祝福されし太陽の神子と夜の従者の最期

伊藤クロエ

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祝福されし太陽の神子の役目

15 トナティルの声 ★

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「う、ぐ……っ」

 さらけ出されたモノはどれも恐ろしいほど赤黒くガチガチに勃起していた。パンパンに張り詰めた亀頭からは先走りさえ垂れている。こみ上げる吐き気に俺は両手で口を押さえた。

「さあトナティル。四人選べ。そなたの**の七日間を彩る、神より下されし花婿たちだ」

 こいつは何を言ってるんだ、冗談じゃない。そう口走りそうになるのを必死にこらえてさらに後ずさると、後ろにいたアトラにぶつかる。俺は彼に背中を押し付けてぎゅっと目を瞑った。

「どうやらまだプルケが足りぬようだ。そう、今度は神に捧げるための、そちらの壺を」

 突然、いくつもの手が伸びて来て俺の腕や顔や肩を掴む。そしてまたあの大きな杯から口に酒を注がれた。

「っう、ぅ、ぐ…………っふ、っ」

 今まで飲まされたものよりずっと強い酒が喉から腹へ落ちていく。まただ、そんな気などあるわけないのにまた勃起している。なんで!? なんでそんな!

「ヒッ」

 女たちがなぜかギンギンに勃ったペニスにプルケを注ぐ。まるで尿道口から麻薬でも流し込まれたかのように陰嚢の奥がカッと熱を持ち、思わず背筋が反り返った。熱い。熱い。なんだこれ、いやだ、どうして……!? さらに酒を飲ませようとしてくる誰かの手から必死に顔を背ける。だめだ、トナティルのふりをしなきゃ。もっと堂々として、こんなことなんでもないみたいに。

「さあ選べ、トナティル」

 ドクドクと高鳴る心臓が痛い。股間のモノは限界まで反り返ってとろとろと涎を零している。ああ、いやだ、ペニスだけじゃなくて全身が熱くてゾクゾクして死ぬほどもどかしい。

「っぁ、…………っ、……ぁ……っ!」

 口から悩ましい吐息と声がこぼれる。もう自分で自分をコントロールできない。
 はやく、めちゃくちゃに扱きたくてたまらない。誰か、誰でもいい、どうにかして、イかせて。刺激や愛撫が欲しくて欲しくて腰が揺れる。
 口から涎を垂らし、勃起した凶器を振りかざして男たちが近づいてくる。彼らのハアハアと荒い息遣いが聞こえるほど近くに。なにを、一体なにをするつもりで、いやだ、トナティル、今こそ出て来てくれよ、俺を助けて、

「い、いや、だ…………ッ!」

 そう叫ぶ前に、またアトラの手で口を塞がれた。顔の下半分をピッタリと覆われて、息苦しいはずなのになぜかひどく安心する。震える身体をアトラがぎゅっと抱きしめてくれた。熱くて大きくて分厚い身体に包み込まれて、どっと涙が出そうになる。

「アトラだ」

 そうだ、アトラがいい。
 震える声が勝手に口から飛び出す。
 アトラだ。トナティルはアトラを選んだ。俺だって、誰かを選ぶなら絶対にアトラがいい。

「トナティルはアトラを選んだ」

 わけもわからず思いついた言葉をただ吐き出す。するとアトラの腕がさらに強く俺を抱きしめた。俺を見る祭司長の顔は無表情に近くて、彼が俺の言葉をどう思ったのかはわからない。

「……なるほど、今代の**は余程おのれの従者を気に入っているようだ」

 祭司長はそう言うと、傍らの男に何かを命じた。そして溢れそうなほどに酒が注がれた杯を俺たちのところに持って来た。俺はアトラの腕の中で恐る恐るそれを眺める。
 何をするんだろう。また俺があれを飲まないといけないのか。でももう頭がくらくらしすぎて何も考えられない。手だって動かせない。朦朧としながら見ていると、俺の目の前でアトラが杯を受け取った。そしてあんなにたっぷりと注がれた杯を一気に煽る。すごい、あれだけの量を簡単に飲み干してしまった。アトラの見事な飲みっぷりに思わずぼーっと見惚れていると、祭司長が再び白い酒で杯を満たした。アトラはそれを口に含むと、俺を仰向かせて口移しに注ぎ込む。甘くてとろとろとした白い酒が俺の口を満たし、喉を通り、腹に落ちた。プルケは俺の腹の奥にたまらない熱を生み、俺の中でとぐろを巻いている疼きをさらに煽り立てた。

「んっ、っふ、ぁ、あ…………っ」

 昨日と同じように、俺はアトラの愛撫を受け入れる。アトラは俺を抱きしめたまま、反対の手で射精してもしても満足できない俺のモノを扱き、くびれをなぞり、くぱくぱと開閉する小さな穴をこね回した。その度に俺は泣いて喘いであの杯に白濁を滴らせる。
 まったく予想のつかない動きでもたらされる他人の愛撫はとてつもなく刺激的で、自分でするのとはまったく違う一方的で暴力的な快感に何度も何度もイかされた。

「あっ、っや、またイく、イっちゃう……っ!」

 そんな言葉が漏れそうになった時、突然柔らかくて弾力のある何かに口を塞がれた。そしてぬるり、と入り込んでくる温かな何か。それは俺の舌を絡め取り、歯列をなぞり、亀頭をぐりぐりと虐められて思わずのけぞった俺の悲鳴を飲み込んだ。
 これ、キスだ。キスしてるんだ。伸し掛かって来る重たい身体にしがみついて俺はぼんやりと悟る。太い指にくびれを挟まれながら先端を弄られて、射精できずにビクビクと痙攣している舌に優しく歯を立てられた。
 きもちいい。きもちいい。下も、上も、からだも、あたまも、どこもかしこもきもちよすぎてしんでしまいそう。

 限界まで精を吐かせられてぐったりとした俺をアトラが抱き上げる。
 この後何をさせられるのか、もうわかっていた。《夜の座》だ。《夜の座》は神を祀る特別な場所。偉大なる夜の神に捧げ物をするのだ。
 限界まで酒に浸かった脳はまともに動かず、祭司長の先導の元、荒い息と涙と涎を垂らしながらアトラに運ばれる。下ろされた敷物に這いつくばりペニスを床に擦り付けながら、俺はあの巨大な黒い石の鏡を見上げた。

 それは黒く輝く神の姿。神を表す器であり、敵を殺す武器にもなる黒の石。

「んっ、あっ、……っ」

 あれほど何度もイかされて搾り取られたのに身体の疼きと火照りがまだ冷めない。なんで、どうして。訳も分からず喘いでいる俺をアトラが抱き起す。
 黒い石の鏡の前で祭司長が高らかに声を上げた。

「見よ、今代の**はおのれの****を持ってその精と命を神に捧げる!」

 俺を腕に抱くアトラの顔は鋭くて強くて厳しい戦士のもので、揺るぎない強い眼差しで俺だけを見ていた。
 ああ、そうだ。アトラの目。何かに似てると思ってた。これだ。《夜の座》に祀られた、黒く輝く神の石。

――――だからオレはこいつを選んだのさ。

 トナティルがそれはそれは美しく微笑んでそう言うのが聞こえた気がした。

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