上 下
5 / 29
第1章 ガイコツ王子

5 肉ジャガー

しおりを挟む
「あぁ、肉じゃがを作ったのでございますよ…!」

「肉ジャガー…?
はて、聞いたことも無い食べ物だが…」

「そうだ!
少し食べてはみませんか!?」

私は言って、キッチンに向かった。
ガイコツ王子も付いてくる。

私はサッと肉じゃがを温めて皿によそうと、ガイコツ王子に差し出した。

「俺は少食だし、口に合わないとリバースするのだが…」

「少しだけでも食べてみてください。
食べないと治る物も治りませんよ?」

「ふむ、まぁ、一口だけなら…」

そして、ガイコツ王子は肉じゃがの肉とじゃがいもをパクリた食べた。
私の肉じゃがは糸こんにゃくも入っている奴だ。

「こ、こ、これは…!」

「これは?」

「美味い!
こんなに美味しい肉とじゃがいもを食べたのは生まれて初めてだ。
なんという出汁の味!
出汁が肉とじゃがいもに染み込んで、このハーモニー!

美味い、美味いぞぉぉぉぉお!」

ガイコツ王子はばくばくと肉じゃがを食べ始める。

そして、遂に完食してしまった。

「うむ。
美味であった。
悪い、俺は少し眠くなったので、これで失礼する。」

そう言ってガイコツ王子は去っていった。

うーん、これで良かったのだろうか?

まっ、いっか。

ガイコツ王子も喜んで食べていたし…
私に罪は無いだろう。

そして、私も緊張から解かれて眠りについた。

♦︎♦︎♦︎

翌日。

起きると、ナタリー達が部屋の掃除をしていた。

どうも、ずいぶん寝ていたようである。

私はスキル『冷蔵庫』を発動し、食パンと卵などを取り出してフレンチトーストを作った。
最後に冷凍庫からアイスクリームを上に盛り、生クリームをかけて出来上がりだ。

フレンチトーストに生クリームとアイスクリームが絡みつき、はちみつで超甘々になり、まさに朝ごはんにふさわしい。

この世界にもフレンチトーストはあるのだが、アイスクリームた生クリームを乗せて食べるといえ概念は無い。

「うわぁ、美味しそうです…」

セスナが言うので、みんなの分も作ってあげた。

「はぁぁぁ…
最初は料理するご令嬢なんて…と正直思ってましたけど、これは絶品ですわね。」

ナタリーが言う。

「甘い物大好きですぅー!」

ポーラが涙を浮かべて食べる。

その頃の侍女と言えば安月給で働かされており、ろくなスイーツも買えないはずであった。

「たくさん食べてね!
あ、はちみつ足りる?」

私はみんなをおもてなしする。

「そういえば…
昨日の初夜は…」

ナタリーがフレンチトーストを飲み込みながら、尋ねた。

「うーん、どうかしら?
あんまり気に入られ無かったんじゃ無いかしら?」

私は言う。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔

恋愛 / 完結 24h.ポイント:766pt お気に入り:280

許してもらえるだなんて本気で思っているのですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,081pt お気に入り:3,580

ノー・ウォリーズ

BL / 完結 24h.ポイント:575pt お気に入り:5

プレゼンターはテディベア

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:5

【本編完結】愛しい人、妹が好きなら私は身を引きます。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:29,543pt お気に入り:3,908

最低限の信頼関係さえ崩壊した今、夫の望みは実現させません。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:738pt お気に入り:314

処理中です...