悪役令息と悪役令嬢の兄と姉を守りたいので第四王子との恋愛フラグをへし折りまくります!

いずみ

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暁の困惑

 俺と日暮れは屋敷に入ってぎょっとした。
「「「おかえりなさいませ、アルフォン様」」」
 屋敷に入ると、アルフォンことアルに執事やメイドが玄関に並んでお辞儀をしてきたからだ。貴族の金持ちのお坊ちゃんだとは知っていたが、予想以上に財力がありそうだ。
「ただいま、父さんは居るかな?」
 それにこたえたのは、執事のじいさんだった。
「はい、旦那様は書斎に居ると思います」
「後で話があるから時間作ってって言っておいて」
「承知しました。アルフォン様」
「ん、なに?」
「そちらの方々は?」
「あぁ、帰りの道中で仲良くなった友達の男の方が暁、女の方が日暮れと言うんだ。客としてもてなしてほしい」
「かしこまりました」
 いやいや、納得してない感じの雰囲気だな。
 確かに、服は外国の軍服だし、何が狙いで近づいてきたって感じだよな。
 俺だって用心するよ。アルはちょっと抜けている気がする。
「暁、日暮れ、部屋に案内するからついて来て」
「あぁ、分かった」
「はい」
 階段を上がっていくと、沢山のドアが見受けられた。この一つ一つが客間だと言われても驚かないぞ。だって、王族と婚約しているのだアルは。金がないわけがない。それに、調べた事によると、アルは一人でももう立派にお金を稼いでいた。新しい薬の開発や、魔獣に効く魔法の発見などで、とても優秀な頭脳を持っているのが分かる。なのに、何故か自分への自己肯定感が低い気がする。これだけ、周りに影響をもたらしているのに、自分は何もできない人間だと思っている。どうして、ここまで出来ているのに自信を持ってもいいはずなのに、こんなに自信がないんだ? やはり、外見にコンプレックスがあるのだろうか? 姉と兄と母と父とは血が繋がっていないのは本人は知らない。あれだけ、美形と美人が傍にいたら自信がつかないのも仕方ないのだろうか?
「はい、此処が暁の部屋で、左横が日暮れの部屋だ。好きに使ってくれ」
「アル、ちょっといいか」
「なに、暁」
「いや、廊下で話すのもあれだから、部屋に入ろう」
「分かった」
 俺はアルを部屋にいれて、用意されていた椅子に座った。アルは俺の正面の椅子に座る。
「それで、話ってなんだ?」
「俺たちは何をすれば、契約が切れるんだ?」
「あぁ、そういえばその話はしてなかったな。父さんが兄様と姉様の婚約を破棄するまでだ」
「……それで、報酬はいくらくらいになる?」
「1200ベルクだと思っている」
 あー、こいつの金銭感覚がヤバい。金が有り余っているからだろうか?
「俺達は500ベルクだと思っている」
「え、そんなに少なくていいの?」
「人を殺すのが仕事の俺達を使いたい人間はたくさんいる。だが、そんな中それ以外の仕事をさせたい人間はいなかったんだ」
「そうか、人を殺すのは慣れたのか?」
 痛い事を聞いてくる。
【いいか、相手は悪だ。我らは正義のために人を殺す。それを忘れるな】
 木ノ葉からはそう言われている。だが、心がついてこない時がある。
「アンタみたいな貴族ばっかりだったら、良かったんだがな」
「暁……、疲れたら休みに来いよ。日暮れも連れて、他の仲間も連れ着ていいから、俺の屋敷に休みに来い。何か俺が仕事を見つけてやるから」
「ありがとう、だけどもう手は汚れている。今更、普通の仕事なんてさ」
「出来るさ、暁も日暮れも優しい人間だって知っているから」
 一瞬、涙が出そうになった。
 好きで親に捨てられたんじゃない、孤児になったわけでもない。
 俺達は人生を笑って過ごしたい。
 だけど、夢に出てくるんだ。俺達が殺した人間が俺達を恨めしいと。
 そんな俺達に、なんでこんなに優しく出来るのか。
 アルは貴族だけど、普通の貴族とは違うな。器が違うのかもしれない。
「よし、それじゃ俺は今から兄様と姉様に挨拶してくるから、休んでいてくれ」
「あぁ、分かった」
 そう言って、笑顔を俺に向けてアルは部屋から出て行った。
「なんか、変な感じだな」
 殺し屋として出会ったのに、そんな俺達の事を気にかけてくれるなんて。
 なんだか、心がモヤモヤして落ち着かない。
 これが優しさと言うものなんだろうか?
 初めての経験だ。
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