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彼女の片想い*
絶対、ダメ。4
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「美夜ちゃんは彼氏つくらないの?」
サークルの飲みの席で、斜向かいから声をかけられた。
「いないって聞いてるけど、合コンに出るわけでもないし……」
綺麗なデコルテに、彼氏さんにもらったネックレスが光っている。山田先輩は、色っぽいけど品がある。胸のボリュームも羨ましい。
その彼氏さんは、私の目の前に座っている横山先輩。山田先輩とは反対側に座る友人と話していたけれど、ちらりとこちらに視線を流した。
「トラブルにならないなら、サークル内で出来上がってもいいんだぞ」
友人との会話の合間に、そんなことを言ってくる。
一瞬坂本くんの顔が浮かんだ自分の浅ましさに辟易した。
「沈んだ顔のときがあるし……訳ありの恋愛なんかしてないよね?」
心配そうな山田先輩が紡ぐ次の言葉を何気なく聞きながらお箸に手を伸ばした。その辺のおつまみでも口に放り込んで、黙ってしまおうなんて企んで。
「不倫とか……」
不穏な単語に、カシャンとお箸を取り落としてしまった。
「……」
思わず黙り込んでしまう。横山先輩が、顔を真っ赤に染めて大声で話す隣からの絡みを適当に流しながら、面白そうにこちらを見やるのに少しムッとした。
「ちょっと!美夜ちゃん、まさか本当に不倫……」
「いや、してませんっ!」
あわてて否定する。
「その割には動揺が隠せてないけど」
横山先輩が、山田先輩の彼氏じゃなくて、かつ同級生だったら。手近なおしぼりでも投げつけてやるのに。
「ただ……片想いしているだけです。その人には、好きな人がいるので……」
どんどん声が小さくなる。今日は坂本くんに会うから、浮かれないように平静を装わなければならないのに。
沈んだ顔を隠さないといけないかもしれない。
「そっか。長いの?片想い」
まるで姉かなにかのように優しい声で、労わるように、これまた困る質問を投げかける。テーブルの向こう側から身を乗り出して聞いてきたので、広めの襟ぐりから谷間がちらりと覗く。
横山先輩は、山田先輩のこんな服装に嫉妬なんてしないんだろうか。
「……4年、くらいです」
「えっ?4年?高校のときから?」
山田先輩より先に男性の声が返ってきた。年数に驚いたのは、山田先輩よりむしろ横山先輩の方だったようだ。
「いや、あれ?4年?俺、てっきり……」
今時4年も片想いする、そんな女の子なんていないんだろうか?
「やーん。純愛!じゃあ、私たちの知らない人ね?そのうち、振り向いてくれるかもだし、もう少し頑張ってみたら?」
何が山田先輩のトキメキスイッチを押したのかわからないけど、横山先輩の左腕をバシバシ叩きながらそんなことを言う。
その年月に、諦めきれない気持ちを感じ取ったのかもしれない。
「先輩たちは、どれくらいお付き合いされてるんですか?」
なぜか解せない顔をしてしきりに首を傾げていた横山先輩は、さっと視線を酔っ払いの友人に合わせた。
あからさまに逃げた彼氏を気にとめる風でもなく、美人彼女が指を追って数え出した。話が逸れそうで安心した。
言えるわけがない。二人もよくご存知のあの人ですよ、なんて。
りこちゃんに想いを寄せる坂本くんを、高校の頃から好きなんですよ、なんて。
サークルの飲みの席で、斜向かいから声をかけられた。
「いないって聞いてるけど、合コンに出るわけでもないし……」
綺麗なデコルテに、彼氏さんにもらったネックレスが光っている。山田先輩は、色っぽいけど品がある。胸のボリュームも羨ましい。
その彼氏さんは、私の目の前に座っている横山先輩。山田先輩とは反対側に座る友人と話していたけれど、ちらりとこちらに視線を流した。
「トラブルにならないなら、サークル内で出来上がってもいいんだぞ」
友人との会話の合間に、そんなことを言ってくる。
一瞬坂本くんの顔が浮かんだ自分の浅ましさに辟易した。
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心配そうな山田先輩が紡ぐ次の言葉を何気なく聞きながらお箸に手を伸ばした。その辺のおつまみでも口に放り込んで、黙ってしまおうなんて企んで。
「不倫とか……」
不穏な単語に、カシャンとお箸を取り落としてしまった。
「……」
思わず黙り込んでしまう。横山先輩が、顔を真っ赤に染めて大声で話す隣からの絡みを適当に流しながら、面白そうにこちらを見やるのに少しムッとした。
「ちょっと!美夜ちゃん、まさか本当に不倫……」
「いや、してませんっ!」
あわてて否定する。
「その割には動揺が隠せてないけど」
横山先輩が、山田先輩の彼氏じゃなくて、かつ同級生だったら。手近なおしぼりでも投げつけてやるのに。
「ただ……片想いしているだけです。その人には、好きな人がいるので……」
どんどん声が小さくなる。今日は坂本くんに会うから、浮かれないように平静を装わなければならないのに。
沈んだ顔を隠さないといけないかもしれない。
「そっか。長いの?片想い」
まるで姉かなにかのように優しい声で、労わるように、これまた困る質問を投げかける。テーブルの向こう側から身を乗り出して聞いてきたので、広めの襟ぐりから谷間がちらりと覗く。
横山先輩は、山田先輩のこんな服装に嫉妬なんてしないんだろうか。
「……4年、くらいです」
「えっ?4年?高校のときから?」
山田先輩より先に男性の声が返ってきた。年数に驚いたのは、山田先輩よりむしろ横山先輩の方だったようだ。
「いや、あれ?4年?俺、てっきり……」
今時4年も片想いする、そんな女の子なんていないんだろうか?
「やーん。純愛!じゃあ、私たちの知らない人ね?そのうち、振り向いてくれるかもだし、もう少し頑張ってみたら?」
何が山田先輩のトキメキスイッチを押したのかわからないけど、横山先輩の左腕をバシバシ叩きながらそんなことを言う。
その年月に、諦めきれない気持ちを感じ取ったのかもしれない。
「先輩たちは、どれくらいお付き合いされてるんですか?」
なぜか解せない顔をしてしきりに首を傾げていた横山先輩は、さっと視線を酔っ払いの友人に合わせた。
あからさまに逃げた彼氏を気にとめる風でもなく、美人彼女が指を追って数え出した。話が逸れそうで安心した。
言えるわけがない。二人もよくご存知のあの人ですよ、なんて。
りこちゃんに想いを寄せる坂本くんを、高校の頃から好きなんですよ、なんて。
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