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彼女の片想い*
絶対、ダメ。5
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「美夜ちゃん、また二次会行かない気なの?」
私がなりたくて仕方ない女の子は、到底真似できないかわいらしさで唇を軽くすぼめてる。
同性から見ても、かわいくて魅力的。性格だって良くて、同じ年なのに甘え上手な妹のように感じてしまう。
「珍しく綾先輩たちが来てるんだから行こうよ!」
綾というのは山田先輩のことで、山田先輩や横山先輩、その他に何人かの4年生は久しぶりの参加だった。
山田先輩は家業の事務として勤めるし、横山先輩は院に進む。
今日参加している他の先輩たちも卒業や進路も決まっていて、悠々自適な人達ばかりだ。……何人かは来年同級生になってしまうけど。
「また今度ね」
いつもそういうけど一度も来ないじゃないと、ますます口をとがらせる。背も同じくらいなので、表情も良く見える。
「いいわよ。りこ。今度は美夜ちゃんも来てくれるように女子会を開きましょう」
山田先輩が割って入って来た。りこちゃんを背中から抱きしめるようにして、その正面に立つ私と目を合わせる。
「あんたたち、本当にそっくりねー。双子か姉妹みたいよ」
私は苦笑いしかでない。
「高校の頃から、よく間違われてたんですよ」
りこちゃんが山田先輩を振り仰ぎながらそう言った。
「なに?あんたたち、高校からの友達なの?」
そういえば、同じ高校だと山田先輩には話したことなかったかもしれない。
「あっ!じゃあさ、りこ。美夜ちゃんの想い人って……」
「山田先輩、二次会はどこにします?」
危うく、小さな悲鳴をあげてしまうところだった。その想い人が、気配もなくすぐそばに立っていたから。
「え!まだ決まってないの?」
「2ヶ所おさえてるから、選んでください」
私のすぐ後ろから、いつもより少しだけ低い坂本くんの声。他の人と話すときは、そこまであざとくも、子供っぽくも、可愛らしくもない。
私の真後ろに、坂本くんがいる。振り向くことができなくて、りこちゃんのピンクのネイルを見つめた。このまま、この会話から逃げきれますように。
「坂本、ちょっと待って。今りこから美夜ちゃんのトップシークレット聞き出してるとこだから!」
……そうはいかなかったみたい。
「山田先輩!同じ高校だけど、りこちゃんとは大学に入ってから初めてしゃべったんです」
あわてて割って入った。知られるのは、なんだか嫌だった。高校からずっと片想いしていること。みじめになるだけだから、知られたくない。
りこちゃんに。そして、当事者の坂本くんには、もっと。
私が最初に坂本くんに恋をしたとき、坂本くんはすでにりこちゃんのことが好きだった。
「……じゃあ、私はお先に失礼します」
話は終わりと、早口に別れを口にして、そこから逃げ出すことを選択する。りこちゃん越しに山田先輩に向かって頭を下げた。
「もう!美夜ちゃん秘密主義!」
山田先輩の拗ねた顔も、りこちゃんに負けないくらいかわいかった。
「……美夜ちゃん、明るい道を通って帰ってね」
「あっ……うん。まだ早い時間だから大丈夫」
坂本くんが普通に話しかけてきたけど、なんとなくみんなの前で話していたくなかった。
後ろから声をかけてくれたから、ちょっと振り仰ぎながら答えた。びっくりするくらい近くに居たから、あわてて少し下がった。
そのまま、じゃあねと急いでその場を離れる。もう坂本くんたちの方は振り向かなかった。
親しい人もそうじゃない人も、口々に声をかけてくれる。ちょっと罪悪感を感じながらも挨拶を交わして人の波を抜けた。
これから、坂本くんのアパートの最寄駅に向かう。本屋さんやカフェで時間を潰して連絡を待つのだ。
人から見たら、淋しくてかわいそうな女かもしれないけど……実はその時間が好きだったりする。
だって、次に連絡がきたらすぐに会えるから。
何年も想い続けてるその人に、会えるから。
私がなりたくて仕方ない女の子は、到底真似できないかわいらしさで唇を軽くすぼめてる。
同性から見ても、かわいくて魅力的。性格だって良くて、同じ年なのに甘え上手な妹のように感じてしまう。
「珍しく綾先輩たちが来てるんだから行こうよ!」
綾というのは山田先輩のことで、山田先輩や横山先輩、その他に何人かの4年生は久しぶりの参加だった。
山田先輩は家業の事務として勤めるし、横山先輩は院に進む。
今日参加している他の先輩たちも卒業や進路も決まっていて、悠々自適な人達ばかりだ。……何人かは来年同級生になってしまうけど。
「また今度ね」
いつもそういうけど一度も来ないじゃないと、ますます口をとがらせる。背も同じくらいなので、表情も良く見える。
「いいわよ。りこ。今度は美夜ちゃんも来てくれるように女子会を開きましょう」
山田先輩が割って入って来た。りこちゃんを背中から抱きしめるようにして、その正面に立つ私と目を合わせる。
「あんたたち、本当にそっくりねー。双子か姉妹みたいよ」
私は苦笑いしかでない。
「高校の頃から、よく間違われてたんですよ」
りこちゃんが山田先輩を振り仰ぎながらそう言った。
「なに?あんたたち、高校からの友達なの?」
そういえば、同じ高校だと山田先輩には話したことなかったかもしれない。
「あっ!じゃあさ、りこ。美夜ちゃんの想い人って……」
「山田先輩、二次会はどこにします?」
危うく、小さな悲鳴をあげてしまうところだった。その想い人が、気配もなくすぐそばに立っていたから。
「え!まだ決まってないの?」
「2ヶ所おさえてるから、選んでください」
私のすぐ後ろから、いつもより少しだけ低い坂本くんの声。他の人と話すときは、そこまであざとくも、子供っぽくも、可愛らしくもない。
私の真後ろに、坂本くんがいる。振り向くことができなくて、りこちゃんのピンクのネイルを見つめた。このまま、この会話から逃げきれますように。
「坂本、ちょっと待って。今りこから美夜ちゃんのトップシークレット聞き出してるとこだから!」
……そうはいかなかったみたい。
「山田先輩!同じ高校だけど、りこちゃんとは大学に入ってから初めてしゃべったんです」
あわてて割って入った。知られるのは、なんだか嫌だった。高校からずっと片想いしていること。みじめになるだけだから、知られたくない。
りこちゃんに。そして、当事者の坂本くんには、もっと。
私が最初に坂本くんに恋をしたとき、坂本くんはすでにりこちゃんのことが好きだった。
「……じゃあ、私はお先に失礼します」
話は終わりと、早口に別れを口にして、そこから逃げ出すことを選択する。りこちゃん越しに山田先輩に向かって頭を下げた。
「もう!美夜ちゃん秘密主義!」
山田先輩の拗ねた顔も、りこちゃんに負けないくらいかわいかった。
「……美夜ちゃん、明るい道を通って帰ってね」
「あっ……うん。まだ早い時間だから大丈夫」
坂本くんが普通に話しかけてきたけど、なんとなくみんなの前で話していたくなかった。
後ろから声をかけてくれたから、ちょっと振り仰ぎながら答えた。びっくりするくらい近くに居たから、あわてて少し下がった。
そのまま、じゃあねと急いでその場を離れる。もう坂本くんたちの方は振り向かなかった。
親しい人もそうじゃない人も、口々に声をかけてくれる。ちょっと罪悪感を感じながらも挨拶を交わして人の波を抜けた。
これから、坂本くんのアパートの最寄駅に向かう。本屋さんやカフェで時間を潰して連絡を待つのだ。
人から見たら、淋しくてかわいそうな女かもしれないけど……実はその時間が好きだったりする。
だって、次に連絡がきたらすぐに会えるから。
何年も想い続けてるその人に、会えるから。
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