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第一章
2-5.
しおりを挟むともかくも素行調査だ。
シスターも言っていたじゃないか。ヘーゼルの一挙措一頭足を見ろと。
このところ、昼は家庭教師として側に張り付き、夜はヘーゼルの部屋の前で彼にバレないようこっそり張り込む毎日を送っていた。
だが、こうして連日連夜張り付いて見張っているというのに…、
(全然尻尾を掴ませないんだよなあ…)
ふう…と漏れそうになったため息を飲み込めば、代わりに出てきたのは欠伸だった。いけない。授業中だった。慌てて噛み殺すも、ばっちりヘーゼルが見ている。
「あれ? 先生、眠たいの?」
「い、いえ、失礼しました」
ふふ、とヘーゼルが笑みを溢し、傍らの犬に語りかける。
「先生が欠伸してるの初めて見たねえ。ね、メイジー」
くん、と犬が甘えるように鼻を鳴らす。
あなたの監視に精を出しているから寝不足なのだとは口が裂けても言えず、その場しのぎの言い訳を話す。
「その…遅くまで読書をしていまして。今度、ヘーゼル様にもご紹介します」
「わあ、ほんとう? いつもちゃんとしてる先生が寝不足になっちゃうほどだもん。面白そう!」
ヘーゼルが途端に手を打ち合わせて喜ぶ。そして精いっぱいの怖い顔を作ってみせた。
「でもあんまり夜更かししちゃだめなんだよ」
「仰る通りですね。気を付けます」
殊勝に頷くと、ヘーゼルがにこりと笑った。
探れど探れど出てくるものはなく、積もるのは疲労ばかり。掠れる視界を振り払い、アレックスも穏やかに笑い返す。
こうなればもはや意地だった。
今夜の張り込みを思うと再び出そうになる欠伸を噛み殺し、アレックスは決意を新たにするのだった。
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