世界の中心は君だった

KOROU

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四章

狐の目覚め

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 久方ぶりに起きると、それは九月の下旬だった。
 ああ、今年の夏は終わったんだ。無事に。
 そう思い胸を撫でおろし、記録を確認する。各面々が鈴城さんと会ったり、本間先生と会ったりしている事が確認できた。
 その事にまた胸を撫でおろし、秋になっている事に欠伸をする。次は冬眠かなぁ、なんて冗談を思いながら。

 眠っている間、私は夢を見ていた。
 それは良くも悪くもない夢で、私は何かに邂逅した。
 その何かは人の形をしていたのだが、喋る事もなく、ただ会ったというのが正しい。

 何かに邂逅した次は、凄く広大なお城の中を彷徨っていた。どこに行っても扉は開かなかったが、それでも広いお城をグルグルと回っていた。
 ただ一つ気がかりだったのは、お城は薄暗く、なぜかダンジョンのような廃墟のような、そんな気味悪さがあった。

 その最奥で何者かに会ったのだが、その何者かは何も言わずに去り、夢から覚めて目覚めたというのが正しい。

 私は一体何の夢を見ていたのだろう。そしてその意味が分からないながら、日々を過ごす事暫し、鈴城さんと話す機会がやってきた。
 鈴城さんは私に久方ぶりの挨拶をすると、唐突にこう言った。

「今度、狐さんに会わせたい方がいるので、会っていただけますか?」と。

 私はそれを承諾して、その日は謎の夢の話をして終わった。
 会いたい人はいるが、会わせたい人がいると言われるのは久しぶりだ。一体どんな人で誰なのだろうと思いながら、私はその日が来るのをワクワクして待つ。

 そういえば、狼君の記録にも話があると書いてあった。
 狼君から直々に話があると言われるのも久しぶりだ。今年の秋は色々と久しぶりがいっぱいだなと思いながら、なぜかそれがとても嬉しい私がいる。

 きっとこれは良い兆しなのだと信じて、私は次回の鈴城さんとの面談までをやり過ごした。
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