33 / 113
彼女の片想い***
ダメ、絶対。3
しおりを挟む
うつ伏せでぐったりしている間、とても辛かった。
体の辛さだけじゃなくて坂本くんの態度も。
顔だけ横に向けて伏せているので、何度も露わになった左頬にキスしたり。
ずうっと、髪を撫でたり梳いたり指に絡めたり。
飽くことなく、赤い花に指を這わせたり。
いつもだって髪を触ったりするのだけど、誰のことを想っているのかが怖くて、急いで浴室に逃げ込んでいた。
そんな元気が今日はなかったので、されるがまま。
それが余程嬉しかったのか、飽きずに触れられまくった。
「美夜ちゃん、大丈夫?」
「……大丈夫じゃない」
クスッと笑って、髪をくるくると弄ぶ。
「美夜ちゃん、気持ちよかった?」
「……あちこち痛い」
クスクスと楽しげな様子が耳に届く。
「美夜ちゃん、かわいい」
「……名前、呼ばないで」
ふと、耳に忍び込んでいた笑い声が止んだ。
坂本くんが機嫌を悪くしたのかと思って、体を少しだけ浮かせて仰ぎ見た。
坂本くんは、泣きそうな顔をしていた。
「坂本くん?」
「……ちがう。拓眞」
静かだったけど、それは悲鳴のようだった。
なんとなく、今間違ってはいけないと思った。
「たく、ま。……くん?」
何も分からなくなる、行為の最中以外で名前を呼んだのは初めてだった。
坂本くんは、さっきよりずっと泣きそうな顔をして、覆いかぶさるみたいに私を閉じ込めて抱きしめた。
体重はかけないようにしてくれているらしく、意地悪なのに優しい坂本くんに、私も胸がキュッと切なくなった。
「もっと。名前呼んで」
自分にも手が届くんだと勘違いしてしまいそうで、本当は名前呼びたくない。
でも。今は、呼んであげなきゃいけない気がした。
「拓眞、くん」
そう言って、頑張って体を動かして寝返りを打った。
閉じ込められていたけれど、途中でもぞもぞと動く意図がわかったのか力を緩めてくれた。
うつ伏せから仰向けになって、坂本くんと向かい合う。
まだ坂本くんは、何かを耐えるみたいな顔をしていた。
「拓眞……くん」
もう一回小さく呼ぶと『もっと』を繰り返す。
気だるい腕を寝具から出して、その上から私を抱きしめる坂本くんに両腕を差し出す。
泣きそうな顔の頭ごとそっと絡めて引き寄せた。
大人しくされるがままの彼の耳に、唇を寄せて名前を呼ぶ。
坂本くんが、グリグリと私の肩に鼻先を擦り付けるようにした。
なんか、かわいい。
いつもは翻弄されるだけだけど、今日は坂本くんが年下の男の子のようだ。
「何か、あったの?さ……あ、た、拓眞くん?」
顔を上げない彼を、慰めてあげたくなった。
どうしていいか分からないまま、坂本くんが私にするみたいに髪を撫でたり梳いたりした。
それでもすることがなくなって……ちょっと体をずらして、坂本くんがさっき何回もしてきたように頬に唇を寄せた。
しばらく止まっていた坂本くんが、急に身を起こした。
目を見開いて、私を見下ろすけど、近すぎて瞳に私が映ってる。
「美夜ちゃん、今ほっぺにキスしたっ!?」
なんで改めて聞くの?そこは流してくれてもいいと思う。
自分でも、真っ赤になるのがわかったけど、泣きそうな顔がやっとなりを潜めて、少し元気になった坂本くんを見たかったから顔はそらさなかった。
その赤面を肯定ととった坂本くんの頬も、一気に赤く色付くのを見て不思議に思う。
どうして坂本くんも赤くなるんだろう?
私のことを、少しは好きかもなんて、心が騒ぐ。
自分自身の自惚れを諭すのに、今回はいつもより時間がかかりそうだなって、そう思った。
体の辛さだけじゃなくて坂本くんの態度も。
顔だけ横に向けて伏せているので、何度も露わになった左頬にキスしたり。
ずうっと、髪を撫でたり梳いたり指に絡めたり。
飽くことなく、赤い花に指を這わせたり。
いつもだって髪を触ったりするのだけど、誰のことを想っているのかが怖くて、急いで浴室に逃げ込んでいた。
そんな元気が今日はなかったので、されるがまま。
それが余程嬉しかったのか、飽きずに触れられまくった。
「美夜ちゃん、大丈夫?」
「……大丈夫じゃない」
クスッと笑って、髪をくるくると弄ぶ。
「美夜ちゃん、気持ちよかった?」
「……あちこち痛い」
クスクスと楽しげな様子が耳に届く。
「美夜ちゃん、かわいい」
「……名前、呼ばないで」
ふと、耳に忍び込んでいた笑い声が止んだ。
坂本くんが機嫌を悪くしたのかと思って、体を少しだけ浮かせて仰ぎ見た。
坂本くんは、泣きそうな顔をしていた。
「坂本くん?」
「……ちがう。拓眞」
静かだったけど、それは悲鳴のようだった。
なんとなく、今間違ってはいけないと思った。
「たく、ま。……くん?」
何も分からなくなる、行為の最中以外で名前を呼んだのは初めてだった。
坂本くんは、さっきよりずっと泣きそうな顔をして、覆いかぶさるみたいに私を閉じ込めて抱きしめた。
体重はかけないようにしてくれているらしく、意地悪なのに優しい坂本くんに、私も胸がキュッと切なくなった。
「もっと。名前呼んで」
自分にも手が届くんだと勘違いしてしまいそうで、本当は名前呼びたくない。
でも。今は、呼んであげなきゃいけない気がした。
「拓眞、くん」
そう言って、頑張って体を動かして寝返りを打った。
閉じ込められていたけれど、途中でもぞもぞと動く意図がわかったのか力を緩めてくれた。
うつ伏せから仰向けになって、坂本くんと向かい合う。
まだ坂本くんは、何かを耐えるみたいな顔をしていた。
「拓眞……くん」
もう一回小さく呼ぶと『もっと』を繰り返す。
気だるい腕を寝具から出して、その上から私を抱きしめる坂本くんに両腕を差し出す。
泣きそうな顔の頭ごとそっと絡めて引き寄せた。
大人しくされるがままの彼の耳に、唇を寄せて名前を呼ぶ。
坂本くんが、グリグリと私の肩に鼻先を擦り付けるようにした。
なんか、かわいい。
いつもは翻弄されるだけだけど、今日は坂本くんが年下の男の子のようだ。
「何か、あったの?さ……あ、た、拓眞くん?」
顔を上げない彼を、慰めてあげたくなった。
どうしていいか分からないまま、坂本くんが私にするみたいに髪を撫でたり梳いたりした。
それでもすることがなくなって……ちょっと体をずらして、坂本くんがさっき何回もしてきたように頬に唇を寄せた。
しばらく止まっていた坂本くんが、急に身を起こした。
目を見開いて、私を見下ろすけど、近すぎて瞳に私が映ってる。
「美夜ちゃん、今ほっぺにキスしたっ!?」
なんで改めて聞くの?そこは流してくれてもいいと思う。
自分でも、真っ赤になるのがわかったけど、泣きそうな顔がやっとなりを潜めて、少し元気になった坂本くんを見たかったから顔はそらさなかった。
その赤面を肯定ととった坂本くんの頬も、一気に赤く色付くのを見て不思議に思う。
どうして坂本くんも赤くなるんだろう?
私のことを、少しは好きかもなんて、心が騒ぐ。
自分自身の自惚れを諭すのに、今回はいつもより時間がかかりそうだなって、そう思った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる