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第09部 魔王たちの産声 歪

第4幕 第8蒐 蒐集家と薬草ダンジョン

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「おはようございます、こんな早くにありがとうございます。素敵な内装ですね」
「おはようございます!もう少しで終わりますから」
「おはようございます」
風早に起こされ身支度を整え店に向かえば、アシューとサウが内装をほぼ終わらせようとしていた。
「おはよう、あんた早いな」
「おはようございます、蒐集家さん」
「おはようございます崇幸さん、綴さん。他の方達は他の仕事ですか?」
「ああ、大河君と千歳君は朝弱いからな。他の皆は各自仕事しているよ」
「そうですか、ああ、ゴーレムを修復したのでお返しします。状態のチェックをお願いします」
収納からゴーレム2体を出して崇幸の腕に渡す、1体を綴に渡してゴーレムの状態を見れば丁寧に直していた。
「早いな、綺麗だな。少し待ってくれ…」 
「綺麗に直したんですね、器用ですね」
「……ありがとうございます、喜んで頂ければ…」
「ほら、動くようにしたから」
「…?これは」
「プレゼントだよ、お近づきの印にな」
「あのですね、ゴーレムは価値が…」
「棄てられたゴーレム達を直したんだ、価値とかはどうでもいいんだ。礼ならまた壊れたゴーレムを渡すから直してくれれば嬉しい、沢山あるんだ」
千眼の魔石を入れ傀儡魔法を発動し蒐集家の腕に返し、ゴーレム達の頭を撫でてやる。
「分かりました」
「そうか!なら10体渡すから!」
「……はい」
「アシュー君、サウ君。朝ご飯を食べましょう、蒐集家さんも、一緒に。それと昨日と眼の色が違うんですね、今日の眼の色も綺麗ですね」
「着る服によって変えているので」
「そうなんですね、よく似合っていますね」
「どうも」
ゴーレム達を地面に降ろして、崇幸と綴が朝食の準備をしている間に収納からアシューとサウに内装の礼を渡す。
「内装を綺麗にしてくれたお礼です、気に入って頂けるか分かりませんが。アシューさんには鉱物顔料…絵の具です。この絵の具は魔力で色の濃さを変えられます、完成した絵を飾り魔力を注げば色の濃さが変わるので飽きの無い絵が出来ると思います、24色です。無くなったら私がこの店にいる限りは足しますので言って下さい、ゴーレム達の身体を調べて彼らにもおりがみの傀儡にも使えるよう調整しています。崇幸さんもどうぞ、ゴーレムを頂いたお礼です。サウさんには絵の具12色と鉱物を混ぜた粘土10㎏です。固さも魔力で変えられます、絵の具も馴染むので色の付いたゴーレムや人形も造れます。足りなければ何時でも言って下さい」
「あ、あのそんなつもりでやった訳ではないので…」
「こ、こんなすごい物を」
「すごいのは貴方達の腕なのでは?1日2日で此処まで見事な絵を店に描けるとはすごい技量だと思います、本当はお金を払って済めば簡単な話しですが、値段は付けられないので此方を」
「2人とも貰っておけ、ありがとうな。こっちにも絵が上手いやつがいるからそいつに渡す」
「2人とも良かったですね、素敵な物を頂いて」
『はい!』
アシューとサウナに蒐集家が渡したのは、木箱に入れられたコルクの詮をしたビンに入れたれた液体のキラキラ光る物と白いがキラキラと輝く粘土だった。
崇幸と綴に言われ嬉しそうに受け取り、収納ショルダーバッグにしまい、朝食を食べ始めた。

「大河君、千歳君。早いな!」
「本当ですね、新記録じゃないですか?お酒を飲んだ後の朝なのに」
「……おはよう、店の様子を見に来た。すごいな2人ともお疲れだな」
「…おはよう…カウン酒が美味しくて、蒐集家さんも飲みましたか?」
「今日が早いものでジュースにしておきました、珍しい物を頂きしたね。ありがとうございます」
遠回しに酒はいらないと、価値が図り知れないものを寄越すなと言ってみたが…。
「2人とも蒐集家さんを見習ってはどうです?いつ寝たかも覚えていないんですから」
『はい…』
「ほら、綴君朝飯覚めるぞ。大河君と千歳君は眠気覚ましにコーヒーを飲むか?ミルク入り?ブラック」
「ブラック」
「僕はミルクで」
「……」
「あんたも飲むか?」
「いえ…私は結構です。お茶を頂いたので」
「そっか」
卵サンドとハムサンドにサラダと果物を食べ、蒐集家が直したゴーレムと昨日酒を飲んだゴーレム達もいつの間にか混じり朝食が終わった。
「で、何の店にするつもりだ?」
「薬屋と雑貨屋ですね、薬屋の許可が降りなければ雑貨屋か薬草屋で構わないですね」
「何を売るかリストにして一致していれば構わないよ、ラジカには伝えておこうか」
「どうも、なら手元の材料では足りないので薬草ダンジョンと毒ダンジョンと採集に行きますから。戻ったら店を始めます」
「千歳さん」
「そうだね、僕に任せてくれるかな?」
「お、噂のあれをするのか?ジラ達を呼ぶか、舵も見たがってたな」
「その前に神々に許可を取るよ」
蒐集家の店の内容に大河が千歳に頼み崇幸がはしゃぐ、各々他所に連絡を取っているのを尻目に只ダンジョンに入りたかっただけなのにと呟いた…。

「このメンバーですか?」
崇幸と千歳の呼び掛けで集まったのは、ジラ、ラジカ、舵、グローリー、イザラだった。
それと綴と崇幸は《ホウラク》に戻り、大河と千歳と蒐集家が残った。
「《黄昏の瞳》の面子だな」
「ダンジョン入らないんでしょー」
「見たいのはあれだよな」
「神々からも了承きたから」
「あ、蒐集家ちゃん。晴海ちゃんからこれ預かったからどうぞ」
「………これは?」
「この石の中に転移札が入っているから、魔力を注げば大陸越えなければ行けるからね。無くなったら言ってくれたら足してくれるからね」
「………どうも…」
「良かったですね、すごい物を頂けて」
「わーほんとだーすごーい」
ラジカとジラが舵から受け取った腕輪を眺めている蒐集家に空かさず声を掛ける、もう面倒だと腕に嵌めた。
「先に薬草ダンジョンで構わないかな?」
「ええ、毒ダンジョンは東の《エンギー》という地域の森の中にあります。毒ダンジョンの前に森の中で採集をしたいのですが構いませんか?」
「もちろん、転移はグローリー君に任せていいかな?」
「うん…行こ」
ゴーレム達もついて行く事になる、グローリーが白と黒の渦巻く空間を生み出し薬草ダンジョンに向かった。

「ここが薬草ダンジョンだね」
グローリーの転移で薬草ダンジョンの前に転移すれば、コロリと落ちたヒヨコがゴーレムの頭の上によじ登った。
「よーし動画録るよ!」
「おー」
「千歳、どうぞ」
「はいはい、収納家さん収納開いておいてね」
舵とラジカ、ジラでスマホの動画を回す、千歳が薬草ダンジョンの入り口に足を踏み込もうとした瞬間拒絶され入り口に『破壊魔法所持魔王侵入禁止』と表情されドロップ品が吐き出されていき蒐集家の収納に吸い込まれていった。
「いやーもー最高!はは!」
「すごーい千歳ちゃん!わあー後でベルンちゃん達に見せよう!」
「気持ち良いですね」
「ダンジョンに感情があるのか?」
「そうだね」
スマホを持ちながら大笑いするジラと舵、吐き出す勢いを楽しむラジカと唖然とするイザラと皆が喜んでいるのを見て嬉しいグローリーに無表情にひたすらドロップ品を吸い込む蒐集家だった。
「終わったな」
「次は採集だね、グローリー君お願いするね」
「行くぞ」
「うん…」
再び白と黒の渦巻く空間を生み出し、《エンギー》の森へと向かった…。
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