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第1章 ガイコツ王子

18 卵焼き器

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sideシャルナーク

ローズリートとエレナ、俺の三角関係が始まろうとしていた頃。

その日、刀鍛冶師から卵焼き器が届いた。

「いやぁ、微妙な曲線を作るのには苦労しましたよ!」

そう言う刀鍛冶師に俺は金貨3枚を与えた。
刀鍛冶師はびっくりして俺を二度見していた。

金貨3枚といえば、半年は遊んで暮らせる額だったからだ。

「こ、こ、こんなにいただいて良いんですか…!?」

「遠慮致すな。
また、俺の妃は変な物を頼むかもしれないからな。
迷惑料だと思って受け取ってくれ。」

俺は笑いながらそう言った。

その頃の俺は頬のこけもだいぶふっくらし、顔には立派な眉毛とまつ毛が。
唇も徐々にピンク色でふっくらしてきていた。

急に顔を見せても、ヒィぃぃぃ!とか言う奴が居なくなってきたのだ。

相変わらず身体は痩せている方だが、ゼンリュートの奴が筋トレをした方が良いと言ってきて、迂闊にも賛同してしまった。
その日から俺は軽いダンベルを毎朝100回ずつ上げていた。

全てはローズリートに勝ち、エレナの心を手に入れる為だった。

そして、卵焼き器をラッピングした。
ラッピングペーパーで包もうとしたが、四角に取手があるそれは、ラッピングペーパーで包めるものではなかった。

仕方なく俺はラッピングペーパーで包むのを諦めて、取手の部分にリボンを巻きつけた。

うん、少し貧相だが、品物自体がコレだ…
仕方ないだろう…

俺はスキップしながら、エレナの元に向かった。

「あら、シャルナーク様!」

俺は卵焼き器を背後に隠す。

「エレナ!
そなたが楽しみに待って居たものを持ってきたぞ!」

俺は言った。

「まぁ、何ですか?」

「卵焼き器だ!」

俺は卵焼き器を見せた。
それを見たエレナは狂喜乱舞した。

「まぁ、これでレパートリーが増えますわ!
ネギ入りの卵焼きを作ろうかな?
いえ、やっぱりだし巻き卵?
明太子入りも美味しいわよね!」

「その、なんだ…」

「はい?」

「ほ、ほ、褒美は無いのか?」

「褒美、で御座いますか?」

ほら、ほっぺにちゅーとか、色々あるだろう!?

「では!
目を瞑ってください!」

き、き、キタァァぁぁぁ!!!

俺が目を瞑ると、エレナは俺の頭をよしよしと撫でた。

「違ーーーーーう!」

「シャルナーク…様…
あ、あ、頭に…」

「は?
何か糸屑でもついておったか?」

「ち、ち、違いますわ!
髪の毛です!!!」

その言葉に俺は衝撃を受けて、ふらついて倒れた。

髪…
髪…

髪の毛…!?

夢にまで見た髪の毛が生えたと言うのか!?

うそ…だ…

俺はそのまま気を失った。


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