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彼の片想い***
名前呼んで。3
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目を見開いて、体を強張らせた美夜ちゃんに、それが真実だと知る。
「そいつとなら……キスするの?」
「そいつとなら……朝まですごす?」
「そいつなら、跡つけても嫌がられない?」
そんな権利、最初から与えられていないのに、尋問のように美夜ちゃんを責めてしまう。
一度目をつぶったら、美夜ちゃんが消えてしまうような錯覚に囚われて、あわてて視線を合わせて、顔を傾けて。
つい顔を近づけて、うっかりキスしようとしたら、今度は美夜ちゃんが怯えるようにギュッと目を閉じた。
寸前で理性を立て直して、唇の端にギリギリ触れないくらいのきわどい位置に口付けた。
そのまま、また、首筋の赤い花を重ねてキツく吸う。
薄い印じゃ、満足できない。
全ての人に知らしめたい。
赤い花というよりもむしろ、痛々しい内出血となって白い肌に浮かび上がるその様子に満足していたのに。
「やめて……跡、つけないで……」
尚も嫌がる想い人の態度が気に入らない。
「最初と、ずいぶん違うね」
思い出して、胸が軋んだ。
「さいしょの、最初。酔ってたけど……ちゃんと覚えてるよ」
首筋に浮かび上がる所有の印を確かめるようになでながら思い出す。
あの時は『やめないで』って言っていた。
そう、初めての、夢のような……でも、夢じゃなかった一夜。
いつもみている夢は、名前を呼ぶと目が覚めてしまうから、それもがまんした。
目が覚めないようにそっと触っていたけど、それでも痛がる美夜ちゃんに、奥までの侵入を拒む感触に、酔った意識が晴れていった。
狭いナカに、涙の味に、夢じゃないと気づいた。
優しく触れていた自覚はあったけど、それでも夢が覚めないようにと早急に推し進めていた自分本意な行為を恥じた。
あわてて美夜ちゃんの身体から引き抜こうとしたけど、爪が食い込むくらいの強さで腕に縋られ請われた。
『いた……い……で、も……やめないで……』
僕がどんなに歓喜したか、美夜ちゃんには想像もできないと思う。
『……うれ、しい』
だから、そのあとに聞こえた気がする美夜ちゃんの言葉は、都合のいい幻聴だったんだと思う。
ただ受け入れてるだけじゃなくて……美夜ちゃんも、この行為を望んでいますようにと願った、僕の願望の現れに過ぎなかったんだと思う。
うれしくて、感動すらしたあの日の自分が、まるで踏みにじられたようなみじめさが襲う。
その『好きな人』を想って抱かれたの?
ずっと、そいつの代わりにしてるの?
そう尋ねながらも、返事は聞きたくなかった。
今まで、この関係をひた隠しにする美夜ちゃんに不満がなかったわけじゃない。
がまんできていたのは、自分が1番美夜ちゃんの近くにいると思っていたからだ。
僕のことを『嫌いじゃなくても好きじゃない』程度にしか思ってなくても、その心に他の誰かが住んでるわけじゃないって思ってた。
それが、それだけが僕の均衡を保っていたのに。
「美夜ちゃんの好きな奴って、誰?どんな奴?」
美夜ちゃんの形のいい唇が、うそでも『坂本くん』って形取られないかと期待してしまう。
だけど、こわくて顔は見られないまま、耳に口を寄せては詰問する。
「ずっと、体を繋げてる間、俺のことなんて考えてもいないの?」
そう口にして、久しぶりに『俺』って言ってるとぼんやり思った。
言いたいことを、理性が止めぬままぶつけていたら、美夜ちゃんが身じろぎした。
言葉を発するのかと思って覚悟を決めた。
でも、ダメージを与えたのは言葉の力じゃなくて、もっと直接的なものだった。
「いっ!……たぁ」
噛まれた。かなり、思いっきり。
「そいつとなら……キスするの?」
「そいつとなら……朝まですごす?」
「そいつなら、跡つけても嫌がられない?」
そんな権利、最初から与えられていないのに、尋問のように美夜ちゃんを責めてしまう。
一度目をつぶったら、美夜ちゃんが消えてしまうような錯覚に囚われて、あわてて視線を合わせて、顔を傾けて。
つい顔を近づけて、うっかりキスしようとしたら、今度は美夜ちゃんが怯えるようにギュッと目を閉じた。
寸前で理性を立て直して、唇の端にギリギリ触れないくらいのきわどい位置に口付けた。
そのまま、また、首筋の赤い花を重ねてキツく吸う。
薄い印じゃ、満足できない。
全ての人に知らしめたい。
赤い花というよりもむしろ、痛々しい内出血となって白い肌に浮かび上がるその様子に満足していたのに。
「やめて……跡、つけないで……」
尚も嫌がる想い人の態度が気に入らない。
「最初と、ずいぶん違うね」
思い出して、胸が軋んだ。
「さいしょの、最初。酔ってたけど……ちゃんと覚えてるよ」
首筋に浮かび上がる所有の印を確かめるようになでながら思い出す。
あの時は『やめないで』って言っていた。
そう、初めての、夢のような……でも、夢じゃなかった一夜。
いつもみている夢は、名前を呼ぶと目が覚めてしまうから、それもがまんした。
目が覚めないようにそっと触っていたけど、それでも痛がる美夜ちゃんに、奥までの侵入を拒む感触に、酔った意識が晴れていった。
狭いナカに、涙の味に、夢じゃないと気づいた。
優しく触れていた自覚はあったけど、それでも夢が覚めないようにと早急に推し進めていた自分本意な行為を恥じた。
あわてて美夜ちゃんの身体から引き抜こうとしたけど、爪が食い込むくらいの強さで腕に縋られ請われた。
『いた……い……で、も……やめないで……』
僕がどんなに歓喜したか、美夜ちゃんには想像もできないと思う。
『……うれ、しい』
だから、そのあとに聞こえた気がする美夜ちゃんの言葉は、都合のいい幻聴だったんだと思う。
ただ受け入れてるだけじゃなくて……美夜ちゃんも、この行為を望んでいますようにと願った、僕の願望の現れに過ぎなかったんだと思う。
うれしくて、感動すらしたあの日の自分が、まるで踏みにじられたようなみじめさが襲う。
その『好きな人』を想って抱かれたの?
ずっと、そいつの代わりにしてるの?
そう尋ねながらも、返事は聞きたくなかった。
今まで、この関係をひた隠しにする美夜ちゃんに不満がなかったわけじゃない。
がまんできていたのは、自分が1番美夜ちゃんの近くにいると思っていたからだ。
僕のことを『嫌いじゃなくても好きじゃない』程度にしか思ってなくても、その心に他の誰かが住んでるわけじゃないって思ってた。
それが、それだけが僕の均衡を保っていたのに。
「美夜ちゃんの好きな奴って、誰?どんな奴?」
美夜ちゃんの形のいい唇が、うそでも『坂本くん』って形取られないかと期待してしまう。
だけど、こわくて顔は見られないまま、耳に口を寄せては詰問する。
「ずっと、体を繋げてる間、俺のことなんて考えてもいないの?」
そう口にして、久しぶりに『俺』って言ってるとぼんやり思った。
言いたいことを、理性が止めぬままぶつけていたら、美夜ちゃんが身じろぎした。
言葉を発するのかと思って覚悟を決めた。
でも、ダメージを与えたのは言葉の力じゃなくて、もっと直接的なものだった。
「いっ!……たぁ」
噛まれた。かなり、思いっきり。
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