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彼女の想い
絶対……いや。2
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「じゃあ、お守り拾ってくれた時には、僕のこと知ってたの?」
繋いだ手から伝わる温もりが、勇気をくれる。
そっと頷いて、自分から、指を恋人みたいに絡めた。
「……うん」
そのまま、これくらい許されるかなって思って、親指で2回。拓眞くんの手を撫でる。
「いつも見てたから、遠目でも落ちたのがお守りだって気付いたの」
そう告げると、絡まる指に力が加わって、そのまま引き寄せられた。
急に、図々しいって思われないかなって思いつつも、服越しに触れた拓眞くんの胸に右頬をすり寄せて。幸せを噛み締めて。目を閉じた。
「いちいち可愛すぎる!」
そう言って、私の頭の先にキスを降らせるから、調子に乗って、顔をあげたら、目論見通り。おでこに口づけが贈られた。
「夢だったらどうしよう」
自分が考えていたことが、そのまま好きな人の声で再生されたから、ちょっと可笑しくって。そっと背伸びをする。
拓眞くんの唇を自分から奪って、繋いでない方の手に収まるお守りに、ちょっと力を込めた。
しばらくぎゅうぎゅうに抱きしめられてから、まぶたに、鼻にまでキスが降ってきて、その合間にまた答え合わせ。
「自分の方が後から好きになったなんて、考えてもみなかった」
情けないような、悔しいような、不思議な表情を浮かべる拓眞くんが、なんだか可愛い。
「じゃあ、なんでずっとキスを拒んだの?」
キュって縮んだみたいにして、心臓が鳴った。
最初の、慣れない頃に『キスしていい?』って聞かれるたびに、そうなってたみたいに。
拓眞くんが、難しい質問を投げかけて、わざと長めの口づけをしてから視線を合わせてくる。
その瞳は真剣で、逃れられないって気づく。
勘違いだったってわかった今だって苦々しい気持ちで記憶の蓋を開けた。
「……りこちゃんを、好きだと思ってたから」
そう白状しただけで脆弱な瞳に涙の膜が張ったから、急いで顔を伏せたけど、拓眞くんの空いた手で阻止された。
視線が絡んだまま、瞬きを耐えて続きを口にする。
「私を、ちゃんと好きでいてくれる人とキスしたかったの」
でも。
「だからって、会えないのも嫌で。体だけでもいいって思って……」
あごを捕らえられて、上向いていたのをいいことに、途中でまた口づけを受けた。
ちょっとだけ離して、ほんの数ミリの距離で。拓眞くんが今まで聞いた中で、一番真剣な声でこう言った。
「……美夜ちゃんだけが、好きだ」
冷やして、少しマシになった目に、留め置けなかった涙がこぼれた。
拓眞くんの……バカ。また、目を冷やさないと。
そう思いながらも、自分から抱きついて。
「……私の方が、きっと、好き」
負けじと、また、想いを伝えた。
お友達の勘違いで、私の名前をずっとりこちゃんと間違っていたこと。
缶コーヒーを買い取った時に、改めて……好きに、なってくれたこと。
りこちゃんがサークルで引き合わせてくれたこと。
答え合わせがの合間に、涙が出たり、キスしたりしたから、帰り道にまで話は尽きなかった。
恐れずに、外で手を繋いで。誰にみられてもいいっていうその幸せを噛み締めて。
真っ赤になった拓眞くんから、私と間違ってりこちゃんに告白したなんて話を聞いた。
赤い顔にかかる、立ち上った白い息。並ぶ街灯。お店の明かり。暗い空に、かろうじて見える星。
全てが嘘みたいに綺麗で。それだけで泣きたくなる。
電車では、身を寄せ合って小声で話した。
「りこちゃんのコートを着てたから、最初は彼女かと思ったんだよ」
情けない顔でそう言って『大事な場面でいつもしくじってる』なんて自嘲してる。
「それから後は夢だと思った。いつも見る夢だと、名前を呼んだら覚めちゃうから……」
いつも、私の夢を?
それだけで、頬が緩むのが止められない。
そして、馬鹿みたいにだらしない顔は、彼の次の言葉に凍りついた。
「朝、目覚めた時。すごく後悔した」
一瞬で、引き戻されかけた。
浮かれた自分が、きつく自制して、言い聞かせて、勘違いしないように頑張っていた日々に。
やっぱり、求められてたのは私じゃなかったんじゃないかとか。
やっぱり、りこちゃんの方が良かったって思ったんじゃないかとか。
電車の窓は真っ暗で、室内がガラスに映る。
並んでいる私と拓眞くんは、こんなに身を寄せ合っているのに、巡るのは窓の外のように暗い思考。
そんな中、電車の音合間に、密やかな愛しい声が続きを紡いだ。
「もっと、優しく、大事に触れれば良かった」
自分が、彼にとって大事な女の子だった。
今までも優しかったけど、代わりなんかじゃなくって。
自分こそが、彼に優しくしてもらえる存在だった。
その自惚れが、労わるように私の心の傷に染みていった。
繋いだ手から伝わる温もりが、勇気をくれる。
そっと頷いて、自分から、指を恋人みたいに絡めた。
「……うん」
そのまま、これくらい許されるかなって思って、親指で2回。拓眞くんの手を撫でる。
「いつも見てたから、遠目でも落ちたのがお守りだって気付いたの」
そう告げると、絡まる指に力が加わって、そのまま引き寄せられた。
急に、図々しいって思われないかなって思いつつも、服越しに触れた拓眞くんの胸に右頬をすり寄せて。幸せを噛み締めて。目を閉じた。
「いちいち可愛すぎる!」
そう言って、私の頭の先にキスを降らせるから、調子に乗って、顔をあげたら、目論見通り。おでこに口づけが贈られた。
「夢だったらどうしよう」
自分が考えていたことが、そのまま好きな人の声で再生されたから、ちょっと可笑しくって。そっと背伸びをする。
拓眞くんの唇を自分から奪って、繋いでない方の手に収まるお守りに、ちょっと力を込めた。
しばらくぎゅうぎゅうに抱きしめられてから、まぶたに、鼻にまでキスが降ってきて、その合間にまた答え合わせ。
「自分の方が後から好きになったなんて、考えてもみなかった」
情けないような、悔しいような、不思議な表情を浮かべる拓眞くんが、なんだか可愛い。
「じゃあ、なんでずっとキスを拒んだの?」
キュって縮んだみたいにして、心臓が鳴った。
最初の、慣れない頃に『キスしていい?』って聞かれるたびに、そうなってたみたいに。
拓眞くんが、難しい質問を投げかけて、わざと長めの口づけをしてから視線を合わせてくる。
その瞳は真剣で、逃れられないって気づく。
勘違いだったってわかった今だって苦々しい気持ちで記憶の蓋を開けた。
「……りこちゃんを、好きだと思ってたから」
そう白状しただけで脆弱な瞳に涙の膜が張ったから、急いで顔を伏せたけど、拓眞くんの空いた手で阻止された。
視線が絡んだまま、瞬きを耐えて続きを口にする。
「私を、ちゃんと好きでいてくれる人とキスしたかったの」
でも。
「だからって、会えないのも嫌で。体だけでもいいって思って……」
あごを捕らえられて、上向いていたのをいいことに、途中でまた口づけを受けた。
ちょっとだけ離して、ほんの数ミリの距離で。拓眞くんが今まで聞いた中で、一番真剣な声でこう言った。
「……美夜ちゃんだけが、好きだ」
冷やして、少しマシになった目に、留め置けなかった涙がこぼれた。
拓眞くんの……バカ。また、目を冷やさないと。
そう思いながらも、自分から抱きついて。
「……私の方が、きっと、好き」
負けじと、また、想いを伝えた。
お友達の勘違いで、私の名前をずっとりこちゃんと間違っていたこと。
缶コーヒーを買い取った時に、改めて……好きに、なってくれたこと。
りこちゃんがサークルで引き合わせてくれたこと。
答え合わせがの合間に、涙が出たり、キスしたりしたから、帰り道にまで話は尽きなかった。
恐れずに、外で手を繋いで。誰にみられてもいいっていうその幸せを噛み締めて。
真っ赤になった拓眞くんから、私と間違ってりこちゃんに告白したなんて話を聞いた。
赤い顔にかかる、立ち上った白い息。並ぶ街灯。お店の明かり。暗い空に、かろうじて見える星。
全てが嘘みたいに綺麗で。それだけで泣きたくなる。
電車では、身を寄せ合って小声で話した。
「りこちゃんのコートを着てたから、最初は彼女かと思ったんだよ」
情けない顔でそう言って『大事な場面でいつもしくじってる』なんて自嘲してる。
「それから後は夢だと思った。いつも見る夢だと、名前を呼んだら覚めちゃうから……」
いつも、私の夢を?
それだけで、頬が緩むのが止められない。
そして、馬鹿みたいにだらしない顔は、彼の次の言葉に凍りついた。
「朝、目覚めた時。すごく後悔した」
一瞬で、引き戻されかけた。
浮かれた自分が、きつく自制して、言い聞かせて、勘違いしないように頑張っていた日々に。
やっぱり、求められてたのは私じゃなかったんじゃないかとか。
やっぱり、りこちゃんの方が良かったって思ったんじゃないかとか。
電車の窓は真っ暗で、室内がガラスに映る。
並んでいる私と拓眞くんは、こんなに身を寄せ合っているのに、巡るのは窓の外のように暗い思考。
そんな中、電車の音合間に、密やかな愛しい声が続きを紡いだ。
「もっと、優しく、大事に触れれば良かった」
自分が、彼にとって大事な女の子だった。
今までも優しかったけど、代わりなんかじゃなくって。
自分こそが、彼に優しくしてもらえる存在だった。
その自惚れが、労わるように私の心の傷に染みていった。
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