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王都へようこそ
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シフォン王子様の婚約を受け入れるために、王族側からパーティに来ないかと招待されている。それには父上と母上と僕が行けばいいのに、心配性な兄様と姉様まで付いて来ると言って仕方がなかった。僕以外は美形と美人の家で有名なガゼン家なのだ。なのに、僕が王族入りなのはとても謎だったりしている。王都まではガゼン家がおさめている町からは三日ほどでつくのだ。この世には車やバスはないので、馬車で移動となっている。盗賊にあう可能性もあったので、警護をつけての王都まで向かった。途中で盗賊にあったが、僕が警護の人に傷をつくらせたくなくて、魔法で叩きのめした。それを見た母上はため息を吐き、父上は大興奮していた。姉様と兄様はとても心配していました。また僕の噂が増えると。確かにこれからは魔法ではなく剣で叩きのめそうと思っていたが、兄様と姉様は何故か哀愁を漂わせていた。そんなこんなで、三日かけて着いた王都は賑やかだった。塀の門では王族の手紙を見せると王族付きの兵士が馬に乗って城まで道案内をしてくれた。王族の大事な婚約者なのだ、対応が違うのは仕方ない。今日の夜にパーティが開かれて、そこで婚約者として他の貴族や王族に知らせるというものらしい。王様と王妃様の前で夫婦の誓いをするのだ。そうしたら、はれて婚約者として認められる。夫婦になるには、僕とシフォン王子が18歳をすぎたら結婚というものになる。だから、18歳までにシフォン王子との婚約を破棄する事が出来たら僕にとっては願ってもない事になる。けれど、兄様と姉様の婚約者がきちんと決まるまでは婚約破棄をされては困る。婚約をイイ感じの所でやめる事が出来れば、ミッションコンプリートになる。僕の願いは姉様と兄様の幸せなんだ。あの二人が幸せにならずに誰がなるというのだ。そんな事を考えていたら、城の門を通って王都の中心にあるグランス城が目の前にあった。あまりの大きさに田舎者の僕は驚きを隠せないでいた。
「大きいですね、お城が。首をあげても、頂上が見えない」
僕がそう言いながら、馬車からおりると金髪黒目の鎧を身にまとった騎士が城の入り口から出てきて、僕の前まで来て跪いた。そして、顔を上げて俺を見上げてきた。
「ようこそ、アルフォン様。私は火の騎士団長をしているグレイドと申します。シフォン王子がお呼びしていたので、お迎えに伺いました」
キラキラした輝くオーラを笑顔で向けてくるグレイドさん。美形は何をしてもさまになるからいいなーと思った。それを聞いていた姉様と兄様が僕の両腕にしがみつく。
「駄目です! アルちゃんは、まだ結婚前の大事な身体なの!」
「そうだ! アルにはまだ婚約者なんて早い!」
二人の対応に苦笑するグレイドさん。
「お姉様とお兄様、落ち着いてください。私も一緒に居ますので」
「怪しいわ」
「怪しい」
姉様と兄様がグレイドさんを睨んでいるが、それを気にした様子もなくニコニコと笑顔を返すグレイドさん。僕はグレイドに苦笑した。
「シフォン王子様の事です。今日の夜のパーティの打ち合わせなのかもしれませんね。ちょっと、行ってきます。姉様、兄様」
「えー、アルちゃん!」
「アル! 何かされたら大声で叫ぶんだぞ!」
姉様は残念そうな顔をして、兄様は意気込んでいた。
「うん、心配してくれてありがとう。行ってくるね」
僕は家族に手を振って、グレイドさんに着いて行った。
廊下に僕とグレイドさんの足音が響く。僕の前にグレイドさんが歩いている。道案内だからだね。僕だと迷っちゃうからな。
「私は認めてはいないからな」
「へっ?」
グレイドさんが歩きながら、横顔を俺に向けていて、その表情は怒りだった。
「シフォン王子は特別方だ。お前みたいな凡人には勿体ない」
「ふーん、それが本性ですか?」
「驚かないんだな」
「いやー、猫は被っていると思ったけど、これほどとは」
この美形が入れ込む王子様って、他の婚約者候補にも入れ込まれていそうで、想像しただけで、今すぐにやめてしまいたい。だが、今はまだ婚約者じゃないとまずい。僕の敵は多いんだな。だけど、大好きな兄様と姉様のためならこんな苦は苦じゃないさ!
「ここの部屋だ。私は廊下で待機している。中に入れ」
大きな扉は細かい装飾がされていて、ただの扉なのに豪華だった。
「はい」
僕はグライドさんに返事をして、扉を叩いた。
「大きいですね、お城が。首をあげても、頂上が見えない」
僕がそう言いながら、馬車からおりると金髪黒目の鎧を身にまとった騎士が城の入り口から出てきて、僕の前まで来て跪いた。そして、顔を上げて俺を見上げてきた。
「ようこそ、アルフォン様。私は火の騎士団長をしているグレイドと申します。シフォン王子がお呼びしていたので、お迎えに伺いました」
キラキラした輝くオーラを笑顔で向けてくるグレイドさん。美形は何をしてもさまになるからいいなーと思った。それを聞いていた姉様と兄様が僕の両腕にしがみつく。
「駄目です! アルちゃんは、まだ結婚前の大事な身体なの!」
「そうだ! アルにはまだ婚約者なんて早い!」
二人の対応に苦笑するグレイドさん。
「お姉様とお兄様、落ち着いてください。私も一緒に居ますので」
「怪しいわ」
「怪しい」
姉様と兄様がグレイドさんを睨んでいるが、それを気にした様子もなくニコニコと笑顔を返すグレイドさん。僕はグレイドに苦笑した。
「シフォン王子様の事です。今日の夜のパーティの打ち合わせなのかもしれませんね。ちょっと、行ってきます。姉様、兄様」
「えー、アルちゃん!」
「アル! 何かされたら大声で叫ぶんだぞ!」
姉様は残念そうな顔をして、兄様は意気込んでいた。
「うん、心配してくれてありがとう。行ってくるね」
僕は家族に手を振って、グレイドさんに着いて行った。
廊下に僕とグレイドさんの足音が響く。僕の前にグレイドさんが歩いている。道案内だからだね。僕だと迷っちゃうからな。
「私は認めてはいないからな」
「へっ?」
グレイドさんが歩きながら、横顔を俺に向けていて、その表情は怒りだった。
「シフォン王子は特別方だ。お前みたいな凡人には勿体ない」
「ふーん、それが本性ですか?」
「驚かないんだな」
「いやー、猫は被っていると思ったけど、これほどとは」
この美形が入れ込む王子様って、他の婚約者候補にも入れ込まれていそうで、想像しただけで、今すぐにやめてしまいたい。だが、今はまだ婚約者じゃないとまずい。僕の敵は多いんだな。だけど、大好きな兄様と姉様のためならこんな苦は苦じゃないさ!
「ここの部屋だ。私は廊下で待機している。中に入れ」
大きな扉は細かい装飾がされていて、ただの扉なのに豪華だった。
「はい」
僕はグライドさんに返事をして、扉を叩いた。
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