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9.愚かな選択(後編)
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「久々の外遊で疲れた。ゆえに出迎えの式典も、晩餐も不要だ」
『そういうこと』にしておかないと、何一つ用意できていない息子の無能さが露呈してしまうからな。
兄王とて仮にも一国の王だ。
自分がいない間、王宮がどんな状態になっているのか、間者からの報告を受けていて当たり前だ。
特に今回の外遊は、自分の息子に国を継がせられるだけの度量があるかどうかの、ある意味試験的なものだったのだが、見事に落第点だ。
権力者は己の権力の安泰を図る。
いくら自分の息子が落第点だからといって、腹違いで、息子よりも年の近い俺を立太子することはないだろう。
まずは説教だろう。
国内でも有力な家二つを、わざわざ結びつけてしまったことについて。
それから、側近の選び方。
それから……さすがに数えきれないな。
まぁ、勝手にやってくれ。
俺は俺で、これから些か忙しくなる。
王の後ろからついてきたサリアの父である公爵と、兄である公子が鬼人の形相でエディアールを見ている。
サリアが無事でなければ、この場で王族ー--もちろんカス甥ー--殺しがあってもおかしくなかったな。
もしそうだったら、その前に俺がやっていだろうが。
「陛下がお疲れとおっしゃるのでしたら、ゆっくりお休みいただけるよう、我らは下がりましょう」
俺は立ち上がり、剣を収めた。
安心したのだろう、腰を抜かしたままのカスを見ることなくサリアに向かい、その体を抱き上げた。
ま、いわゆる『お姫様抱っこ』といううやつだ。
これで俺は二つのことを王に示唆する。
ひとつ目は、両手をふさいだので、これ以上ここで剣を振るう気がないこと。
ふたつ目は、サリアが俺の伴侶であること。
「甚だ失礼ではございますが、『我が伴侶』も疲れておりますゆえ、このまま御前を失礼いたします。陛下」
兄王も鷹揚に手を振って退出を許す。
というか、この場ではこれ以上穏便にすむ方法もない。
目くばせすると、公爵と公子も俺の後ろに続く。
兄王は何かいいたげだったが、ため息をついたあきらめた。
王宮を、サリアを抱えて歩く。
何事かと視線を寄こす者たちもいるが、公爵たちの鬼気迫る気配に、話しかけてくる猛者はいなかった。
明日から、宮廷雀たちはさぞ騒がしくなるだろう。
「テオドール様……」
抱き上げられているサリアが、俺の耳元にささやく。
吐息が耳にかかり、大変素晴らしい感覚だ。
そのままサリアの方を向き、その唇を自分のもので塞いでしまいたいが、周囲の状況を鑑みて何とか思い留まる。
だから無意味な咳払いなど必要ないぞ、我が執事よ。
「このまま退室して、よろしかかったのですか? 陛下にも事情をご説明し、あの場でご裁可をいただいた方が……」
さすが宮廷を仕切っていた我が伴侶。
確かに、今後もこの宮廷での立場を考えるなら、相手がぐぅの音も出ない状況で兄王の前で白黒を決してしまった方がいいだろう。
時間がたてば、王子という身分、体面を守るためにいろいろ工作をしてくるだろう。普通なら。
地位を使えばかなりの横車も許される身分だ。
俺も自分の身を守るために、それなりの工作をすべきなのだろうが……。
今回は必要ない。
こんなことに煩わされているより、やるべきことがあるのだ。
俺とサリアの未来のために。
「実はな、サリア。公爵らと話し合っていた件があって、お前の力を借りたい」
「父と、でございますか? テオドール様、いつの間に……」
きょとんとしたサリアの顔も愛らしく、思わず頬を寄せそうになり……執事の空咳で場を思い出した。
あぁ、煩わしいな、さっさと我が館に戻ろう。
「お前に内緒にしていたのは申し訳ない。実は公爵とは文通友達でね」
公爵よ、そんな心の底から『不本意です』という顔をしなくてもいいだろう。
そしてなぜ頷いているのだ、我が執事と公子よ。
「執事殿。王弟殿下はいつもこのような調子で」
「申し訳ございいません、公子様。我が主はサリア様に対しまして、その、いささか我慢のきかない体質、と申しましょうか、意味のない格好つけともうしましょうか、いい年してないにやっているんだ、と申しましょうか」
いや、まだ王宮内だというのに、なぜ主をこき下ろすのだ、我が執事よ。
「そうか……我が娘の夫として、あのバカよりはマシだと思っていたのだが……」
公爵よ、未来の義父よ。丸聞こえだぞ。
だがまぁ、これからのことを考えれば、良好な関係を保っておくことが大事だ。
ゆえに聞き流しておいてやる。
己の家族の暴言にやや青ざめているサリアだけが、この場での良識だ。
「あの、テオドール様、父と兄の不敬をお詫びいたします」
「いや、義父と義兄となり、お互い家族となるのだ。逆に親しみを感じているよ」
後ろから奥歯をかみしめる音が二人分聞こえてきたが、ある意味愉快な音楽だ。
「ところで公爵。用意は万端整っているのだろうな?」
この時ばかりは、サリアの父としてではなく、共謀者として見る。
「当方は、万事滞りなく。殿下こそ疎漏などございませんかな?」
首だけ振り向いて、鼻で笑ってやる。
「誰にものをいっている? 婿がねとして、悪くない手土産だろう?」
もうほとんど忘れかけている前世の記憶とやらだと、『悪代官と悪徳商人』といった笑みを交わしあう。
ま、それより身分が高い我らだが。
サリアが不思議そうに見上げてくる。
ここでおじけづかないのが、我が伴侶の素晴らしいところだ。
胆力があり、頭もいい。
状況把握に優れ、王宮での立ち居振る舞いもすべて把握している。
俺が彼女を愛するのは必然だが、そんな彼女が、俺を愛していてくれる。
一体俺は前世でどんな功徳を積んだのか。
まぁ、つつしんで受け取っておこう。
「そうだ、ぜひともお前に手伝ってほしいことがある」
「私でできることでしたら、なんなりと」
「いいのか? どんなことかと聞く前に受けてしまって」
サリアは小動物のような愛らしさでクスリと笑った。
「テオドール様は、できるとお思いになったことしか頼まれない方だと思いますわ」
「そうなのか?」
「ええ。そうです」
「……いえ、結構無茶なこともおっしゃいますがな」
執事の声は、小さすぎて聞こえなかった。
「それに、父とも兄ともお話しが済んでいるのでしょう? 私も貴族の娘。役割があるのでしたら果たして見せますわ」
この愛しいの伴侶に対する賞賛の言葉の語彙の少なさに、俺は恥じ入るべきではないだろうか。
「そうだな。では、願いするとしよう。
サリア。王妃になってくれないか?」
再びこの不快な場所に足を踏み入れることも不快(言葉使いがおかしいのは、不快の表れだ)だが、やむを得ずここにいる。
エディアールの王子宮だ。
主の馬鹿さ加減に、勝手に崩れてでもいないかと思っていたがさすがに馬鹿な妄想だ。
しかし、不快感はそのぐらいということだ。
そのクソッタレー--とサリアの前では決して使うことのない、著しく品性と知性に欠けた言葉ー---な場所に集っているのは、兄王と、もうこいつのくだらなさを表す言葉を並べるのもくだらないので名前で呼ぶしかないエディアール。
こちらは俺とサリアの父の公爵、兄の公子。
当事者であるが、サリアは連れてきていない。
護衛やお付きは部屋の外だ。
それはそうだろう。
これから使えるべき主人が、これほど情けないと知らしめるのは、いささか同情を禁じ得ない。
男五人が憮然と座っていたも仕方がないので、俺が口火を切る。
「まずは確認させていただきたいのですが、この場へのご招待を我らが受けたのですから、無事に返していただけるのでしょうね」
本来なら王宮の部屋で行ってもこちらは一向にかまわないのだが、あえて私的な部屋である王子宮の部屋にわざわざ来ているのだ。
こちらからすれば不利ともいえる相手の懐に来たのだから、それぐらいは確約しもらおう。
「わかった。エルク国王の名と名誉をもってそなたらの無事を保証する」
ここで『この部屋を出るまで』や『この宮を出るまで』と言及しないのは兄の人の好さなのか、傲慢な油断なのか。
どちらにしろ、有効に使わせてもらうが。
「この際です、はっきりと申し上げましょう。
俺はね、兄上。貴方のことが嫌いではありませんでしたよ。
あなたを生んだ女が俺の母にした仕打ちを知っていてもね」
正妃が側妃にすることなんて、お約束だったが、だからといって笑って許せるものは少なかった。
だが、前世代の確執は、正直どうでもよかった。
悪いのは妃たちを満足させられなかった先王であり、その子である俺たちには関わりないことだ。
「だから、いいように使われていても、特に文句はなかった。
表の権力はあなたに譲って、実務を押しつけられてもかまわなかった。
もっとも、俺にそれをこなせる能力があったからこそでしょうが」
久しぶりに兄を正面から見た。
眉間にしわを寄せている顔は、いつの間にか先王に似てきた気がする。
エディアールが悔し気に睨みつけてくるが、本当にどうでもいい。
「正直、後継を作ることも考えていませんでした。
このまま一代限りの大公という立場で、それなりに国を守って、王権を守っていけばいいと考えてましたよ」
ほら、このあたりで不穏な雰囲気に気づくべきでしょう。
公爵も公子も、俺の話の結末を知っているのに、それでも緊張が伝わってくる。
表面的には無表情を保っているのが、さすがサリアの家族といっておこう。
「だがね、俺にも譲れないものができてしまいました」
サリアだ。
「それをないがしろにされ、あまつさえ傷つけられるというのでは、今まで通りにはいかない。
対抗もやむを得ないでしょう」
兄王は沈痛な面持ちでいった。
「それは、王家に生まれた者として、王家への忠誠に勝るのか」
「ええ。元から俺に、王家への忠誠などないのはご存じでしょう?
俺がおとなしく暮らしていたのは、それ以外、特にやることもなかったからだ。
先王からもいわれませんでしたか? あいつには気をつけろ、と」
いわれていたはずだ。
俺は先王には懐いて媚びを売ることもなかったし、下を向いていても威を恐れもしなかった。
掴めなくて、さぞ気味の悪子どもだっただろう。
「と、いうことで」
俺は場にそぐわはい、明るい声でいった。
「いただいた地位をお返しいたします。『大公』としてこの王宮に来ることは二度とありません」
聞いた途端、エディアールのガキはなにやら喜色を浮かべたが、こいつの頭は、大丈夫なのだろうか?
「…………どういうことだ?」
さすがに兄も危機感を感じてきたようだ。
だが、すでに遅い。
「言葉のお通りです、兄上。
俺はこの国、エルクから出るといってるのです」
ますます喜んでいるエディアール。
ま、勝手に喜んでおけ。
「俺を慕ってくれている者たちもおりますので、無一文というわけにはまいりません。
そうですね……我が母が婚礼の折持参したものは、返していただきましょう」
「なっっ……」
さすがに青ざめて立ち上がる兄。
その横で、エディアールはのんきに薄笑いを浮かべている。
「よろしいではないですか、父上。
たかが辺境の領の娘でしょう。持参してきたものなどたかが知れて……」
「馬鹿者がっっ」
おお、珍しく兄がエディアールを叱った。
最後に珍しいものを見たものだ。
「テオドール。お前とは仲のいい兄弟とはいえずとも、憎みあってもこなかった。
我が母がお前の母にした仕打ちも許すといった。
ならば、なぜそのような暴挙に出るのだ。
今の待遇が不満ならば、改善しよう。
何か要望があれば、」
「では、我が伴侶を傷つけようとした、この目障りなあなたの息子を、この世から消していただけますか?」
「ぐっ……」
俺の言葉に即答しない。
父親としてなら即座に否定するべきでしょう。
王ならば、我が子といえど、国のために差し出すべきだ。
そのどちらもとれず、とれないことを押し通す力もないこと。
それが貴方の限界なのですよ、兄上。
エディアールが口をはさんできた。
「先の側妃など、たかが地方の一領主の娘。
大公の位は返上するといっているのですから、側妃が持参した村の一つ、返してやればよろしいでしょう」
大方、祖母であるかつての正妃から聞いた話を鵜呑みにしていたんだろう。
本当に、後継者育成は他に類を見ないほど大失敗ですよ、兄上。
「と、貴方の後継者もいっている」
俺は席を立った。
公爵と公子も後に続く。
「では、エルク国王並びにエディアール王子。
これにて失礼いたしましょう。
わが国の建国の儀と我が王妃となるサリアとの婚姻の儀にご招待いたします。
ご臨席を賜れば栄誉と思いますよ」
俺は親切な男なので、いぶかし気に見てくるエディアールに、赤子にでもわかるように教えてやる。
「エディアール『殿下』はご存じかなったようだが、我が母は南方の『公国』の公女だった。
ちょうど俺が治めている『大公領』、エルク国の約五分の一の領地です。
そして海洋貿易の港はすべて我が領土の中」
つまり、俺が母親から継承する『正当な』領地で独立するので、エルク国は海洋貿易への道を失う、ということだ。
「卑怯だろうっ」
エディアールが叫ぶ。
とりあえず相手を非難しておけば、なんとかなるとでも思っているのだろう。
「ほぅ。何が『卑怯』か教えていただけるようですな。なにしろ乙女をその意に反してさらい、手籠めにしようとした方からなら、なにが『卑怯』か存分に教えていただけそうだ」
これにいい返すようなら、何度でも蹴り倒してやろう。
「我が母が持参したものを、その息子である俺が引きつぐ。通らない道理がどこにあります?
エディアール王子はご存じないようだが、先王と我が母の婚姻の折、誓詞が交わされています。
本来なら身分を鑑みて、先に娶っていた国内の貴族である妃の位を下げ、我が母を正妃とするのが筋ですが、それができかねる、ということだったので、婚姻による領土の合併は仮のものであること。
その正式は可否は子である俺に委ねられるということ」
エディアールはまったく知らなかったようだ。
父である国王の顔と俺とに目線を慌ただしく動かしている。
「それと、ここに控えておりますマルト公爵も、我が国への移籍を申し出ているため、同じく公爵として迎え入れます。
まぁ、娘の献身を仇で返すような男が支配するであろう国に、未練などないでしょう」
こいつからすれば、生来の権利だと思っていたものが、実は違っていたというわけだ。
「では、御前を失礼いたします、兄上。
幾久しくご健勝をお祈りいたしましょう。
以降は、隣国の王として、互いに栄えて参りましょう」
俺は最後の『王への礼』をすると、公爵と公子を伴って部屋を出た。
さすがに自分の名と名誉に誓ったことを違えて、俺たちを害することはなく、無事に王宮の外の出た。
長居は無用だ。
サリアを含め、使用人たちはすでに元『大公領』に移してある。公爵も同様だ。
移せる資産はすでに移してあるし、残りはまぁ、くれてやっても惜しくはない。
公爵が口を開いた。
「うまくいく、という方に我が身と一族すべてを賭けましたが、正直、ここまでとは思いませんでしたな」
「そうか? どおりで緊張していると思ったが。
俺は家族に危ない橋を渡らせるほど、甲斐性のない男ではないぞ、『義父上』」
いってやると、公爵は何ともいえない表情をした。
「確かに、あのボンクラにくれてやるには、サリアは惜しすぎましたからな。
王妃になって後継者の一人や二人産んだ後は、愛人を作ろうが贅を楽しもうが、好きに生きてほしいと思っておりましたが」
薄らいできた前世の感覚からすれば、あまりいい父親ではないだろうが、今世の貴族とはこういうものだ。
「それは申し訳ない。
俺は妃と末永く、仲睦まじく過ごすつもりなので、贅沢はさせてやれるが、愛人は容認できないな」
愛人など作られたら、泣いてしまいそうだ。
「それはご夫婦でお決めになられれば結構。仲睦まじい国王夫妻は、国民の受けがよいでしょうから」
公爵としては、俺サリアの間に生まれる後継者の外祖父として権力を持てればいいのだろう。
治める領土は減ったが、財力は元『大公領』の方が上だ。
俺に不要な親族がいない分、実権を握れると考えているようだ。
その考えを今、否定するつもりはない。
そのうちなんとかしていけばいい問題のひとつでしかない。
俺の心は、新たな俺の領地、新たな王宮で待つサリアの元に飛んでいた。
ー--それから。
怒涛のように日々が進んでいった。
準備はしていたが建国に際して、各国への通達、披露目の宴。
合わせて俺をサリアの結婚式も挙げてしまおうというのだから、決めなくてはならないこと、手順を踏まなくてはならないこと、細部にわたる段取りの調整など、裏で国政を見ているときの方がよほど楽だっ、とさすがの俺も両手を挙げてしまいたくなったことがあった。
しかし、もう人間の表現では表しきれないのではないと思うほど素晴らしい我が伴侶のサリアのお陰で、乗り切ることができた。
もともと俺の部下だったものをそのまま連れてきたので、目を覆うほどの無能はいないが、細部の細部の細部にまで確認を求められたりすると、さすがに冷静さを欠きそうになった。
そんなとき、サリアの手がそっと俺に重ねられる。
それだけですべてを許せた。
お互い忙しい時間を縫って、王宮となった大公館を二人で抜け出し、国民の生活を見るため、と屋台で食べた串焼きは美味かったし、流行りというクリームのたくさん入った甘い菓子を食べたサリアは幸せそうだった。
その頬についたクリームを舐め取ったら、大層美味かった。
ほぼすべてが滞りなく進み、今、俺の横には初々しい新妻となった王妃が立っている。
バルコニーから国民の歓呼の声に、美しくも凛々しい笑顔で答えている。
「テオドール様。みなに応えてあげなくては」
「あぁ、そうだな。つい妃に見とれてしまっていた」
「まぁ」
サリアは咎めるふりをして、俺に体を寄せてきた。
これだけは、どんなに多忙な中でも一切の妥協を許さなかった王妃として初めての衣装だ。
ありったけの宝石と貴金属で飾ろうとしたら、各方面から『悪趣味』といわれてしまった。
サリアだけは『重すぎて……』とまっとうな理由をいってくれたので、デザインはサリアとそのお付きの女官たちに任せることにした。
もともと男が口を出してもろくなことはない。
ただし、その構造と脱がせ方については、しっかりと把握している。
結果として素晴らしい出来になった花嫁衣装は、サリアの素晴らしい肢体を、さらに素晴らしく飾っている。
自分で用意をしておいても、衆目にさらすのに躊躇してしまったほどだ。
あぁ。我が伴侶のなんと素晴らしいことだろう。
---今夜が、楽しみだ。
〈終〉
ー-------------------
ふひゃー。どうにか終わらせていただきましたー。
長々とお付き合い、ありがとうございました!
と、イチャラブ成分補給のため、同時公開させていただきました!
お楽しみいただければ幸いです!
『そういうこと』にしておかないと、何一つ用意できていない息子の無能さが露呈してしまうからな。
兄王とて仮にも一国の王だ。
自分がいない間、王宮がどんな状態になっているのか、間者からの報告を受けていて当たり前だ。
特に今回の外遊は、自分の息子に国を継がせられるだけの度量があるかどうかの、ある意味試験的なものだったのだが、見事に落第点だ。
権力者は己の権力の安泰を図る。
いくら自分の息子が落第点だからといって、腹違いで、息子よりも年の近い俺を立太子することはないだろう。
まずは説教だろう。
国内でも有力な家二つを、わざわざ結びつけてしまったことについて。
それから、側近の選び方。
それから……さすがに数えきれないな。
まぁ、勝手にやってくれ。
俺は俺で、これから些か忙しくなる。
王の後ろからついてきたサリアの父である公爵と、兄である公子が鬼人の形相でエディアールを見ている。
サリアが無事でなければ、この場で王族ー--もちろんカス甥ー--殺しがあってもおかしくなかったな。
もしそうだったら、その前に俺がやっていだろうが。
「陛下がお疲れとおっしゃるのでしたら、ゆっくりお休みいただけるよう、我らは下がりましょう」
俺は立ち上がり、剣を収めた。
安心したのだろう、腰を抜かしたままのカスを見ることなくサリアに向かい、その体を抱き上げた。
ま、いわゆる『お姫様抱っこ』といううやつだ。
これで俺は二つのことを王に示唆する。
ひとつ目は、両手をふさいだので、これ以上ここで剣を振るう気がないこと。
ふたつ目は、サリアが俺の伴侶であること。
「甚だ失礼ではございますが、『我が伴侶』も疲れておりますゆえ、このまま御前を失礼いたします。陛下」
兄王も鷹揚に手を振って退出を許す。
というか、この場ではこれ以上穏便にすむ方法もない。
目くばせすると、公爵と公子も俺の後ろに続く。
兄王は何かいいたげだったが、ため息をついたあきらめた。
王宮を、サリアを抱えて歩く。
何事かと視線を寄こす者たちもいるが、公爵たちの鬼気迫る気配に、話しかけてくる猛者はいなかった。
明日から、宮廷雀たちはさぞ騒がしくなるだろう。
「テオドール様……」
抱き上げられているサリアが、俺の耳元にささやく。
吐息が耳にかかり、大変素晴らしい感覚だ。
そのままサリアの方を向き、その唇を自分のもので塞いでしまいたいが、周囲の状況を鑑みて何とか思い留まる。
だから無意味な咳払いなど必要ないぞ、我が執事よ。
「このまま退室して、よろしかかったのですか? 陛下にも事情をご説明し、あの場でご裁可をいただいた方が……」
さすが宮廷を仕切っていた我が伴侶。
確かに、今後もこの宮廷での立場を考えるなら、相手がぐぅの音も出ない状況で兄王の前で白黒を決してしまった方がいいだろう。
時間がたてば、王子という身分、体面を守るためにいろいろ工作をしてくるだろう。普通なら。
地位を使えばかなりの横車も許される身分だ。
俺も自分の身を守るために、それなりの工作をすべきなのだろうが……。
今回は必要ない。
こんなことに煩わされているより、やるべきことがあるのだ。
俺とサリアの未来のために。
「実はな、サリア。公爵らと話し合っていた件があって、お前の力を借りたい」
「父と、でございますか? テオドール様、いつの間に……」
きょとんとしたサリアの顔も愛らしく、思わず頬を寄せそうになり……執事の空咳で場を思い出した。
あぁ、煩わしいな、さっさと我が館に戻ろう。
「お前に内緒にしていたのは申し訳ない。実は公爵とは文通友達でね」
公爵よ、そんな心の底から『不本意です』という顔をしなくてもいいだろう。
そしてなぜ頷いているのだ、我が執事と公子よ。
「執事殿。王弟殿下はいつもこのような調子で」
「申し訳ございいません、公子様。我が主はサリア様に対しまして、その、いささか我慢のきかない体質、と申しましょうか、意味のない格好つけともうしましょうか、いい年してないにやっているんだ、と申しましょうか」
いや、まだ王宮内だというのに、なぜ主をこき下ろすのだ、我が執事よ。
「そうか……我が娘の夫として、あのバカよりはマシだと思っていたのだが……」
公爵よ、未来の義父よ。丸聞こえだぞ。
だがまぁ、これからのことを考えれば、良好な関係を保っておくことが大事だ。
ゆえに聞き流しておいてやる。
己の家族の暴言にやや青ざめているサリアだけが、この場での良識だ。
「あの、テオドール様、父と兄の不敬をお詫びいたします」
「いや、義父と義兄となり、お互い家族となるのだ。逆に親しみを感じているよ」
後ろから奥歯をかみしめる音が二人分聞こえてきたが、ある意味愉快な音楽だ。
「ところで公爵。用意は万端整っているのだろうな?」
この時ばかりは、サリアの父としてではなく、共謀者として見る。
「当方は、万事滞りなく。殿下こそ疎漏などございませんかな?」
首だけ振り向いて、鼻で笑ってやる。
「誰にものをいっている? 婿がねとして、悪くない手土産だろう?」
もうほとんど忘れかけている前世の記憶とやらだと、『悪代官と悪徳商人』といった笑みを交わしあう。
ま、それより身分が高い我らだが。
サリアが不思議そうに見上げてくる。
ここでおじけづかないのが、我が伴侶の素晴らしいところだ。
胆力があり、頭もいい。
状況把握に優れ、王宮での立ち居振る舞いもすべて把握している。
俺が彼女を愛するのは必然だが、そんな彼女が、俺を愛していてくれる。
一体俺は前世でどんな功徳を積んだのか。
まぁ、つつしんで受け取っておこう。
「そうだ、ぜひともお前に手伝ってほしいことがある」
「私でできることでしたら、なんなりと」
「いいのか? どんなことかと聞く前に受けてしまって」
サリアは小動物のような愛らしさでクスリと笑った。
「テオドール様は、できるとお思いになったことしか頼まれない方だと思いますわ」
「そうなのか?」
「ええ。そうです」
「……いえ、結構無茶なこともおっしゃいますがな」
執事の声は、小さすぎて聞こえなかった。
「それに、父とも兄ともお話しが済んでいるのでしょう? 私も貴族の娘。役割があるのでしたら果たして見せますわ」
この愛しいの伴侶に対する賞賛の言葉の語彙の少なさに、俺は恥じ入るべきではないだろうか。
「そうだな。では、願いするとしよう。
サリア。王妃になってくれないか?」
再びこの不快な場所に足を踏み入れることも不快(言葉使いがおかしいのは、不快の表れだ)だが、やむを得ずここにいる。
エディアールの王子宮だ。
主の馬鹿さ加減に、勝手に崩れてでもいないかと思っていたがさすがに馬鹿な妄想だ。
しかし、不快感はそのぐらいということだ。
そのクソッタレー--とサリアの前では決して使うことのない、著しく品性と知性に欠けた言葉ー---な場所に集っているのは、兄王と、もうこいつのくだらなさを表す言葉を並べるのもくだらないので名前で呼ぶしかないエディアール。
こちらは俺とサリアの父の公爵、兄の公子。
当事者であるが、サリアは連れてきていない。
護衛やお付きは部屋の外だ。
それはそうだろう。
これから使えるべき主人が、これほど情けないと知らしめるのは、いささか同情を禁じ得ない。
男五人が憮然と座っていたも仕方がないので、俺が口火を切る。
「まずは確認させていただきたいのですが、この場へのご招待を我らが受けたのですから、無事に返していただけるのでしょうね」
本来なら王宮の部屋で行ってもこちらは一向にかまわないのだが、あえて私的な部屋である王子宮の部屋にわざわざ来ているのだ。
こちらからすれば不利ともいえる相手の懐に来たのだから、それぐらいは確約しもらおう。
「わかった。エルク国王の名と名誉をもってそなたらの無事を保証する」
ここで『この部屋を出るまで』や『この宮を出るまで』と言及しないのは兄の人の好さなのか、傲慢な油断なのか。
どちらにしろ、有効に使わせてもらうが。
「この際です、はっきりと申し上げましょう。
俺はね、兄上。貴方のことが嫌いではありませんでしたよ。
あなたを生んだ女が俺の母にした仕打ちを知っていてもね」
正妃が側妃にすることなんて、お約束だったが、だからといって笑って許せるものは少なかった。
だが、前世代の確執は、正直どうでもよかった。
悪いのは妃たちを満足させられなかった先王であり、その子である俺たちには関わりないことだ。
「だから、いいように使われていても、特に文句はなかった。
表の権力はあなたに譲って、実務を押しつけられてもかまわなかった。
もっとも、俺にそれをこなせる能力があったからこそでしょうが」
久しぶりに兄を正面から見た。
眉間にしわを寄せている顔は、いつの間にか先王に似てきた気がする。
エディアールが悔し気に睨みつけてくるが、本当にどうでもいい。
「正直、後継を作ることも考えていませんでした。
このまま一代限りの大公という立場で、それなりに国を守って、王権を守っていけばいいと考えてましたよ」
ほら、このあたりで不穏な雰囲気に気づくべきでしょう。
公爵も公子も、俺の話の結末を知っているのに、それでも緊張が伝わってくる。
表面的には無表情を保っているのが、さすがサリアの家族といっておこう。
「だがね、俺にも譲れないものができてしまいました」
サリアだ。
「それをないがしろにされ、あまつさえ傷つけられるというのでは、今まで通りにはいかない。
対抗もやむを得ないでしょう」
兄王は沈痛な面持ちでいった。
「それは、王家に生まれた者として、王家への忠誠に勝るのか」
「ええ。元から俺に、王家への忠誠などないのはご存じでしょう?
俺がおとなしく暮らしていたのは、それ以外、特にやることもなかったからだ。
先王からもいわれませんでしたか? あいつには気をつけろ、と」
いわれていたはずだ。
俺は先王には懐いて媚びを売ることもなかったし、下を向いていても威を恐れもしなかった。
掴めなくて、さぞ気味の悪子どもだっただろう。
「と、いうことで」
俺は場にそぐわはい、明るい声でいった。
「いただいた地位をお返しいたします。『大公』としてこの王宮に来ることは二度とありません」
聞いた途端、エディアールのガキはなにやら喜色を浮かべたが、こいつの頭は、大丈夫なのだろうか?
「…………どういうことだ?」
さすがに兄も危機感を感じてきたようだ。
だが、すでに遅い。
「言葉のお通りです、兄上。
俺はこの国、エルクから出るといってるのです」
ますます喜んでいるエディアール。
ま、勝手に喜んでおけ。
「俺を慕ってくれている者たちもおりますので、無一文というわけにはまいりません。
そうですね……我が母が婚礼の折持参したものは、返していただきましょう」
「なっっ……」
さすがに青ざめて立ち上がる兄。
その横で、エディアールはのんきに薄笑いを浮かべている。
「よろしいではないですか、父上。
たかが辺境の領の娘でしょう。持参してきたものなどたかが知れて……」
「馬鹿者がっっ」
おお、珍しく兄がエディアールを叱った。
最後に珍しいものを見たものだ。
「テオドール。お前とは仲のいい兄弟とはいえずとも、憎みあってもこなかった。
我が母がお前の母にした仕打ちも許すといった。
ならば、なぜそのような暴挙に出るのだ。
今の待遇が不満ならば、改善しよう。
何か要望があれば、」
「では、我が伴侶を傷つけようとした、この目障りなあなたの息子を、この世から消していただけますか?」
「ぐっ……」
俺の言葉に即答しない。
父親としてなら即座に否定するべきでしょう。
王ならば、我が子といえど、国のために差し出すべきだ。
そのどちらもとれず、とれないことを押し通す力もないこと。
それが貴方の限界なのですよ、兄上。
エディアールが口をはさんできた。
「先の側妃など、たかが地方の一領主の娘。
大公の位は返上するといっているのですから、側妃が持参した村の一つ、返してやればよろしいでしょう」
大方、祖母であるかつての正妃から聞いた話を鵜呑みにしていたんだろう。
本当に、後継者育成は他に類を見ないほど大失敗ですよ、兄上。
「と、貴方の後継者もいっている」
俺は席を立った。
公爵と公子も後に続く。
「では、エルク国王並びにエディアール王子。
これにて失礼いたしましょう。
わが国の建国の儀と我が王妃となるサリアとの婚姻の儀にご招待いたします。
ご臨席を賜れば栄誉と思いますよ」
俺は親切な男なので、いぶかし気に見てくるエディアールに、赤子にでもわかるように教えてやる。
「エディアール『殿下』はご存じかなったようだが、我が母は南方の『公国』の公女だった。
ちょうど俺が治めている『大公領』、エルク国の約五分の一の領地です。
そして海洋貿易の港はすべて我が領土の中」
つまり、俺が母親から継承する『正当な』領地で独立するので、エルク国は海洋貿易への道を失う、ということだ。
「卑怯だろうっ」
エディアールが叫ぶ。
とりあえず相手を非難しておけば、なんとかなるとでも思っているのだろう。
「ほぅ。何が『卑怯』か教えていただけるようですな。なにしろ乙女をその意に反してさらい、手籠めにしようとした方からなら、なにが『卑怯』か存分に教えていただけそうだ」
これにいい返すようなら、何度でも蹴り倒してやろう。
「我が母が持参したものを、その息子である俺が引きつぐ。通らない道理がどこにあります?
エディアール王子はご存じないようだが、先王と我が母の婚姻の折、誓詞が交わされています。
本来なら身分を鑑みて、先に娶っていた国内の貴族である妃の位を下げ、我が母を正妃とするのが筋ですが、それができかねる、ということだったので、婚姻による領土の合併は仮のものであること。
その正式は可否は子である俺に委ねられるということ」
エディアールはまったく知らなかったようだ。
父である国王の顔と俺とに目線を慌ただしく動かしている。
「それと、ここに控えておりますマルト公爵も、我が国への移籍を申し出ているため、同じく公爵として迎え入れます。
まぁ、娘の献身を仇で返すような男が支配するであろう国に、未練などないでしょう」
こいつからすれば、生来の権利だと思っていたものが、実は違っていたというわけだ。
「では、御前を失礼いたします、兄上。
幾久しくご健勝をお祈りいたしましょう。
以降は、隣国の王として、互いに栄えて参りましょう」
俺は最後の『王への礼』をすると、公爵と公子を伴って部屋を出た。
さすがに自分の名と名誉に誓ったことを違えて、俺たちを害することはなく、無事に王宮の外の出た。
長居は無用だ。
サリアを含め、使用人たちはすでに元『大公領』に移してある。公爵も同様だ。
移せる資産はすでに移してあるし、残りはまぁ、くれてやっても惜しくはない。
公爵が口を開いた。
「うまくいく、という方に我が身と一族すべてを賭けましたが、正直、ここまでとは思いませんでしたな」
「そうか? どおりで緊張していると思ったが。
俺は家族に危ない橋を渡らせるほど、甲斐性のない男ではないぞ、『義父上』」
いってやると、公爵は何ともいえない表情をした。
「確かに、あのボンクラにくれてやるには、サリアは惜しすぎましたからな。
王妃になって後継者の一人や二人産んだ後は、愛人を作ろうが贅を楽しもうが、好きに生きてほしいと思っておりましたが」
薄らいできた前世の感覚からすれば、あまりいい父親ではないだろうが、今世の貴族とはこういうものだ。
「それは申し訳ない。
俺は妃と末永く、仲睦まじく過ごすつもりなので、贅沢はさせてやれるが、愛人は容認できないな」
愛人など作られたら、泣いてしまいそうだ。
「それはご夫婦でお決めになられれば結構。仲睦まじい国王夫妻は、国民の受けがよいでしょうから」
公爵としては、俺サリアの間に生まれる後継者の外祖父として権力を持てればいいのだろう。
治める領土は減ったが、財力は元『大公領』の方が上だ。
俺に不要な親族がいない分、実権を握れると考えているようだ。
その考えを今、否定するつもりはない。
そのうちなんとかしていけばいい問題のひとつでしかない。
俺の心は、新たな俺の領地、新たな王宮で待つサリアの元に飛んでいた。
ー--それから。
怒涛のように日々が進んでいった。
準備はしていたが建国に際して、各国への通達、披露目の宴。
合わせて俺をサリアの結婚式も挙げてしまおうというのだから、決めなくてはならないこと、手順を踏まなくてはならないこと、細部にわたる段取りの調整など、裏で国政を見ているときの方がよほど楽だっ、とさすがの俺も両手を挙げてしまいたくなったことがあった。
しかし、もう人間の表現では表しきれないのではないと思うほど素晴らしい我が伴侶のサリアのお陰で、乗り切ることができた。
もともと俺の部下だったものをそのまま連れてきたので、目を覆うほどの無能はいないが、細部の細部の細部にまで確認を求められたりすると、さすがに冷静さを欠きそうになった。
そんなとき、サリアの手がそっと俺に重ねられる。
それだけですべてを許せた。
お互い忙しい時間を縫って、王宮となった大公館を二人で抜け出し、国民の生活を見るため、と屋台で食べた串焼きは美味かったし、流行りというクリームのたくさん入った甘い菓子を食べたサリアは幸せそうだった。
その頬についたクリームを舐め取ったら、大層美味かった。
ほぼすべてが滞りなく進み、今、俺の横には初々しい新妻となった王妃が立っている。
バルコニーから国民の歓呼の声に、美しくも凛々しい笑顔で答えている。
「テオドール様。みなに応えてあげなくては」
「あぁ、そうだな。つい妃に見とれてしまっていた」
「まぁ」
サリアは咎めるふりをして、俺に体を寄せてきた。
これだけは、どんなに多忙な中でも一切の妥協を許さなかった王妃として初めての衣装だ。
ありったけの宝石と貴金属で飾ろうとしたら、各方面から『悪趣味』といわれてしまった。
サリアだけは『重すぎて……』とまっとうな理由をいってくれたので、デザインはサリアとそのお付きの女官たちに任せることにした。
もともと男が口を出してもろくなことはない。
ただし、その構造と脱がせ方については、しっかりと把握している。
結果として素晴らしい出来になった花嫁衣装は、サリアの素晴らしい肢体を、さらに素晴らしく飾っている。
自分で用意をしておいても、衆目にさらすのに躊躇してしまったほどだ。
あぁ。我が伴侶のなんと素晴らしいことだろう。
---今夜が、楽しみだ。
〈終〉
ー-------------------
ふひゃー。どうにか終わらせていただきましたー。
長々とお付き合い、ありがとうございました!
と、イチャラブ成分補給のため、同時公開させていただきました!
お楽しみいただければ幸いです!
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