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彼の片想い*******
寝ても醒めても。6
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飲み会の会場を美夜ちゃんが出て、そわそわと自分も出るタイミングを見計らっていた。
その隣に、有志がどっかりと腰を下ろした。
いつも通りの酔い具合。浮かれた様子は見受けられない。
サークルのみんなの前で、交際宣言でもするのかと思っていたが、その様子もなく、有志とりこちゃんはいつもの距離を保っていた。
「公言するのかと思ってた」
そういうと、何の事かはすぐわかったらしく、有志が苦く笑った。
「講義休んで篭ってたのがバレバレだから、恥ずかしいって」
そりゃそうだと納得した。何をしていたかなんて、明らか過ぎて、りこちゃんには堪らないだろう。
「今日、抜ける。美夜ちゃんと過ごすから」
話を変えてそう告げる。
「『今日も』だろ?」
今度は、こちらが苦笑を浮かべる番だった。
「高園……お前の部屋に行ってるのを隠そうと必死だったぞ。あんな顔、早く解放してやれよ」
言葉を失った僕を横目に映して、有志が軽く溜め息を漏らす。
「責任の一端は、俺にもあるから……今夜あたりに決めてくれよ」
痛ましげに話す有志に、急に干上がった喉に温いビールを一口流し込んで。
「ゆっくり、話すよ」
掠れた声で決意した。
「わかってもらえるように」
そして、足早に居酒屋を後にした。
合流した美夜ちゃんは、別段変わった風ではなくて。
むしろ、いつもより積極的で僕を翻弄した。
……マグカップを手に取るまでは。
珍しく感情的になった彼女は、それでも、すごく可愛い。
少しの感情的な誹りなんて愛らしいもので、ヒステリックに泣きじゃくるのすら愛しい。
しかも、全部僕のことを好きだから来る、感情の起伏。
そう考えると、不謹慎かもしれないけれど、堪らなく嬉しかった。
まだまだ残暑が残る季節。そんな暑さにでも求められた温かいブラックコーヒー。
「その思い出に捕らわれて、美夜ちゃんはブラックコーヒーが好きだと思ってた。お守りを拾ってくれた時から気になってて、あの時はっきり好きになった」
そう告げたら、彼女の視線が戻ってきて、また涙が溢れる。
僕のために流してくれてるって、自惚れてもいいでしょ?
だから。
今度こそ、ただ伝えるんじゃなくて。
どれくらい長く、僕が片想いを募らせてきたかを。
拗らせてきたかを。
温めてきたかを。
伝えたいんだ。
「……僕は。……高校生の時から。美夜ちゃんが好きだよ」
もう一度、ペロリと下唇を舐めて、美夜ちゃんの言葉を促す。
「……やぁ……ふぅ、んぅ……」
キスを止めてあげられないから、嬌声しか零せない美夜ちゃんの言葉を、ちゃんと聞きたいから。渋々キスを中断した。
「美夜ちゃ……」
ここぞという時だ。まだ慣れないけど、絶対に折れないぞという意思を込めて、言い直す。
「……美夜」
そして。核心をついた。
「ねぇ、いつから僕が好き?」
美夜ちゃんが、顔を歪めてますます泣いた。
マグカップが落ちて重い音がしたけど、構わなかった。
そんなのに、構ってられなかった。
美夜ちゃんが。その華奢な腕で、僕にぎゅうぎゅうに抱きついてきて。
鼓動が、こんなに早く力強く打つんだって初めて知った。
聞き逃したくないのに、耳鳴りがする気がする。
「ずっと……まぇ……からっ」
美夜ちゃんのその言葉が、願望による空耳なんじゃないかって疑ったけど。
身体は正直で。すぐに美夜ちゃんを抱きしめた。
無意識だった。
「僕のものになって。僕だけのものに」
その告白に。
彼女が強い抱擁で返事をしたから。
僕の目にだって涙が溢れたのは、仕方がなかったと思う。
その隣に、有志がどっかりと腰を下ろした。
いつも通りの酔い具合。浮かれた様子は見受けられない。
サークルのみんなの前で、交際宣言でもするのかと思っていたが、その様子もなく、有志とりこちゃんはいつもの距離を保っていた。
「公言するのかと思ってた」
そういうと、何の事かはすぐわかったらしく、有志が苦く笑った。
「講義休んで篭ってたのがバレバレだから、恥ずかしいって」
そりゃそうだと納得した。何をしていたかなんて、明らか過ぎて、りこちゃんには堪らないだろう。
「今日、抜ける。美夜ちゃんと過ごすから」
話を変えてそう告げる。
「『今日も』だろ?」
今度は、こちらが苦笑を浮かべる番だった。
「高園……お前の部屋に行ってるのを隠そうと必死だったぞ。あんな顔、早く解放してやれよ」
言葉を失った僕を横目に映して、有志が軽く溜め息を漏らす。
「責任の一端は、俺にもあるから……今夜あたりに決めてくれよ」
痛ましげに話す有志に、急に干上がった喉に温いビールを一口流し込んで。
「ゆっくり、話すよ」
掠れた声で決意した。
「わかってもらえるように」
そして、足早に居酒屋を後にした。
合流した美夜ちゃんは、別段変わった風ではなくて。
むしろ、いつもより積極的で僕を翻弄した。
……マグカップを手に取るまでは。
珍しく感情的になった彼女は、それでも、すごく可愛い。
少しの感情的な誹りなんて愛らしいもので、ヒステリックに泣きじゃくるのすら愛しい。
しかも、全部僕のことを好きだから来る、感情の起伏。
そう考えると、不謹慎かもしれないけれど、堪らなく嬉しかった。
まだまだ残暑が残る季節。そんな暑さにでも求められた温かいブラックコーヒー。
「その思い出に捕らわれて、美夜ちゃんはブラックコーヒーが好きだと思ってた。お守りを拾ってくれた時から気になってて、あの時はっきり好きになった」
そう告げたら、彼女の視線が戻ってきて、また涙が溢れる。
僕のために流してくれてるって、自惚れてもいいでしょ?
だから。
今度こそ、ただ伝えるんじゃなくて。
どれくらい長く、僕が片想いを募らせてきたかを。
拗らせてきたかを。
温めてきたかを。
伝えたいんだ。
「……僕は。……高校生の時から。美夜ちゃんが好きだよ」
もう一度、ペロリと下唇を舐めて、美夜ちゃんの言葉を促す。
「……やぁ……ふぅ、んぅ……」
キスを止めてあげられないから、嬌声しか零せない美夜ちゃんの言葉を、ちゃんと聞きたいから。渋々キスを中断した。
「美夜ちゃ……」
ここぞという時だ。まだ慣れないけど、絶対に折れないぞという意思を込めて、言い直す。
「……美夜」
そして。核心をついた。
「ねぇ、いつから僕が好き?」
美夜ちゃんが、顔を歪めてますます泣いた。
マグカップが落ちて重い音がしたけど、構わなかった。
そんなのに、構ってられなかった。
美夜ちゃんが。その華奢な腕で、僕にぎゅうぎゅうに抱きついてきて。
鼓動が、こんなに早く力強く打つんだって初めて知った。
聞き逃したくないのに、耳鳴りがする気がする。
「ずっと……まぇ……からっ」
美夜ちゃんのその言葉が、願望による空耳なんじゃないかって疑ったけど。
身体は正直で。すぐに美夜ちゃんを抱きしめた。
無意識だった。
「僕のものになって。僕だけのものに」
その告白に。
彼女が強い抱擁で返事をしたから。
僕の目にだって涙が溢れたのは、仕方がなかったと思う。
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