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彼の片想い*******
寝ても醒めても。5
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美夜ちゃんの嗚咽が響くこの部屋で、不釣り合いに笑みを噛み殺す。
美夜ちゃんが顔を伏せてくれていて良かった。
その泣き声さえ、愛しい。俯いているから、頬を伝ずにポタリポタリと下に落ちる涙がもったいない。
こらえきれずに、抱き寄せた。抱き寄せたら顔は見えないけれど、その分艶やかな髪の毛が頬に当たって、思わず幾度も頂きに口付けを送った。
欲が出て、おでこに。こめかみに。眉間に。まぶたに。頬に。鼻に。
どんどん唇に近づいていくと。
「ちょ……坂本くんっ!」
唇を塞ぐ寸前に、慌てて美夜ちゃんが制するように咎めるから。
「拓眞でしょ」
そう注意して、またキスを再開した。
愛しさと、喜びと、感動と。
身体中が歓喜して、きっとまたしばらく離してあげられないと思ったけど、止めることはできなかった。
満足するまで飽きずに貪って。酔ってしまいそうになる。
美夜ちゃんの匂いに、感触に。このまま押し倒してしまいたいけど、今日はそれもできないってわかっているから、なおさら唇を解放してあげられなかった。
「美夜ちゃん……やっぱりコーヒー飲めないんだ?」
そういうと。困ったような、悲しいような顔をした。
この表情……スキ。よく見る顔だ。守ってあげたいけど、もっといじめてみたくなる。
ぶわりと、美夜ちゃんの瞳に涙が溜まった。そうか……この表情。
初めて気付いて、自分の不甲斐なさに絶望する。
そうだ。泣くのを我慢している顔だったんだ。
もうたくさん泣いたから。今回は、全然我慢できなかった涙。
でも、今まで幾度も見てきたその顔に、改めて胸が痛んだ。
何度も傷付けて、何度も踏みにじってきたんだ。美夜ちゃんの想いを。
それが、勘違いからくるものだったとしたって、その原因は僕だ。
今日こそ、美夜ちゃんと想いを通わせなくちゃ。
鼻を擦り寄せて、近い位置で言葉を紡いだ。
「じゃあ、僕を好きでしょう?」
震えてしまわないように、気をつけた。
なるべく、余裕綽々に聞こえるように。自信満々に。
美夜ちゃんが、不安にならないように。この気持ちに嘘や揺らぎがないってわかってもらえるように。
美夜ちゃんが、まるで僕を拒絶するように、この腕を抜け出そうともがくから、腕の力は強くなる。
もう、離さない。美夜ちゃんの気持ちを掴むまでは。
「だって。飲めないコーヒーを、わざわざ買い取ってくれたんでしょ?」
彼女の動きが止まって、大人しくなる。
「美夜ちゃんは、確かに優しいけど。誰かが間違って買った飲み物をさ。わざわざ取り替えて回る程には慈善的じゃないでしょ?」
美夜ちゃんの目が、見開かれて。今度こそ本当に、彼女の時が止まった。
僕がいつのことを引き合いに出したか、気付いたに違いない。
話をちゃんと聞いて欲しくて、また鼻先を擦り合わせる。
「しかも、通りすがりの見知らぬ男が間違って買った、飲めもしないコーヒーを」
それでも、呆然とした顔をするから。
ちゅって。わざと音を響かせて、またキスをした。したかっただけってのもあったけど。
「わざわざ取り替えてくれる理由。『好き』って以外にあるなら教えてよ」
そうだ。そんな優しさを、他の奴に振りまかれたら堪らない。
そのまま、そう告げた。そして。一番聞きたかった事を。
今までで、一番緊張して。でも、絶対気取られないように。
「あの時さ、もう、僕を好きだったんでしょ?」
そう言って、美夜ちゃんの唇をペロリと舐めて、彼女からの言葉を促した。
でも、すぐに怖くなって、追い討ちをかけるように装って、続けざまに口を開いた。
りこちゃんに言われた通り、ヘタレ。
「ずっと、おかしいと思ってた。美夜ちゃんが、好きでもない男に体を開くなんて」
泣いて腫れたまぶたにキスすると、瞳を閉じてくれたから、また口付けた。
「……んぅ、ふぁ……」
美夜ちゃんの吐息が麻薬のように僕を狂わせる。口内を味わって、舌を追いかけて。
「……好きでもないけど、嫌われてもいないのかなって……思ってたけど……ずっと不安だったんだ。それだと、いつかその地位を取って代わられるんじゃないかと思って」
唇を合わせていたら、少し落ち着いてきて饒舌になるのが自分でもわかった。
「でも、高校生の……僕を知ってたんでしょ?だから、飲めもしないコーヒーを、取り替えてくれたんじゃないの?」
しっかりと目を合わせると、美夜ちゃんがそろりと視線を外したから、また、ちゅって音を立てて。
キスで引き戻した。
美夜ちゃんが顔を伏せてくれていて良かった。
その泣き声さえ、愛しい。俯いているから、頬を伝ずにポタリポタリと下に落ちる涙がもったいない。
こらえきれずに、抱き寄せた。抱き寄せたら顔は見えないけれど、その分艶やかな髪の毛が頬に当たって、思わず幾度も頂きに口付けを送った。
欲が出て、おでこに。こめかみに。眉間に。まぶたに。頬に。鼻に。
どんどん唇に近づいていくと。
「ちょ……坂本くんっ!」
唇を塞ぐ寸前に、慌てて美夜ちゃんが制するように咎めるから。
「拓眞でしょ」
そう注意して、またキスを再開した。
愛しさと、喜びと、感動と。
身体中が歓喜して、きっとまたしばらく離してあげられないと思ったけど、止めることはできなかった。
満足するまで飽きずに貪って。酔ってしまいそうになる。
美夜ちゃんの匂いに、感触に。このまま押し倒してしまいたいけど、今日はそれもできないってわかっているから、なおさら唇を解放してあげられなかった。
「美夜ちゃん……やっぱりコーヒー飲めないんだ?」
そういうと。困ったような、悲しいような顔をした。
この表情……スキ。よく見る顔だ。守ってあげたいけど、もっといじめてみたくなる。
ぶわりと、美夜ちゃんの瞳に涙が溜まった。そうか……この表情。
初めて気付いて、自分の不甲斐なさに絶望する。
そうだ。泣くのを我慢している顔だったんだ。
もうたくさん泣いたから。今回は、全然我慢できなかった涙。
でも、今まで幾度も見てきたその顔に、改めて胸が痛んだ。
何度も傷付けて、何度も踏みにじってきたんだ。美夜ちゃんの想いを。
それが、勘違いからくるものだったとしたって、その原因は僕だ。
今日こそ、美夜ちゃんと想いを通わせなくちゃ。
鼻を擦り寄せて、近い位置で言葉を紡いだ。
「じゃあ、僕を好きでしょう?」
震えてしまわないように、気をつけた。
なるべく、余裕綽々に聞こえるように。自信満々に。
美夜ちゃんが、不安にならないように。この気持ちに嘘や揺らぎがないってわかってもらえるように。
美夜ちゃんが、まるで僕を拒絶するように、この腕を抜け出そうともがくから、腕の力は強くなる。
もう、離さない。美夜ちゃんの気持ちを掴むまでは。
「だって。飲めないコーヒーを、わざわざ買い取ってくれたんでしょ?」
彼女の動きが止まって、大人しくなる。
「美夜ちゃんは、確かに優しいけど。誰かが間違って買った飲み物をさ。わざわざ取り替えて回る程には慈善的じゃないでしょ?」
美夜ちゃんの目が、見開かれて。今度こそ本当に、彼女の時が止まった。
僕がいつのことを引き合いに出したか、気付いたに違いない。
話をちゃんと聞いて欲しくて、また鼻先を擦り合わせる。
「しかも、通りすがりの見知らぬ男が間違って買った、飲めもしないコーヒーを」
それでも、呆然とした顔をするから。
ちゅって。わざと音を響かせて、またキスをした。したかっただけってのもあったけど。
「わざわざ取り替えてくれる理由。『好き』って以外にあるなら教えてよ」
そうだ。そんな優しさを、他の奴に振りまかれたら堪らない。
そのまま、そう告げた。そして。一番聞きたかった事を。
今までで、一番緊張して。でも、絶対気取られないように。
「あの時さ、もう、僕を好きだったんでしょ?」
そう言って、美夜ちゃんの唇をペロリと舐めて、彼女からの言葉を促した。
でも、すぐに怖くなって、追い討ちをかけるように装って、続けざまに口を開いた。
りこちゃんに言われた通り、ヘタレ。
「ずっと、おかしいと思ってた。美夜ちゃんが、好きでもない男に体を開くなんて」
泣いて腫れたまぶたにキスすると、瞳を閉じてくれたから、また口付けた。
「……んぅ、ふぁ……」
美夜ちゃんの吐息が麻薬のように僕を狂わせる。口内を味わって、舌を追いかけて。
「……好きでもないけど、嫌われてもいないのかなって……思ってたけど……ずっと不安だったんだ。それだと、いつかその地位を取って代わられるんじゃないかと思って」
唇を合わせていたら、少し落ち着いてきて饒舌になるのが自分でもわかった。
「でも、高校生の……僕を知ってたんでしょ?だから、飲めもしないコーヒーを、取り替えてくれたんじゃないの?」
しっかりと目を合わせると、美夜ちゃんがそろりと視線を外したから、また、ちゅって音を立てて。
キスで引き戻した。
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