絶対、イヤ。絶対、ダメ。

高宮碧稀

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彼の片想い***

名前呼んで。4

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もちろんびっくりもしたけど、それ以上に強い物理的な痛みに驚いて美夜ちゃんを支えていた手を緩めてしまった。
あわてて支え直したけど、あまりの痛みに繋いだ手を離して耳に手をやろうと試みて……美夜ちゃんに阻まれて失敗した。
美夜ちゃんから離したがっていたその手を、今度は繋ぎ止められたことが胸を騒がせて、自分でも重症だなって思う。
そんな彼女は、僕が痛がる様子を『いい気味』って感じの顔でじっと見つめている。その瞳には、怒りの色さえ滲ませて。
「坂本くんなんて……」
感情が静かに高ぶっているようで、声が震えていた。
『きらい』って言われるのかと思った。
でも、涙が見る間に盛り上がってあふれそうになる瞳を、誤魔化すように下を向いて、長い沈黙の後。
『バカ』って。小さくそれだけつぶやかれた。

誰か好きな人がいる美夜ちゃんに、今嫌われたら……軽く壊れる自信がある。
安堵のため息が細く唇からもれた。
しかも、そう言われて怒ったり、涙を浮かべるってことは、不本意ってことかもしれない。
それって……それってさ。
「それって、少しは……僕のこと考えてるってこと?」
僕に、抱かれているその瞬間に?
その問いに返されたのは、全てを払拭するくらい破壊力があるものだった。

「……他に……何も、考えられないくらい激しくスルくせに」

……ああ、もう。
涙目で赤くなって。すねた表情で、唇を不満そうに少しだけ突き出して。上目遣いで、とんでもないことを言ってくれる。
美夜ちゃんは、煽るのも、ねだるのも、振り回すのも上手い。
惚れた弱みだなんて言葉があるけれど、それにしたって僕の機嫌を左右させることに長けすぎている。
玄関先の、こんなところでは、全然足りない。
くまなく触れて、舐めて、甘くかじって、味わって、啼かせて、蹂躙して、食べ尽くして。
ナカまで埋めて、こすって、推し広げて、えぐって、突いて、揺すって、膜越しに爆ぜて。
とにかく、ありとあらゆる方法で、さらに僕のことしか考えられないようにしなくては。

両足の間に差し入れていた太ももを引き抜いて、美夜ちゃんを強引に促してベッドに雪崩れ込む。
シャワーなんて、後回し。美夜ちゃんを味わい尽くしてからだ。
美夜ちゃんが戸惑ってるのがわかるけど、だからこそなのか抵抗が弱々しい。
それを幸いと、難なくベッドに押し倒して……叶わない願いを口にした。
「キス、したい」
お決まりの拒絶の言葉を、焦がれるほど求めているその唇に紡がれるかと思った。
でも実際は、顔を背けてもっとと言わんばかりに首筋の束縛の印を差し出す。
単にキスを拒まれただけなんだけど、無理矢理そう思うことにして何度もそこを舐めたり吸ったりした。

美夜ちゃんの服を完全に剥ぎ取って、安堵する。
自分以外の男がつけた跡がないってことと、これで本当にしばらくはこの部屋にとどまってくれるという事実。
そして、今日も肌に触れることを許されてるっていうことに。
美夜ちゃんの服を1枚1枚脱がせながら、いてしまわないように最新の注意をして、その工程が終わるたびに毎回ちょっと感動してる。
そんな浅はかで滑稽で、そして憐れな自分には目をつぶって手を滑らせた。

首筋、鎖骨、肩、腕から指先まで、全部に口づけて、胸を掬って自在に形を変える。
指の間からふるりと震えながらも主張する胸の先を、そっと掠めるとピクンッと跳ねる。
いちいち可愛すぎるその様子に、たまらず口に含んで、決まり事みたいに顔色を伺った。
いつも通り顔を赤らめて、困った表情を浮かべて、でもトロリとした快感が瞳の奥からうかがえる。
でも今日は、瞳からあふれた涙が組み敷かれているせいで横に流れて耳に伝う。
生理的な涙なのか、先ほど瞳を占めていた涙なのか……新たに生まれた、拒絶の現れなのか。
「……イヤ?」
肯定されても、ぶっ壊れて美夜ちゃんを手酷く扱わないように自戒しながら。
静かに尋ねた。
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