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第1章 ガイコツ王子

17 にんじんが!

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何故かローズリート様まで私の料理を食べに来るようになり、私は毎日毎日料理三昧だった。
それは好きだから良いのだが。

ガイコツ王子はその日とても不機嫌だった。

好物の肉じゃがを出しても…

「にんじんが俺を馬鹿にしている!」

などと言い出す始末。

みんな呆れ果てて、ガイコツ王子の機嫌を取るのをやめてしまった。

なんだかんだ文句を言いながらも肉じゃがを食べるガイコツ王子。

その時、ふと、私は気づいた。

「あら?
シャルナーク様…」

「なんだ、今日もガイコツだと言いたいのか!?」

「いつまで機嫌が悪いんですかっ!
人がせっかく褒めようとしているのに!」

「はぁ?
俺に褒めるところなど無いだろう?
ローズリートとは違うのだぞ…」

なぜ、そこでローズリート様が出てくるのか分からないが、私はガイコツ王子の手を取り洗面所に連れていった。

「なっ!
て、手など握りおって…!
そなたも小悪魔よのぉ…!」

悪代官みたいなセリフを言うガイコツ王子に、私は言った。

「何かに気がつきませんか?」

「…………。
洗面所だな。」

「違います。
鏡の中です。」

「…………。
俺とそなたが映っておる。」

「違いますってば。」

「なんだ?
鏡は鏡じゃ無いか!
まさか俺の顔に異変があるわけでも…

え…?

唇に色が…」

ガイコツ王子はハッとした。

「そうです。
やっと正解しましたわね。
ふふふ。」

そう言って笑う私をガイコツ王子はおずおずと抱きしめた。

「…ありがとう。
やはりそなたは俺の救いの女神だ…」

私はそっとはガイコツ王子の背中に手を回した。

その後ガイコツ王子は30分は鏡を見ていた。

紫色の唇にうっすらピンクが入り込んでいるのだ。

まだ、唇はふっくらとはいかず、皺がれているが、それもいずれは…!

ガイコツ王子は肉じゃがをおかわりした!

とにかく料理を食べる事だ!
そう思ったらしい。

そして、ルンルンで私のの部屋から帰っていくと、ローズリート様が入れ替わりで部屋に入ってこられた。

「ローズリート様…」

「何ですか?
何か言いたげですね?」

ローズリート様はすぐに察知した。

「やはり、私はシャルナーク様な妃ですので…
あまりローズリート様と仲良くしては…」

ガイコツ王子はにんじんにキレていたし…

「それは、兄さんに遠慮しているだけでは?

僕はあなたが好きです。
と言ってしまえば、また軽く口説いている、と思われそうですが…

あなたのためならば、この王宮から追放されても構わない。

僕の気持ちはそうです。
それだけは信じてください。

あのガイコツを選ぶのか?僕を選ぶのか?
気長に待って居ますよ。エレナ。」

そう言って私の頬に口付けすると、その日ローズリート様はすぐに帰って行かれた。


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