、成澤 率…夜市にはまり始めた、魔法具密かに興味あり。
ピクッ、更科 綴…計画中の案有り、コネはあった方が良い。
チグリス…行くなら行く、ジラ…あーあまんまと相手に丸め込めれちゃったなと思っている、行くなら行く。
「あ、えーと、1回城の厨房って見てみたかったんですよー。見せてくれるなら行こうかなー」
「図書館か…そうだな一国の城の図書館か…興味はあるな」
「実は…このごろ魔法具に興味を持っていて…ネイルに活かせるアイテムとか作れたらなーって思っていたんですよ」
「僕も、気になっている事があって…ちょうど良かった…行きますか?」
『はい…』
ユナイドの勝ち、大河の面倒な気持ちは変わらないが誘惑には勝てないので行く事が決定した。
「でも、何時行く?」
「次の店の休みは…」
「こういうのは長引かせると良くないですし…」
「明日休みだから明日にします?」
「明日で構いませんよ、陛下に伝えておきます。何時にいらしても大丈夫です、私も行きますから1度こちらにいらして下さい」 
「明日朝にするか、服を見たいのか?」
「はい、特に大河さんの装いが気になっているようで…、身長や体型が大河さん位なんですよ」
「確かに大河さんは人ゴミでも目に入るし、来ている服も素敵です。王様が気になる気持ちも分かります!大河さんの服って上下靴も全部『Don't cry』ですよね?」
「ブランドあんま知らない俺でもそのブランド知ってるー」
「僕もブランド品詳しくないんですがすごくいい生地ですよね、たしかそこのブランドの社長が若手で、よく雑誌のインタビューとかに取り上げられてますよね」
「ああ、その社長と知り合いで、たまに服が送られてくるから着ているだけだ。送られてくるパンツは裾直さなくて済むから助かっている」
「わーすごいですね、しかも裾直しって…丈短くする方じゃなくて長くする方ですよねー」
「ああ、既製品は大体丈が短いからな。丈に合わせるとダボつくし」
「…スタイルが日本人離れしている、やっぱりカッコいいなぁ…」
「そうですねー」
「大河ぁー俺もその服着たいー」
「後でな」
「どうもー」
「詠斗達の服良い…」
「分かるわー」
詠斗、率、綴が羨望の眼差しで見つめ、ジラが大河に服に興味を持ち、チグリスは体型と身長が違えども着心地の良さは、サイズ直しして貰った服で確かめている。
「私も気になる所です、《トイタナ》でも話題になっているようですよ。皆さんの衣服…」
「そこはゴーテンさん達と進めている所だな、この国の王も着てみたいなら構わない」
「ありがとうございます、この国の王室の職人達の腕も良いですから。皆さんの服を見たら職人魂に火が付く事でしょうね」
「そうだ、ユナイドさんうちの店の商品をお土産に持って来たんですよ、ポップコーンとパティです。多めに持って来たので皆さんで食べて下さい」
「これはこれは、お店の開店おめでとうございます。職員と頂きますね。では、こちらの話しは以上です。倉庫に向かいますか?」
詠斗の収納袋(偽装)から葉に包んだパティ3種類10個ずつとポップコーンを2種類4皿分出すと、ユナイドが嬉しそうに自分の収納袋に仕舞った。
倉庫に向かい、小麦粉、砂糖、油を大量に購入し明日の件を確認し、畑へ戻った。
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