24 / 55
暁の困惑
俺と日暮れは屋敷に入ってぎょっとした。
「「「おかえりなさいませ、アルフォン様」」」
屋敷に入ると、アルフォンことアルに執事やメイドが玄関に並んでお辞儀をしてきたからだ。貴族の金持ちのお坊ちゃんだとは知っていたが、予想以上に財力がありそうだ。
「ただいま、父さんは居るかな?」
それにこたえたのは、執事のじいさんだった。
「はい、旦那様は書斎に居ると思います」
「後で話があるから時間作ってって言っておいて」
「承知しました。アルフォン様」
「ん、なに?」
「そちらの方々は?」
「あぁ、帰りの道中で仲良くなった友達の男の方が暁、女の方が日暮れと言うんだ。客としてもてなしてほしい」
「かしこまりました」
いやいや、納得してない感じの雰囲気だな。
確かに、服は外国の軍服だし、何が狙いで近づいてきたって感じだよな。
俺だって用心するよ。アルはちょっと抜けている気がする。
「暁、日暮れ、部屋に案内するからついて来て」
「あぁ、分かった」
「はい」
階段を上がっていくと、沢山のドアが見受けられた。この一つ一つが客間だと言われても驚かないぞ。だって、王族と婚約しているのだアルは。金がないわけがない。それに、調べた事によると、アルは一人でももう立派にお金を稼いでいた。新しい薬の開発や、魔獣に効く魔法の発見などで、とても優秀な頭脳を持っているのが分かる。なのに、何故か自分への自己肯定感が低い気がする。これだけ、周りに影響をもたらしているのに、自分は何もできない人間だと思っている。どうして、ここまで出来ているのに自信を持ってもいいはずなのに、こんなに自信がないんだ? やはり、外見にコンプレックスがあるのだろうか? 姉と兄と母と父とは血が繋がっていないのは本人は知らない。あれだけ、美形と美人が傍にいたら自信がつかないのも仕方ないのだろうか?
「はい、此処が暁の部屋で、左横が日暮れの部屋だ。好きに使ってくれ」
「アル、ちょっといいか」
「なに、暁」
「いや、廊下で話すのもあれだから、部屋に入ろう」
「分かった」
俺はアルを部屋にいれて、用意されていた椅子に座った。アルは俺の正面の椅子に座る。
「それで、話ってなんだ?」
「俺たちは何をすれば、契約が切れるんだ?」
「あぁ、そういえばその話はしてなかったな。父さんが兄様と姉様の婚約を破棄するまでだ」
「……それで、報酬はいくらくらいになる?」
「1200ベルクだと思っている」
あー、こいつの金銭感覚がヤバい。金が有り余っているからだろうか?
「俺達は500ベルクだと思っている」
「え、そんなに少なくていいの?」
「人を殺すのが仕事の俺達を使いたい人間はたくさんいる。だが、そんな中それ以外の仕事をさせたい人間はいなかったんだ」
「そうか、人を殺すのは慣れたのか?」
痛い事を聞いてくる。
【いいか、相手は悪だ。我らは正義のために人を殺す。それを忘れるな】
木ノ葉からはそう言われている。だが、心がついてこない時がある。
「アンタみたいな貴族ばっかりだったら、良かったんだがな」
「暁……、疲れたら休みに来いよ。日暮れも連れて、他の仲間も連れ着ていいから、俺の屋敷に休みに来い。何か俺が仕事を見つけてやるから」
「ありがとう、だけどもう手は汚れている。今更、普通の仕事なんてさ」
「出来るさ、暁も日暮れも優しい人間だって知っているから」
一瞬、涙が出そうになった。
好きで親に捨てられたんじゃない、孤児になったわけでもない。
俺達は人生を笑って過ごしたい。
だけど、夢に出てくるんだ。俺達が殺した人間が俺達を恨めしいと。
そんな俺達に、なんでこんなに優しく出来るのか。
アルは貴族だけど、普通の貴族とは違うな。器が違うのかもしれない。
「よし、それじゃ俺は今から兄様と姉様に挨拶してくるから、休んでいてくれ」
「あぁ、分かった」
そう言って、笑顔を俺に向けてアルは部屋から出て行った。
「なんか、変な感じだな」
殺し屋として出会ったのに、そんな俺達の事を気にかけてくれるなんて。
なんだか、心がモヤモヤして落ち着かない。
これが優しさと言うものなんだろうか?
初めての経験だ。
「「「おかえりなさいませ、アルフォン様」」」
屋敷に入ると、アルフォンことアルに執事やメイドが玄関に並んでお辞儀をしてきたからだ。貴族の金持ちのお坊ちゃんだとは知っていたが、予想以上に財力がありそうだ。
「ただいま、父さんは居るかな?」
それにこたえたのは、執事のじいさんだった。
「はい、旦那様は書斎に居ると思います」
「後で話があるから時間作ってって言っておいて」
「承知しました。アルフォン様」
「ん、なに?」
「そちらの方々は?」
「あぁ、帰りの道中で仲良くなった友達の男の方が暁、女の方が日暮れと言うんだ。客としてもてなしてほしい」
「かしこまりました」
いやいや、納得してない感じの雰囲気だな。
確かに、服は外国の軍服だし、何が狙いで近づいてきたって感じだよな。
俺だって用心するよ。アルはちょっと抜けている気がする。
「暁、日暮れ、部屋に案内するからついて来て」
「あぁ、分かった」
「はい」
階段を上がっていくと、沢山のドアが見受けられた。この一つ一つが客間だと言われても驚かないぞ。だって、王族と婚約しているのだアルは。金がないわけがない。それに、調べた事によると、アルは一人でももう立派にお金を稼いでいた。新しい薬の開発や、魔獣に効く魔法の発見などで、とても優秀な頭脳を持っているのが分かる。なのに、何故か自分への自己肯定感が低い気がする。これだけ、周りに影響をもたらしているのに、自分は何もできない人間だと思っている。どうして、ここまで出来ているのに自信を持ってもいいはずなのに、こんなに自信がないんだ? やはり、外見にコンプレックスがあるのだろうか? 姉と兄と母と父とは血が繋がっていないのは本人は知らない。あれだけ、美形と美人が傍にいたら自信がつかないのも仕方ないのだろうか?
「はい、此処が暁の部屋で、左横が日暮れの部屋だ。好きに使ってくれ」
「アル、ちょっといいか」
「なに、暁」
「いや、廊下で話すのもあれだから、部屋に入ろう」
「分かった」
俺はアルを部屋にいれて、用意されていた椅子に座った。アルは俺の正面の椅子に座る。
「それで、話ってなんだ?」
「俺たちは何をすれば、契約が切れるんだ?」
「あぁ、そういえばその話はしてなかったな。父さんが兄様と姉様の婚約を破棄するまでだ」
「……それで、報酬はいくらくらいになる?」
「1200ベルクだと思っている」
あー、こいつの金銭感覚がヤバい。金が有り余っているからだろうか?
「俺達は500ベルクだと思っている」
「え、そんなに少なくていいの?」
「人を殺すのが仕事の俺達を使いたい人間はたくさんいる。だが、そんな中それ以外の仕事をさせたい人間はいなかったんだ」
「そうか、人を殺すのは慣れたのか?」
痛い事を聞いてくる。
【いいか、相手は悪だ。我らは正義のために人を殺す。それを忘れるな】
木ノ葉からはそう言われている。だが、心がついてこない時がある。
「アンタみたいな貴族ばっかりだったら、良かったんだがな」
「暁……、疲れたら休みに来いよ。日暮れも連れて、他の仲間も連れ着ていいから、俺の屋敷に休みに来い。何か俺が仕事を見つけてやるから」
「ありがとう、だけどもう手は汚れている。今更、普通の仕事なんてさ」
「出来るさ、暁も日暮れも優しい人間だって知っているから」
一瞬、涙が出そうになった。
好きで親に捨てられたんじゃない、孤児になったわけでもない。
俺達は人生を笑って過ごしたい。
だけど、夢に出てくるんだ。俺達が殺した人間が俺達を恨めしいと。
そんな俺達に、なんでこんなに優しく出来るのか。
アルは貴族だけど、普通の貴族とは違うな。器が違うのかもしれない。
「よし、それじゃ俺は今から兄様と姉様に挨拶してくるから、休んでいてくれ」
「あぁ、分かった」
そう言って、笑顔を俺に向けてアルは部屋から出て行った。
「なんか、変な感じだな」
殺し屋として出会ったのに、そんな俺達の事を気にかけてくれるなんて。
なんだか、心がモヤモヤして落ち着かない。
これが優しさと言うものなんだろうか?
初めての経験だ。
あなたにおすすめの小説
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
召喚された聖女の俺は生真面目な護衛騎士に愛されたい
緑虫
BL
バイト帰りにコンビニを出た瞬間、西洋風な服装のおじさんたちに囲まれた片桐隼人(かたぎり はやと)。
「聖女様が御姿を現されたぞ!」
「え、あ、あの」
だが、隼人を聖女と呼ぶ赤毛の王子は隼人が男と知ると態度を豹変。金髪碧眼の美貌の騎士レオが「――ここにもうひとりおります!」と言ったことで、聖女召喚に巻き込まれただけの一般人としてレオと共に城を追い出されてしまう。
てっきりこれはドッキリの類だと思い込む隼人は、「早く家に帰ってインスタント焼きそば(辛子マヨネーズ味)を食べたい!」と願うが、事はそううまくは運ばない。
「我レオ・フェネオン、騎士の名誉に誓い、真の聖女様に揺るぎなき忠誠を捧げる」
あまつさえ、レオにそんなことを言われてしまう。
レオに連れられて異世界を移動するうちに、魔物に襲われてしまう二人。
光り輝く剣で敵を倒すレオは格好いいけど、隼人は最早リバース寸前だった。
――ここまできたら、いい加減認めざるを得ない。俺がいる場所が施設の中とかプロジェクションマッピングとかじゃなくて、本物の異世界だってことを!
だが、元の世界に帰る為には、別の召喚陣がある場所まで行かなければならない。そんな訳でレオと二人、隣国に向けて逃亡を始めた。
レオ以外に頼る相手のいない隼人は、ひとりになった瞬間恐怖に襲われる。
するとレオが「では、私の祖国に到着し王家に保護されるまでの間、私とハヤトは結婚を間近に控えた恋人同士の設定でいきましょう」と何故か言い出し――?
オメガバースは独自設定です。ご了承下さい。
秘密多き生真面目イケメン騎士攻めx明るい勤労大学生受け
ハピエン、完結保証。ムーンライトノベルズにも掲載中。
聖女(男)・騎士・追放・後宮・溺愛・執着・王子・異世界・召喚・敵国・偽装・オメガバース(α、Ω)
正義の味方にストーカーされてます。〜俺はただの雑魚モブです〜
ゆず
BL
俺は、敵組織ディヴァイアンに所属する、ただの雑魚モブ。
毎回出撃しては正義の戦隊ゼットレンジャーに吹き飛ばされる、ただのバイト戦闘員。
……の、はずだった。
「こんにちは。今日もお元気そうで安心しました」
「そのマスク、新しくされましたね。とてもお似合いです」
……なぜか、ヒーロー側の“グリーン”だけが、俺のことを毎回即座に識別してくる。
どんなマスクをかぶっても。
どんな戦場でも。
俺がいると、あいつは絶対に見つけ出して、にこやかに近づいてくる。
――なんでわかんの?
バイト辞めたい。え、なんで辞めさせてもらえないの?
――――――――――――――――――
執着溺愛系ヒーロー × モブ
ただのバイトでゆるーく働くつもりだったモブがヒーローに執着され敵幹部にも何故か愛されてるお話。
最強騎士団長の養子になったエルフ。遊び相手の王子は、僕にだけ重すぎる愛を注ぐ
えの
BL
突然知らない森に飛ばされたエルフの少年リュカ。
驚くことも無く「まぁ、森だし」で片付けてしまう。
そんなマイペースなリュカが傷心した獣人女性に出会ったことから物語が動き出す。
攻めが出てくるの少し遅いです。
執着王子×マイペースエルフ
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼不定期連載となりました。
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
贖罪公爵長男とのんきな俺
侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。
貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。
一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。
そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。
・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め
・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。
・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。
・CP固定・ご都合主義・ハピエン
・他サイト掲載予定あり