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16.むり! 帰る!

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「今の話、ほんと?」
「ほ……ほんと、だけど……っ、」
「俺に脅されるのが怖くてその前に擦り寄っとこ、みたいなんじゃなくて?」
「……脅され? 私、岡本に脅されんの?」
「え」
「……え?」

 なんか変なこと言った?

「紗知ってもしかしてかなりの天然?」
「何それバカにしてんの?」
「いやそんなつもりはないけど。でも同意なく事後の写真撮られたら脅されるとかって考えない? そのつもりでこっちも撮ってるし」
「あ、あれ! 撮るなら先言って欲しいんだけど! 絶対ブサイクになってるしさぁっ」

 私が文句言うと岡本がおっきいため息をついた。息が耳にかかってソワソワする。
 ぎゅって、私を抱き締める腕の力が強くなった。

「俺のこと好きって、本気?」
「え、あ、……う、うん」
「なんでそこで躊躇うんだよ。やっぱり嘘だから?」
「そうじゃなくて、だってさぁ……恥ずかしいんだもん」

 さっきは勢いで言えたけど、一度間を空けるとやっぱり恥ずかしさがじわじわくる。
 この体勢だって――。

「あ、ほんとだ。顔真っ赤じゃん」

 顎を持ち上げられて強制的に上を向かされて、こっちを覗き込んでいた岡本と目を合わせられた。

「……むり」
「は?」
「無理無理! むり! 帰る!」
「やっぱり紗知、俺のこと嫌って……」
「こ、こんな近いの無理すぎる! 岡本が私に触ってんのも無理! ドキドキし過ぎて心臓壊れる! 岡本のこと好きすぎて耐えらんないっ!」

 走って逃げ出したいのに岡本がどいてくれないし手も離してくれないから動けない。
 さっきは話せるようになったと思ったけど、やっぱり駄目だ。岡本に告白しちゃったんだってのが今更にぐわって現実になってきた感じ。
 抱き締められてるせいで岡本の身体の大きさとか腕の強さがリアルすぎて、プールに入ってるはずなのに熱い。

「だからもう帰――」
「紗知、ちょっと落ち着いて」
「んむぅっ」

 上を向かされたままキスをされた。ちゅ、ちゅ……って音を立てられて何度もキスされる。
 岡本とまたキスしてる。
 これ、現実かな。もしかして今日の全部、暑すぎて頭がバカになっちゃった妄想かな。

 ぺろんて唇を舐められて、背中がぞくってした。
 顔が離れて、もっとキスしたかったなって思っちゃって、また顔が熱くなる。

「ちょっと話しよっか」

 キスのせいでぼーっとしながら、言われたまんまに私は頷いた。
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