38 / 113
彼の片想い***
名前呼んで。2
しおりを挟む
美夜ちゃんを怯えさせたくないのに、怒気を抑えられないまま部屋に到着してしまった。
彼女が好きだというその相手を問い詰めてしまわないように、駅まで向かう途中に平静を取り戻したと言うのに。
デート気分を味わえるかもなんて淡い期待すらして、むしろ機嫌よく美夜ちゃんの向かいに座るはずだったのに。
気を遣わせて、美夜ちゃんにたくさんしゃべらせてしまった。
その内容すら邪推して、独占欲が後から湧き出る。
美夜ちゃんが嫌がってるのを知っていて、手まで繋いで離さないでいる。
部屋のカギを開ける時、ずっと前から用意していた合鍵の存在を思い出した。
2回目の夜を過ごした次の日、すぐに用意した合鍵。
あまりに急ぎすぎては逃してしまうと思って、5回目の逢瀬を数えて渡した。
もちろん受け取ってもらえなかった。その後も、数回。
そのことを思い出してるうちに、隙あらば逃げようとしていた美夜ちゃんの手が、そっと逃亡をはかる。
あわてて繋ぎとめた。
「……合い鍵渡すから、今度から部屋で待って」
美夜ちゃんの手に、強張ったような力がこもった。
「……イヤ。……絶対」
また、お得意の拒絶の言葉。
そしてまた、お決まりの『絶対』だ。
たまらなくなって、苛立ちと悲痛をぶつけるように玄関で彼女を強く抱きしめた。
片手ではかき抱きにくいけど、恋人のように絡めた指を解くのは惜しかった。
美夜ちゃんが、ドリンクのカップを気にしたのがわかったので、自分の背中にあるシューズボックスの上に邪魔者を片付ける。
吸い込んだ優しい香りは、クラクラとめまいを感じるくらいで、理性が欲望を抑えきれない。
美夜ちゃんが僕の胸を押し退けようと、弱々しい力で抵抗を試みている。
わがままなお姫様だ。
「……しばらくこのままがいい。手、後ろに回して」
絶句して動かない美夜ちゃんに構わず頬に口づけた。
いっそ唇を奪ってしまいたかったけど、なんとかこらえて耳を犯す。
「ふっ……ん、やぁ……」
好きな人のこんな声を聞いて、かわいい耳を口に咥えて、ついには背中に手を回させることに成功して。
美夜ちゃんを味わうにはふさわしくない場所だとしても、とてもやめる気にはならない。
「さか、も……くん……もぅ、やぁ……」
唇を噛んで、それでもがまんできずにいやらしい吐息の合間に非難めいた言葉を漏らす美夜ちゃんの理性も…ドロドロに溶けちゃえばいい。
耳に頬に首筋にと存分に味わって、誘惑に負けて見えるところに強く吸い付いて赤い花を散らした。
綺麗について満足して、笑みが漏れたのが自分でもわかる。
もちろん、美夜ちゃんが行為の跡をつけられるのを嫌ってるのは知ってるけど。
かまうものか。
美夜ちゃんには、こんなことをする相手がいるって。それが、僕だって。
本当はいつでも、すべての人にだって言ってやりたいくらいなのだ。
案の定、ちょっとご機嫌ナナメに、そしてだいぶ困ったように、僕の大事な人がそれをたしなめた。
美夜ちゃんはいつもキスマークを嫌がる。
考えたくないけれど、見られたくない人でもいるのだろうか?
「だれか、見られたくない人でもいるの?」
そう問えば、当たり前と言わんばかりの顔で、でも答えは口にしない。
「ねえ、だれに見られたくないの?」
手を繋いで、美夜ちゃんの体重を預かって、跡をつけて。
全部僕に与えられた特権だと思いたいのに、1番欲しい美夜ちゃんの心が手に入らない。
「さ、かもと……くん、もう少し、はなれ……」
互いの鼻をすり合わせて、唇も、触れてしまいそうな距離で、ただただ自分の願望を美夜ちゃんに告げる。
「キスしたい」
瞳を閉じて欲しい。
顔を傾けて、そっと唇を緩めて欲しい。
僕の指に、唇に、気持ち良さそうに答えるくせに。
好きな人としかしないというキスを、いつまでたっても許されない。
僕を、まだ好きじゃないの?
なぜ、君を好きな哀れな僕に、キス以外を許すの?
ねえ、美夜ちゃん。ねえ……
「……美夜ちゃん、好きな人がいるって本当?」
彼女が好きだというその相手を問い詰めてしまわないように、駅まで向かう途中に平静を取り戻したと言うのに。
デート気分を味わえるかもなんて淡い期待すらして、むしろ機嫌よく美夜ちゃんの向かいに座るはずだったのに。
気を遣わせて、美夜ちゃんにたくさんしゃべらせてしまった。
その内容すら邪推して、独占欲が後から湧き出る。
美夜ちゃんが嫌がってるのを知っていて、手まで繋いで離さないでいる。
部屋のカギを開ける時、ずっと前から用意していた合鍵の存在を思い出した。
2回目の夜を過ごした次の日、すぐに用意した合鍵。
あまりに急ぎすぎては逃してしまうと思って、5回目の逢瀬を数えて渡した。
もちろん受け取ってもらえなかった。その後も、数回。
そのことを思い出してるうちに、隙あらば逃げようとしていた美夜ちゃんの手が、そっと逃亡をはかる。
あわてて繋ぎとめた。
「……合い鍵渡すから、今度から部屋で待って」
美夜ちゃんの手に、強張ったような力がこもった。
「……イヤ。……絶対」
また、お得意の拒絶の言葉。
そしてまた、お決まりの『絶対』だ。
たまらなくなって、苛立ちと悲痛をぶつけるように玄関で彼女を強く抱きしめた。
片手ではかき抱きにくいけど、恋人のように絡めた指を解くのは惜しかった。
美夜ちゃんが、ドリンクのカップを気にしたのがわかったので、自分の背中にあるシューズボックスの上に邪魔者を片付ける。
吸い込んだ優しい香りは、クラクラとめまいを感じるくらいで、理性が欲望を抑えきれない。
美夜ちゃんが僕の胸を押し退けようと、弱々しい力で抵抗を試みている。
わがままなお姫様だ。
「……しばらくこのままがいい。手、後ろに回して」
絶句して動かない美夜ちゃんに構わず頬に口づけた。
いっそ唇を奪ってしまいたかったけど、なんとかこらえて耳を犯す。
「ふっ……ん、やぁ……」
好きな人のこんな声を聞いて、かわいい耳を口に咥えて、ついには背中に手を回させることに成功して。
美夜ちゃんを味わうにはふさわしくない場所だとしても、とてもやめる気にはならない。
「さか、も……くん……もぅ、やぁ……」
唇を噛んで、それでもがまんできずにいやらしい吐息の合間に非難めいた言葉を漏らす美夜ちゃんの理性も…ドロドロに溶けちゃえばいい。
耳に頬に首筋にと存分に味わって、誘惑に負けて見えるところに強く吸い付いて赤い花を散らした。
綺麗について満足して、笑みが漏れたのが自分でもわかる。
もちろん、美夜ちゃんが行為の跡をつけられるのを嫌ってるのは知ってるけど。
かまうものか。
美夜ちゃんには、こんなことをする相手がいるって。それが、僕だって。
本当はいつでも、すべての人にだって言ってやりたいくらいなのだ。
案の定、ちょっとご機嫌ナナメに、そしてだいぶ困ったように、僕の大事な人がそれをたしなめた。
美夜ちゃんはいつもキスマークを嫌がる。
考えたくないけれど、見られたくない人でもいるのだろうか?
「だれか、見られたくない人でもいるの?」
そう問えば、当たり前と言わんばかりの顔で、でも答えは口にしない。
「ねえ、だれに見られたくないの?」
手を繋いで、美夜ちゃんの体重を預かって、跡をつけて。
全部僕に与えられた特権だと思いたいのに、1番欲しい美夜ちゃんの心が手に入らない。
「さ、かもと……くん、もう少し、はなれ……」
互いの鼻をすり合わせて、唇も、触れてしまいそうな距離で、ただただ自分の願望を美夜ちゃんに告げる。
「キスしたい」
瞳を閉じて欲しい。
顔を傾けて、そっと唇を緩めて欲しい。
僕の指に、唇に、気持ち良さそうに答えるくせに。
好きな人としかしないというキスを、いつまでたっても許されない。
僕を、まだ好きじゃないの?
なぜ、君を好きな哀れな僕に、キス以外を許すの?
ねえ、美夜ちゃん。ねえ……
「……美夜ちゃん、好きな人がいるって本当?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる