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第1章 ガイコツ王子

6 ガイコツ王子

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sideシャルナーク

俺はガイコツ王子と呼ばれている。
みんなは陰で呼んでいるみたいだが、俺の耳に入るのに時間はかからなかった。

青白い顔、落ち窪んだ目、つるっぱげの頭、毛のない眉毛、ガリガリの身体。
その全てがガイコツとマッチしていた。
ガイコツ王子とはよく言ったものだ。

なぜだろうか?
他の兄弟は皆美しく、そして、強い肉体を持っている。

なのに、俺だけガイコツだ…

俺の妃になるという珍しい女が居ると聞いた。
父はそれを聞いて狂喜乱舞し、全ての条件を飲んだ上で後宮に迎えると言った。

どうせ、金銀財宝や高いドレスなどがそうだろう、と思っていた。
だが、彼女の要求は2つ、広いキッチンと料理の邪魔をしないこと、だった。

なんだか、変な女が俺の妃になったものだ。
そのくらいに思っていた。
変でなければ俺の妃にはならないか…
そうも思った。

彼女が後宮入りしたと聞いて、早速世継ぎ話になった。

「しっかり励めよ!
シャルナーク!」

ザルトハック兄さんは言うが…

「しかし…
向こうの気持ちもあるだろう…」

俺は弱気でそう答えた。

「何を言っている!?
お前の妃になったのだから、向こうもその気だ!」

かっこいいザルトハック兄さんはそう断言した。

それは、ザルトハック兄さんになら、女性も抱かれようという気になるだろうが、おれだぞ…?
ガイコツだぞ?

俺は自信が持てぬまま彼女の寝室に向かった。
俺の妃はエレナと言うらしい。

彼女は俺を見ると悲鳴をあげた。
まぁ、現実的な反応だ。

抱かれるのか?
抱かれないのか?
押し問答の末、何故か彼女の手料理を食べることになった。

しかし、それは今まで食べたことのないくらい美味しかった。
いつもは食べると胃がムカムカするのに、その料理は一向にそうならない。
俺はガツガツと食らい、気がつけば皿は空っぽだった。

俺は満腹で急に眠くなり、本城に戻ってぐっすりと休んだ。

♦︎♦︎♦︎

次の日の朝。
身体は軽かった。
いや、ガリガリだからじゃ無いぞ。

そう言う意味じゃなくいつもに増して心地よさがあった。

ふと、鏡を見ると何かが違うのだ。

しかし、何が違うのか?分からない。

俺はもう一度まじまじと鏡を見る。

!!!?










そうか!
まつ毛だ!
まつ毛が生えているんだ!

俺の落ち窪んだ瞳を金髪のまつ毛が囲んでいた。

俺は気付けばエレナの部屋に向かって走っていた。
いつもなら、走る体力も無いが、今日は気力に満ちていた。

エレナは俺のまつ毛にどんな反応を示すだろう?
心はそんな熱い思いに支配されていた。


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