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大将 エリオット Ⅱ
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普段なら一杯の酒ぐらいでは酔いもしないのだが、あの酒の所為かそれとも疲れの所為なのか、エリオットは微かに頭の中が揺れているのを感じていた。
家は目の前にあるのに、入らずに外観をただ見ているエリオットは一見不審者の様に見えないでもないから、近くを通る獣人にチラリチラリと振り返り見られている。
以前は騎士団の独身寮に居て、職場も近いしご飯もいつでも食べれる様な楽な生活をしていたのだが、リオンを引き取る事を決断した時に小さいながらも一軒家を購入したエリオットだった。
本当は住む所など何も考えていなかったエリオットだが、妹達の死亡後の色々面倒な手続きや書類作成をノアが全て対応してくれた御礼も兼ねて。ノアお勧めの新婚家庭のような家に住む事になったのだ。外観はさておき、内装等は綺麗だし、かなり使い勝手も良い。住んでみるととても良い家なので、文句は無いのだが……エリオットの心の中は、別の事で少し複雑な状態みたいだ。
「あれ?お帰りなさい。何してるのそんな所に居ないで入ってくれば良いのに、エリオットさん」
カーテンを閉めようとして気付いたのだろう、窓からリオンが声を掛けてきた。
「ああ……ただいま、入るよ。だが、少し汚れててな風呂にそのまま行くから、近寄るなよ。リオンが汚れるぞ」
「はーい!わかった」
「ぜーったいに近寄るなよ」
「わかったってば!!」
エリオットは、そっと玄関を開けてそのまま奥にある浴室まで行こうとしたのだが、横から飛びついて来た塊を避ける事が出来ずに仕方なく抱き留めた。
「お前!だから来んなって言っただろうが!俺は汚いんだよ。野外にいて、風呂も入ってないんだぞ。早く降りろリオン」
「うん。汗臭いし、汚れまみれだね……それにお酒と女性の匂いもするね」
「それはな……一杯だけディランと飲んだんだよ。女は横に居ただけだ」
「うん、微かな匂いだからそうなんだろうね。前は偶に匂いをこびりつけての御帰宅もあったけど、最近は無い様だしね」
「うっ……兎に角俺は風呂に行きたいんだよ。降りろリオン!」
「僕も一緒に入ればいいじゃん」
「駄目だ。降りろリオン」
エリオットは離されまいと、纏わり付くリオンを力づくで引き剥がし、ストンと離して立たせた。
「俺が先はいるから、お前はその後入れよ。わかったな」
エリオットは返事も聞かずに、リオンを置いて素早い動きで浴室に入っていった。
「もう……何にエリオットさんは拘ってるんだろう。僕らは番でお互いにその事は住んですぐに判ってるのに……僕って拒まれてるんだよね。そりゃ未だ大人になりきれてないし、エリオットさんから見れば魅力も無いかもしれないけど、こうして出逢えたのは運命だと思ってるんだけどな……
お母さんからも、生前。好きな人ができたら一直線で突き進みなさいよ! チャンスは何度も巡って来ないのよ! 神様はね前髪しか無いんだから見えたら、力づくで掴むのよ。わかった! って何度も何度も言われてたから、僕も色々努力したり頑張ってるんだけど……難しいよ……お母さん。
それに……僕には両親しか知らない秘密があるから……エリオットさんにも言わないと駄目だよね……気持ち悪いって嫌われたらどうしようかな……エリオットさん……」
家は目の前にあるのに、入らずに外観をただ見ているエリオットは一見不審者の様に見えないでもないから、近くを通る獣人にチラリチラリと振り返り見られている。
以前は騎士団の独身寮に居て、職場も近いしご飯もいつでも食べれる様な楽な生活をしていたのだが、リオンを引き取る事を決断した時に小さいながらも一軒家を購入したエリオットだった。
本当は住む所など何も考えていなかったエリオットだが、妹達の死亡後の色々面倒な手続きや書類作成をノアが全て対応してくれた御礼も兼ねて。ノアお勧めの新婚家庭のような家に住む事になったのだ。外観はさておき、内装等は綺麗だし、かなり使い勝手も良い。住んでみるととても良い家なので、文句は無いのだが……エリオットの心の中は、別の事で少し複雑な状態みたいだ。
「あれ?お帰りなさい。何してるのそんな所に居ないで入ってくれば良いのに、エリオットさん」
カーテンを閉めようとして気付いたのだろう、窓からリオンが声を掛けてきた。
「ああ……ただいま、入るよ。だが、少し汚れててな風呂にそのまま行くから、近寄るなよ。リオンが汚れるぞ」
「はーい!わかった」
「ぜーったいに近寄るなよ」
「わかったってば!!」
エリオットは、そっと玄関を開けてそのまま奥にある浴室まで行こうとしたのだが、横から飛びついて来た塊を避ける事が出来ずに仕方なく抱き留めた。
「お前!だから来んなって言っただろうが!俺は汚いんだよ。野外にいて、風呂も入ってないんだぞ。早く降りろリオン」
「うん。汗臭いし、汚れまみれだね……それにお酒と女性の匂いもするね」
「それはな……一杯だけディランと飲んだんだよ。女は横に居ただけだ」
「うん、微かな匂いだからそうなんだろうね。前は偶に匂いをこびりつけての御帰宅もあったけど、最近は無い様だしね」
「うっ……兎に角俺は風呂に行きたいんだよ。降りろリオン!」
「僕も一緒に入ればいいじゃん」
「駄目だ。降りろリオン」
エリオットは離されまいと、纏わり付くリオンを力づくで引き剥がし、ストンと離して立たせた。
「俺が先はいるから、お前はその後入れよ。わかったな」
エリオットは返事も聞かずに、リオンを置いて素早い動きで浴室に入っていった。
「もう……何にエリオットさんは拘ってるんだろう。僕らは番でお互いにその事は住んですぐに判ってるのに……僕って拒まれてるんだよね。そりゃ未だ大人になりきれてないし、エリオットさんから見れば魅力も無いかもしれないけど、こうして出逢えたのは運命だと思ってるんだけどな……
お母さんからも、生前。好きな人ができたら一直線で突き進みなさいよ! チャンスは何度も巡って来ないのよ! 神様はね前髪しか無いんだから見えたら、力づくで掴むのよ。わかった! って何度も何度も言われてたから、僕も色々努力したり頑張ってるんだけど……難しいよ……お母さん。
それに……僕には両親しか知らない秘密があるから……エリオットさんにも言わないと駄目だよね……気持ち悪いって嫌われたらどうしようかな……エリオットさん……」
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